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  1. 東京都議会 2000-03-21
    2000-03-21 平成12年厚生委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時五分開議 ◯曽根委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。  初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。  当委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でありますので、さらに二十名追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。      ━━━━━━━━━━ ◯曽根委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、高齢者施策推進室関係の予算調査、付託議案の審査及び請願陳情の審査を行います。  なお、請願陳情につきましては、決定を、予算に対する意見開陳及び付託議案の決定とあわせて三月二十三日に行うことといたします。ご了承願います。  次に、本日審査いたします請願陳情における理事者の説明は、お手元配布の請願陳情審査説明表をもってかえることといたします。  つきましては、請願陳情審査の際の朗読は省略いたします。ご了承願います。  これより高齢者施策推進室関係に入ります。  予算の調査、付託議案の審査及び請願陳情の審査を行います。  第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、高齢者施策推進室所管分、第九十七号議案、東京都介護保険財政安定化基金条例から第百四号議案まで並びに会議日程の請願陳情審査における、(1)、一一第九四号、東京都老人医療費助成事業対象者の薬剤の一部負担金免除に関する陳情から、(14)、一一第四五号、特養マッサージ師の身分と仕事の確保に関する陳情までの請願十件、陳情四件を一括して議題といたします。      …………………………………    〔請願陳情審査説明表は末尾に掲載〕      ………………………………… ◯曽根委員長 予算案及び付託議案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。  その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。  要求資料について理事者の説明を求めます。
    ◯有手高齢政策部長 過日の委員会でご要求のありました資料につきまして、厚生委員会要求資料としてまとめ、お手元に配布させていただきましたので、ご説明を申し上げます。  表紙の次のページの目次をごらんください。ご要求の資料は、介護保険施設の整備状況外二十七件でございます。  それでは、目次の項目に従いましてご説明申し上げます。  一ページをお開きください。1、介護保険施設の整備状況でございます。  上段の表は、介護保険法で介護保険施設に規定される特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群のそれぞれの平成七年度から平成十一年度見込みまでの整備状況を、また、参考までに、現行の措置制度による特養待機者数、及びこのうちで在宅での待機者数について記載してございます。  下段は、現在策定中の介護保険事業支援計画(案)による平成十二年度から平成十六年度までの介護保険施設の整備目標でございます。  二ページをお開きください。2、一床当たりの施設整備費補助モデルでございます。  特別養護老人ホーム、老人保健施設、それぞれ定員百人モデルの施設及び一床当たりの経費負担の内訳について記載してございます。  三ページをごらんください。3、都立・民間施設の運営費の比較でございます。  特別養護老人ホーム、養護老人ホームについて、それぞれ民間施設のモデルと都立施設における利用者一人当たりの運営費について比較してございます。  四ページをお開きください。4、老齢年金の推移(都)でございます。  厚生年金と国民年金の昭和五十年度と平成十年度の受給権者数及び月額平均年金額をまとめてございます。  五ページをごらんください。5、住民税非課税基準及び根拠でございます。  平成十一年度の個人住民税の非課税の基準とその根拠について記載しております。  六ページをお開きください。6、高齢者の生活保護基準額の推移(月額)でございます。  高齢者二人世帯のモデルによる生活保護基準額の推移を、昭和五十年、昭和六十年、平成六年、平成十一年に分けてそれぞれ記載してございます。  七ページをごらんください。東京の高齢者の年収分布状況でございます。  平成七年の高齢者の年収分布状況を、性別、年齢別に記載しております。  八ページをお開きください。介護保険総事業費でございます。  平成十二年度、十三年度における介護保険に係る総事業費と事業費の負担割合を、保険料、公費負担、利用者負担の別に記載しております。  九ページをごらんください。介護保険料の算定基準別第一号被保険者の分布(都)でございます。  所得基準に応じて五段階に分かれた保険料の設定方法と、都内被保険者の段階別割合の推計を記載しております。  一〇ページをお開きください。第一号被保険者の保険料(案)でございます。  各区市町村が算定している月額保険料を、平成十二年三月六日現在でまとめたものでございます。なお、空欄の区市町村は、調査時点で条例案を議会に未提案の区市町村でございます。  一一ページをごらんください。保険料・利用料の軽減措置を独自に検討している区市町村でございます。  保険料、利用料それぞれについて、都内区市町村で独自に軽減措置を検討している事例を記載しております。  一二ページをお開きください。シルバーパス制度の推移でございます。  シルバーパス事業の発足から今日に至るまでの主な経緯をお示ししてございます。  一三ページをごらんください。一三ページから一四ページにかけましては、シルバーパスの利用者負担額及び利用者数の推計でございます。  一三ページ上段の表は、住民税非課税の方、課税の方について、それぞれ利用者負担額別対象人口、利用者数の来年度推計を、また下段の表につきましては、利用者負担額千円、二万五百十円の計算方法について記載しております。  一四ページの表は、利用者負担額千円となる利用者数の推計を記載しております。  一五ページをごらんください。政令指定都市における高齢者への交通助成制度実施状況でございます。  全国の政令指定都市におけるシルバーパスと同種類の制度を実施している状況について、その概要を記載してございます。  一六ページをお開きください。一日当たり外来患者数の年齢階層別推計値でございます。  平成八年十月に実施した患者調査東京都集計結果報告に基づいて、一日当たりの年齢別外来患者数の推計を記載してございます。  一七ページをごらんください。老人医療費助成制度の助成額及び一人当たり助成額の十年間の推移でございます。  過去十年間のマル福助成額、対象者数及び一人当たり助成額につきまして表にまとめたものでございます。  一八ページをお開き願います。老人医療費助成制度対象者と国民健康保険被保険者の本人負担例でございます。  マル福対象年齢の方が表中のような疾患で外来、入院にかかった場合のマル福対象と国民健康保険被保険者の場合の本人負担額について記載しております。  一九ページをごらんいただきたいと存じます。老人医療費助成制度の現行制度を継続した場合の対象者数と助成額の推計でございます。  上段の表は、平成十二年度、十七年度、二十二年度において現行のマル福制度を維持した場合の対象者数と助成額の推計でございます。  なお、参考に、下段の表において、国の現行の老人保健制度における都の負担額の推計を記載しております。  二〇ページをお開きください。老人福祉手当制度の経緯と手当額の推移でございます。  老人福祉手当の制度開始から現在までの月額手当額の推移について記載してございます。  二一ページをごらんください。二一ページから二二ページにかけましては、平成十一年度老人福祉手当にかかわる区市町村単独事業でございます。  老人福祉手当の対象者要件の緩和や月額の手当額について上乗せを行っている区市町村についてまとめたものでございます。  二三ページをごらんいただきたいと存じます。平成十二年度都内区市町村の寝たきり高齢者に対する手当等の実施予定でございます。  来年度、独自に寝たきり高齢者に対する手当等の実施を予定している区市町村名とその事業名を記載しております。  二四ページをお開きください。痴呆性高齢者グループホームの設置状況でございます。  現在運営中の三施設の概要及び現在建設中の四施設の概要について記載してございます。  二五ページをごらんいただきたいと存じます。シルバーピア及びケアハウスの設置状況でございます。  上段の表は、シルバーピアの区部、市部それぞれにおける設置主体ごとの戸数を記載しております。  また下段の表は、ケアハウスの設置数、定員を、地域、設置者ごとに記載してございます。  二六ページをお開きください。高齢者住宅改造費助成の実績でございます。  高齢者住宅改造費助成事業について、平成六年度から十年度までの区部、市町村部別の実績について記載しております。  二七ページをごらんください。シルバーピア事業平成十二年度入居開始分一覧でございます。  来年度入居開始を予定しておりますシルバーピアについて、施設ごとの所在、種別、戸数、入居予定時期等を記載してございます。  二九ページをお開き願います。二九ページ、三〇ページは、医療センター(板橋・多摩)の職員の年齢構成と平均年齢でございます。  平成七年、九年、十一年のそれぞれ十月一日現在における老人医療センターの職員の職種別年齢構成と平均年齢を記載してございます。  三一ページをお開きください。三一ページ、三二ページは、医療センター(板橋・多摩)の年齢別退職者数でございます。  老人医療センターの職種別、年齢別に見た退職者数を、平成七年度、九年度の実績と十一年度の見込みについて表にまとめてございます。  最後に、三三ページをお開き願います。三三ページから三四ページは、医療センター(板橋・多摩)職員の短期主任、長期主任の構成でございます。  老人医療センターの職種別短期主任、長期主任の構成を、平成七年、九年、十一年のそれぞれ十月一日現在の人数を記載しております。  以上で、甚だ簡単でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。 ◯曽根委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料を含めまして、これより予算案、付託議案及び請願陳情に対する質疑を行います。  ご発言願います。 ◯三宅委員 最初のトップバッターで質問に入ります。どうぞよろしくお願いいたします。  世界に例を見ないスピードで進む我が国の少子高齢化に伴い、福祉改革は、今や国政、地方行政の最重要課題であります。国政だけでも解決できないし、地方行政のみでも解決できません。低成長経済のもとで限られた財源を有効に活用し、国と地方自治体が協力してこの問題に対処する必要があります。  こうした状況から、まず、基本的な事項についてお尋ねいたします。  国は、現在、来るべき二十一世紀の本格的な少子高齢社会を展望して、年金、医療、福祉など社会保障の構造改革に取り組んでいるところです。来月から始まる介護保険制度もその第一歩として位置づけられておりますが、国がどのような現状認識のもとにこの社会保障改革に取り組んでおり、その改革の具体的方向及び内容はどのようなものなのか、その見解をまずお尋ねいたします。 ◯有手高齢政策部長 我が国のバブル経済の崩壊以降の経済の低成長、それから国民意識の変化による社会保障に対するニーズの多様化など、社会保障を取り巻く環境は大きく変化しております。少子高齢化の進展により、年金、医療、介護など、社会保障給付の増大が予想されております。また、一方、現役世代の減少から、増大する負担に対し、世代間の公平を確保する必要があります。具体的に申しますと、平成二十七年、二〇一五年でございますけれども、我が国の高齢者は三千百八十八万人、生産年齢人口は七千六百六十二万人となりまして、国民の四人に一人が高齢者となり、生産年齢人口二・四人が一人の高齢者を支えると、とても想像できないような大変な事態になることが予測されております。  社会保障は国民生活の安定に重要な役割を果たしてきておりますが、このままでは現行制度を維持することは大変難しい、また、社会保障に対する国民の信頼は揺らいでおりまして、どう国民の信頼を確保するか、切迫した意識を持っていると私どもは思っております。  このような現状認識から、将来世代に過重な負担を課すことなく、だれが見ても国民生活の安定が図れ、公平で持続することができる社会保障制度としなければならない、こういう思いで、国の方におきましては社会保障の構造改革に取り組んでおります。  次に、改革の具体的方法、内容でございますけれども、これまでの我が国の社会保障は、戦後、社会福祉の出発点が貧困対策であったことから、低所得者を対象として、社会的弱者の救済を理念として、サービスの内容も行政措置という形でやってまいりました。この行政措置は、利用者の選択になじまない面もありました。  これに対して、今後ともこの社会保障制度を、国民生活の安定に不可欠な役割を担い、そして少子高齢化の進展で社会保障の増大が避けがたいことから、今後の社会保障につきましては、国民の不安を解消して、成熟した社会経済にふさわしいものにしていかなくてはならないということで、改革の方向は三本。一つは、国民経済の調和と社会保障に対する国民需要への適切な対応、二本目の柱は、個人の自立を支援する利用者本位の仕組みの重視、三番目は、公私の適切な役割分担と民間活力の導入促進。  そして、改革の視点としては五点ありまして、一つ目は、制度横断的な再編成による全体の効率化、二番目は、在宅医療、介護に重点を置きました利用者本位の効率的なサービスの確保、三番目は、全体としての公平、公正の確保、四番目は、保健、福祉サービス主体の役割分担と連携の強化、最後に、社会保障施策と、雇用だとか、都市づくりだとか、住宅、教育等の施策等の連携、こういった視点から、国は積極的にこの問題に取り組んでおるところでございます。 ◯三宅委員 制度の根幹にかかわる大きな課題があることはわかりました。そこで、もう少し具体的に質問をいたします。  社会保障給付費の現状はどうなっていますでしょうか。医療、年金、福祉の各分野の給付費もどうなっているのか、そして、またその課題は何か、お尋ねいたします。 ◯有手高齢政策部長 一九九七年度、平成九年度におきます社会保障給付費は六十九兆四千百八十七億円、国民所得の一七・八%、国民一人当たりに直しますと、給付費が五十五万二百円、一世帯当たり百五十三万七千七百円という規模でございます。  これを分野別に見ますと、医療分野が二十五兆三千九十五億円、三六・五%、福祉分野が七兆七千九十七億円、一一・一%、年金分野が三十六兆三千九百九十六億円、五二・四%の内訳になっております。このうち、今ご質問ありました高齢者向け給付につきましては、四十五兆一千四百一億円、構成比にしまして六五・〇%に増大しまして、高齢者への所得移転が着実に進んでおります。  我が国は、これまで外国にも例のない、想像を超えたすごい速さで高齢化が進んでおります。こうした少子高齢化における社会費用の負担のコストをだれが負担するのか、これが最大の課題になっているところでございます。  医療につきましては、高齢者医療制度の見直しだとか、老人医療費を公平に負担する仕組みづくりなどが課題になっております。福祉につきましては、サービス提供体制の整備、年金、雇用、住宅等を含めた制度の構築、横断的かつ総合的な少子高齢化対策の推進、障害者施策の総合化などが課題になっております。また、年金につきましても、将来の給付と負担の適正化、公私の年金の適切な組み合わせ、企業年金の改革などが課題になっておるところでございます。 ◯三宅委員 今のご答弁で、国の社会保障改革の大きな課題、この課題は東京都においても背景に共通のものがあると思います。国との役割分担を踏まえながら、都民の安心のために、高齢福祉改革に懸命に取り組むべきと考えます。  今都民が求めるものは、いたずらに不安をかき立てることではなく、来るべき二十一世紀の本格的高齢社会の明るく安心できるビジョンを明らかにして、そのために確かな道筋を都民の前に明らかにすることであります。  そこで、改めて東京都の高齢福祉の改革についての基本的な考え方をお尋ねします。 ◯有手高齢政策部長 世界に例を見ない速さで進むこの少子高齢化にありまして、福祉は、都民生活の安心を支え、東京の活力や発展を支える基盤ともなることから、その充実を図ることは、都政の重要な課題であるというふうに考えております。今回の福祉改革は、そうした活力に満ち、しかも安心して暮らせる社会を目指すものでございます。  このため、都は、二十一世紀高齢社会ビジョンを発表いたしまして、目指すべき高齢社会の姿として、介護が必要な方も、ひとり暮らしなど支援が必要な方も、元気な方も、高齢者のだれもが真に安心でき、満ち足りた気持ちを持って、住みなれた地域でいつまでも生き生きと暮らせる社会を目指したいということを明らかにしております。  そして、その社会の実現のために、地域生活の安心を導く五大政策としまして、まずもって介護基盤の緊急整備をして、介護保険制度の円滑な実施、そして、その安定的な運営を図ろうということを考えております。二番目は、介護保険の対象外となる元気な高齢者の方たちも含めまして、多様な社会参加の場を創出して、地域社会をもう一度再生して、みんなで支え合う地域社会の場をつくっていこうということで、多様な社会参加の場の創出を掲げております。それから、在宅高齢者の自立生活の支援、これが三本目の柱でございます。そして、地域の暮らしと住まいの確保、これも非常に重要な課題ということで掲げております。そして、これから、後期高齢者も含めまして高齢者の自由が、バスの便だとか、いろんな便がない地域にとって非常に大変な問題になりますので、移動手段の確保、移送サービスの充実、こういった五つの柱をもとにしまして、都市型高齢社会のモデルをこの東京でつくっていきたい、こういう思いでこのビジョンをつくっているところでございます。  この二十一世紀高齢社会ビジョンにつきましては、十二年度予算におきまして、ほぼ予定どおり予算化ができたものと考えております。今後は、この予算をいただきまして、ぜひ皆さん方のご審議の結果、この予算を通していただいて、各事業を積極的に展開していきたいというふうに考えております。  新たな施策展開をこういう形で図るために四事業を見直しました。この見直しの四事業につきましては、何度もお話ししていますけれども、昭和四十年代に開始されまして、都が先導的に全国の社会福祉、そういったものをリードしました。しかし、現在、国の社会保障制度の改革、介護保険制度の導入、こういう状況になりまして、一定の役割を果たしてきたので、今回見直すことといたしました。  見直す内容につきましては、各制度間の整合性の確保や負担の公平などの観点を踏まえまして、激変緩和のための経過措置、低所得者への配慮などを入れまして、都民に認めていただける範囲内の計画をつくったというふうに考えております。  限られた資源でございますけれども、地方自治体として緊急性、必要性の高い施策に重点的に配分して、東京の高齢社会を総合的に充実してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。 ◯三宅委員 今のご答弁、ご説明を聞いていますと、高齢化に伴って福祉サービスの量も増大をして、見直しをしないで今のままの施策を継続していくと、財政支出が膨大な額になるだろう。そしてまた、さらに四月から新たな制度として介護保険が始まり、これも当然新たな支出となります。将来の経費の増加は想像を絶するような額になると思いますが、支出事業の見直しを今先送りした場合、平成十五年度の予算はどうなるのか、率直に明らかにしてください。 ◯有手高齢政策部長 高齢者施策推進室の十一年度の予算は、総額約二千五百十億円でございます。このうち、シルバーパス、老人福祉手当、老人医療費助成、特別養護老人ホーム都加算の見直し四事業で約八百十億円、介護保険関連、国の医療費助成など主な法定負担金等で約七百三十億円、合計千五百四十億円となっておりまして、この四事業で室予算の六〇%に達しております。  ご質問のように、このまま主要四事業の見直しを先送りした場合、平成十五年度におきましては、これに主な法定負担金等を加えますと、合計千九百九十億円となり、室予算の八〇%を占めるような形になります。このような状況になってきますと、新規事業はもとより、特別養護老人ホームなど介護保険施設の整備や老人医療センターなどの管理運営のような事業も実施困難となり、都民生活に重大な影響が及ぶと考えております。  今回、平成十二年度の東京都一般会計の歳出、清掃事業等を除きますと、一般歳出で五・九%という予算になっておりますけれども、この五・九%を室予算に推計値として採用しまして十五年度まで計算しますと、室の予算が二千五百十億円から千九百四十億円まで落ち込むということになりますと、先ほど申しましたように、十五年度には約五十億円の財源不足が生じ、他の事業の予算はもとより、都の高齢者施策推進のいろんな施策は継続不可能となる、こういうような厳しい状況がございました。  このような待ったなしの状況の中で、施策の見直しをせずに新たな事業を実施していくことは事実上困難でありまして、責任ある行政を担う立場としましては、とても認めるわけにはいきません。今後とも、時代に適応しなくなった施策につきましては見直すとともに、二十一世紀の高齢社会にふさわしい新しい施策を立ち上げながら、高齢者施策の一層の充実を図る必要があると考えているところでございます。 ◯三宅委員 今、熱を込めてご答弁されましたが、本当にこの高齢福祉の改革は、まさにもう待ったなしだと。こういう都の財政状況を考えて、今まさにやろうとしている福祉施策の見直しに反対をして、代案を持たずにいろいろいわれるということは、私は、都政に責任ある立場からはそういった考えは出てこないんじゃないか、こういうふうに思います。  都財政は財政再建団体転落の危機にあると、これはもうよくいわれております。そして、もし財政再建団体になったら、平成十一年度の高齢者施策推進室予算で申し上げますと、都単独事業で約七百五十八億円、国基準に上乗せしているのが約三百七十四億円、合わせて一千百五十九億円が整理、圧縮する必要が生ずる事態です。もしそうなれば、室予算の二千五百十億円から一千百五十九億円を差し引けば一千三百五十一億円となって、これまで都が独自に積み上げてきた事業はほとんど実施できなくなる。
     このような厳しい状況のもとで高齢者施策推進室の平成十二年度予算が編成をされ、二十一世紀の東京の高齢福祉を切り開くために、都民の不安を取り除こうとする挑戦的な新規事業も数多く計上されております。私は、見直しをすべき事業も、またある意味で明確な考え方で見直しされていると評価をしたいと思います。  次に、シルバーパスの見直しについて質問をいたします。  今回提案されたシルバーパス制度について、制度は継続をしないという主張がありますが、見直しの内容について確認をさせていただきながら、今回の見直しについてお伺いしてまいります。  今回の見直しで条例の全部改正が提案されておりますが、なぜでしょうか。なぜ全部改正なのでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 現行の制度と全く異なる新しい制度を創設する場合は、条例の廃止及び新設の方式をとりますけれども、今回の見直しにおきましては、シルバーパス事業をぜひ継続するという考え方から、条例の廃止及び新設の方式をとらずに、全部改正の方式をとったものでございます。 ◯三宅委員 要するに、シルバーパスの制度を継続するということで、これを全部改正にしたという答弁ですね。  さて、この見直しの理由についてでありますが、この点についてはもう何度も当委員会や定例会で説明がありました。ですけれども、非常に大切なこの常任委員会でございますから、再度確認をしておきたいと思います。現行制度について、どのような課題があって、今回の見直しでそれらの課題をどのように解決しようと考えたのか、わかりやすく説明してください。 ◯金内保健福祉部長 まず、現行制度の課題でございますが、主なものを挙げますと、一点目につきましては、無料パス分は、全額バス事業者に運賃補償という形で補償をしていることから、高齢者の増加に伴いまして財政負担が年々増加し、制度を安定的に実施することが難しくなってきております。先ほども話がございましたが、もし現行制度を継続すれば、十年後の平成二十二年度の都の負担は二百三十六億円に上るものと想定されます。  二点目は、バス事業者は、本来、利用者へのサービス等、さまざまな工夫をいたしまして、ニーズをふやすなどの取り組みを行います。しかしながら、シルバーパスの場合は条例等で細かく規定をしておりますために、そのようなバス事業者の工夫を活用する仕組みになってございません。  三点目は、経済的に豊かな高齢者がふえまして、若年層との間で不公正が生じていることでございます。ちなみに申し上げますと、平均可処分所得につきましては、三十代の若年層の方たちは百六十一万円、これに対しまして七十代の高齢者は百七十二万円でございます。一方、運賃の負担でございますが、小学生の定期の場合、若年層は、都バスに換算をいたしまして年額四万一千四十円の負担をしております。これに対しまして、高齢者層の場合は、シルバーパスでは無料、それから有料パスでも年額二万五百十円という形になっております。  四点目でございますが、今申しましたように、パスの交付が無料で受けられるために、利用の意思がない人にも交付されている例があるということでございます。  最後の課題でございますが、意思の確認あるいは所得の把握、さらには歳入処理などの事務を都と区市町村が行うために、行政特有の事務手続がございまして、非常に煩瑣になっているということでございます。  これらの課題に対しまして、解決していく方向といたしまして、今回見直しを提案してございますけれども、主な内容につきましては三点ございまして、一点目は、パスの交付主体をバス事業者の団体とし、都は財政支援を行うものとするという点でございます。二点目は、利用者に負担をお願いし、あわせて所得基準を見直すという点でございます。三点目は、本人による窓口申請としたいということでございます。 ◯三宅委員 十年後に二百三十六億円にもなるということで、私はこれは見直しをすべきと思いますけれども、見直しの内容は今お聞きしましたけれども、現行制度と比較して、どこが変わって、どこが変わっていないのか、これも少し具体的に説明してください。 ◯金内保健福祉部長 まず、変わった点でございますが、四点挙げさせていただきます。  一点目は、事業主体でございます。ご存じのように、今まで都がやっておりましたけれども、知事が指定する団体、具体的には東京バス協会を想定しておりますが、知事が指定する団体に事業主体を変更いたします。都は、指定団体に財政支援を行います。  二点目は、利用者負担でございます。無料と二万五百十円から、千円と二万五百十円、若干三年間については経過措置がございますが、そういうふうに負担をかえさせていただきます。  それから、所得基準でございます。今までは本人と配偶者の所得基準、世帯単位といいますか、そういう形で所得基準をしておりましたが、これを本人のみの所得を見ることといたしまして、さらにこの基準を住民税非課税ラインといたしました。  四点目でございますが、パスの入手方法でございます。今まで、区市町村に申請するなど、さまざまな手続が必要でございましたけれども、最寄りの交付所で簡単に入手できるように改善をいたしました。  それから、変わらない点でございますが、これも四点ほど挙げさせていただきます。  まず、目的でございます。高齢者の社会参加の助長という目的は変わってございません。それから、パス発行の対象者、例えば七十歳以上、寝たきり等、これも変わってございません。パスの利用方法、パスを提示してバスを利用できるという点も変わってございませんし、利用できる交通機関についても変更がございません。 ◯三宅委員 今まで東京都が実施してきましたこの事業を、東京バス協会という民間団体に任せて、都はその支援を行うということですが、なぜ都は直接実施することをやめて、実施主体を東京バス協会に移すということとしたのか。そしてまた、このことが高齢者の利用に影響があると思われるんですが、いかがでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 まず、バス協会に移す理由でございますが、一つは、バス事業者の経営努力、さまざまな経営努力を生かす仕組みにしたいということでございます。二点目は、歳入事務手続等、行政固有の煩雑な事務手続を改善をしたいということでございます。  この高齢者に対する影響でございますが、二点ございまして、一点は、身近なところでパスの交付を受けられるので、利用者は便利になるということでございます。  それから、バス事業者が事業主体になりますので──今まではバス事業者への苦情が都に多々寄せられております。例えば、パスだからただ乗りしているというような見下した態度をとる運転手がいる、これが一番多うございますけれども、そういうような苦情がたびたび寄せられております。これからは、自分たちが事業を実施していくという意識が育ちまして、利用者への接遇面での改善が図られるというふうに考えております。 ◯三宅委員 確かにお年寄りがパスを利用するときに、お世話になりますというので頭を下げている光景は、私自身も何度か遭遇をしておりますけれども、ぜひそういった光景がなくなることを期待いたします。  そして、バス協会に任せるんですけれども、もしこのバス協会が、もうしたくないというようなことをいったらどうなるのでしょう。 ◯金内保健福祉部長 現行制度におきましてもバス協会の協力は不可欠でございます。いわば、シルバーパスというのは、都とバス事業者サイドとの共同事業であるということがいえようかと思います。改正後もバス協会の協力を得られるものと確信をしております。  ちなみに、バス協会におきましては、この三月十五日に理事会を開きまして、条例、予算案が都議会の支持を得られることを条件に協力を決定しております。 ◯三宅委員 今のご答弁、バス協会さんに対しての信頼関係があるというご判断のもとと、大事なところは、この定例会でこの条例、予算案が通らなきゃだめと、こうですね。重大なことだなと思います。  次に、利用者負担の問題でありますが、無料パスに利用者負担を導入した理由は何でしょうか、もう一度お尋ねします。 ◯金内保健福祉部長 今回の見直しに当たりましては、高齢者と若年層との負担の不公平を解消する観点から、高齢者にも負担できる範囲で、応分の負担として事務費相当額をいただくことといたしました。 ◯三宅委員 利用者から負担していただいた財源はどのような施策に生かされるのか、まだまだ都民には理解されていないと思いますが、具体的に説明してください。 ◯金内保健福祉部長 ご負担いただきました財源につきましては、一つは、シルバーパスの交付時に高齢者を活用するなどの働く場の確保に充てていきたいというふうに考えております。これは、高齢者が高齢者のためにパス交付の事務をするものでございまして、高齢者のために一石二鳥になるというふうに思います。そのほか、地域社会での活動参加のための移動手段の確保、コミュニティバスの運行支援や乗りおりしやすいノンステップバスの充実などに充てるものでございまして、高齢者の社会参加の支援策が、質、量ともに充実されると考えております。 ◯三宅委員 今、高齢者の活用の話が出ましたけれども、ここは私、大事だと思いますので、もう少し具体的に示してください。 ◯金内保健福祉部長 先生ご存じのとおり、シルバーパスは、一斉更新というのが九月にございます。そのほか、七十歳の誕生月から随時パスを発行するという事務がございますので、そういうときに、交付場所、先ほど最寄りのところで便利なようにというふうに申し上げましたが、まだ想定の段階でございますが、都内に二百カ所程度のそういうような交付場所を設けたらどうか。その交付場所につきましては、臨時に設けるものでございますので、シルバー人材センター等を活用していってはどうかというふうに考えております。  一カ所に三人程度配置するという計算にいたしますと、平年度で大体六万人程度の、延べ人数でございますが、一日一人、延べ六万四千人ぐらいの雇用が創出できるのかなというふうに考えております。 ◯三宅委員 大変にいいアイデアだと思いますから、ぜひ実現するよう、私どもも会派として応援をいたしますので、しっかりやってください。  もう一つ、コミュニティバスのお話が出ました。来年の春に乗合バスの規制緩和が予定されていて、既に赤字路線の撤退など、規制緩和を先取りした動きが出ているようです。高齢者にとってバスはもう一番身近な安全な乗り物ですから、こういった事態は非常に大変なことだというふうに思うんです。こういう時期だからこそ、コミュニティバスの必要性が本当に高まっていくと思いますから、こちらの方もぜひ具体的に、そして、なるべく早い機会に、時限を切ったりするようにして発表されてほしいと、これは要望しておきます。  ちょっと話がずれちゃいましたけれども、高齢者の方に少しずつ負担していただいて、このシルバーパス制度を維持していって、その浮いた分で他のご高齢者の方にそれを活用するチャンスを、活躍するチャンスをお与えする、これは本当に重要な視点からの施策の展開のあり方だと思います。  しかし、今、全面有料化だという大宣伝がこのシルバーパスは行われて、本当に不安になってしまっているご高齢者の方が多くなってきたかなと思います。そこで、今回の見直しの中で、利用者にかかわるものの一つに所得基準の見直しというのがありますが、これについてもう少しお話しください。所得基準の概念です。 ◯金内保健福祉部長 先ほど申し上げましたが、所得基準につきましては、住民税非課税ラインに変更をいたします。住民税非課税の方はどういう方かと申し上げますと、年間所得が百二十五万円以下の方でございまして、年金収入に換算をいたしますと、年収二百六十六万六千円、月額約二十二万二千円未満ということになります。  こうした理由でございますが、平成十年度の都における厚生年金の平均額が二百三十二万円ということから、ほぼ同水準にございます住民税の課税基準を採用したものでございます。  二点目は、介護保険制度における第一号被保険者の保険料設定におきまして、住民税非課税の方は、増額も減額もないランクに位置づけられているという、基準額を支払う方でございまして、そのことから非課税ラインにいたしました。  三点目は、七十歳以上の高齢者の七割の方が住民税非課税であるということも重要な点でございます。  なお、先ほど申し上げましたが、住民税は、世帯単位ではなくて、本人の所得のみで判断をしていこうというふうに考えております。 ◯三宅委員 現行のパス制度の状況を見ますと、約七十八万人が無料パス、約四万人が有料パスを交付されております。このように大変多くの高齢者が利用していることは大変結構なことでありますが、世の中が大きく変化している中で、今の時代まで無料というのはいかがなものかなと私は思います。  所得制限の議論を今してまいりました。やはり基準が高かったかなという印象は私は免れないと思っております。今回いろいろと検討されて住民税非課税の方ということになりましたが、どのような基準にしても、どこかで境界線があるわけです。年金で月額二十二万二千円以上の方は、ある程度の負担能力があると判断をするところでございます。  今回の見直しで変わった点を一つずつ確認してまいりましたけれども、最後に、パスの入手方法について触れておきたいと思います。  今までの無料のパスは、区市町村から送付されたり民生委員から渡されたりしているのに対しまして、有料パスの人はわざわざ区市町村の窓口まで出かけて銀行との間を往復するなど、大変手間がかかっていました。これは不公平だという声が私のもとに数多く寄せられておりましたが、今回の見直しで改善されるということですが、どのように改善するのか、ご説明をお願いいたします。 ◯金内保健福祉部長 見直しの案でございますが、二万五百十円の方もそれ以外の方も、交付を希望されるすべての方が、先ほど二百カ所と申し上げましたけれども、最寄りの交付場所に出向きましてパスを受領することとなります。したがって、何度も区市町村の窓口や銀行などを往復していたというような方につきましては、大幅に手間が省けるというふうに考えております。  さらに、先ほど申し上げましたけれども、なるべくバス協会なりバス事業者と入念に検討をいたしまして、高齢者の方に利便な地域に交付場所を設定していきたいというふうに思っております。 ◯三宅委員 ただいまの説明で、私も今この場で、このシルバーパス制度の見直しというものの全容と、それからポイントになるところが確認ができたかなと思います。  先ほど申し上げましたけれども、このパス制度がなくなってしまうという宣伝があるところで行われておりまして、このご高齢者の不安というのを取り除くことが今本当に重要なことだと思います。ですから、PRを、おざなりのPRでなくて、きちんとやっていただきたい。  そしてまた、バス協会の体制もどうやら整っているようですので、今お話しのように、本当によく連携をとって、ご利用者に不便がかからないようにしていただくことをお願いして、このシルバーパスの質問を終わります。  次に、老人福祉手当の見直しについて質問いたします。  まず最初にお聞きしたいのは、老人福祉手当が創設された当初の目的、この手当、どういう考え方に立って創設されたのか、また、見直しが提案されておりますが、その理由は何か、具体的にわかりやすく説明してください。 ◯金内保健福祉部長 まず、老人福祉手当の創設の考え方でございますが、在宅サービスが不十分な時代に、二十四時間、三百六十五日介護が受けられる特別養護老人ホーム等の施設入所者と格段の格差があるということから、その均衡を図るために創設されたものでございます。  次に、見直しの理由でございますけれども、現在では、手当創設時と比べまして在宅サービスが大幅に充実されてきております。例えば、ホームヘルプを例にとりますと、当時は二千五百世帯の利用でございましたけれども、平成十年には四万六千六百二十四世帯の利用になっております。また、ショートステイやデイサービス等を行います在宅サービスセンターにつきましては、手当創設時には未実施でございました。それが平成十年には、ショートステイ千六百九十八床、在宅サービスセンター三百三十五施設になっております。  また、二点目といたしまして、この四月から介護保険制度が実施されまして、寝たきり高齢者の方には必要なサービスが提供される、それも施設サービスの利用者の方と遜色のないサービスが提供される、そういう仕組みができます。ちなみに、要介護四で申し上げますと、在宅サービスの月額のサービス限度額は三十二万四千円、施設サービスのそれは三十三万六千円と、ほぼ遜色がないものでございまして、そういうスキームができることから見直しを行ったものでございます。 ◯三宅委員 今、介護保険の実施などによって、この老人福祉手当の目的が重なるということで見直すことにしたというぐあいに理解をしますけれども、今までもらっていたものをもらえなくなるという、非常に単純なんですが、しかも、介護保険もいろいろ不安含みの中で、特に皆さんの不安をあおる勢力もございますから、増大をしているんだろうということで、もう一度、この見直しの内容についてわかりやすく説明してください。 ◯金内保健福祉部長 見直しの内容ということでございます。平成十二年四月、この四月からは、新規の該当者の方は対象といたしません。  二点目は、現行の受給者、現在受給をされておられる方には、これまでの手当支給の経緯もあり、また、議会や区市町村からの要望もあることから、経過措置を設けたものでございます。経過措置の内容につきましては、十二年度から三年間支給を継続いたします。ただし、支給額につきましては、四分の一ずつ減額させていただきます。 ◯三宅委員 次にお聞きしたいのは、区市町村との関係であります。  老人福祉手当は、都の条例のほかに、区市町村がそれぞれ条例で規定して実施されております。今回の見直しについてどのように区市町村に説明してきたのか、とりわけ、三月三十日に条例が可決され、四月一日施行ということになりますと、区市町村は対応に苦慮すると思いますが、いかがでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 今回の見直しが支持をいただきまして議会で通るということになりますと、施行日は平成十二年四月一日ということになります。したがいまして、期日がないということから、都の改正案の趣旨と実施時期につきまして、市長会等で十分説明し、理解を賜ってきているところでございます。  ちなみに、区におきましては、二月十日の都区協議会において了解をいただいておりますし、市町村におきましては、二月十五日の都市町村協議会におきまして合意を得ております。また、手当支給に要する財源を都が十分の十の補助、すなわち全額補助していることから、市町村条例の改正が円滑にいくように参考例を作成し、説明をしてきております。  なお、区部の財源につきましては財政調整交付金に算入されておりますけれども、市町村と同様に十分説明をしてまいりました。その結果、現在のところ、七区市町村を除きまして条例改正を行う予定というふうに聞いております。 ◯三宅委員 今、七区市町村を除いて条例改正を行う予定との回答でしたけれども、七区市町村の内訳を教えてください。 ◯金内保健福祉部長 まず、市町村部でございますけれども、調整中の小金井市、国分寺市、狛江市の三市を除きましては、すべて条例改正を行う予定と伺っております。また、区部につきましては、年度内に条例改正を行わないということがはっきりしておりますのは、中央区、港区、板橋区、江戸川区の四区でございます。  なお、条例改正を行いますと同時に新たな手当の創設を予定しておりますのが一区ございまして、練馬区でございます。 ◯三宅委員 今の答弁で、区市町村に対しては適切に対応して、その主体性を尊重していることが私はわかりました。  次に、経過措置対象者の関係についてお尋ねしたいと思います。  老人福祉手当条例の一部改正案が今定例会で可決された場合、三月三十日決定で四月一日施行ということになりますと、周知期間がほとんどというか、全くありません。現在手当を受けている方々にどのように周知するのか、また、新規の該当者、とりわけ手当の支給対象要件に該当している人で、制度が変わったことを知らずに四月以降に申請した場合はどうなるのか、例えば老人クラブを活用して周知を図るなど、何らかの配慮が必要と思いますけれども、いかがでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 新規の該当者の方は対象といたしませんけれども、平成十二年三月三十一日までに現行条例の支給対象要件に該当している方、これは支給の対象になるわけでございますが、本来であれば三月三十一日までに申請をしていただかなきゃならないということでございますが、周知期間が短いことから、十二年六月三十日まで申請を認める措置をとっていきたいと考えております。  また、今まで支給をされていた方につきましては、四月-七月分の四カ月分が、八月に減額されて支給されることになります。  したがいまして、今回の改正内容について議会のご支持が得られれば、「広報東京都」あるいは東京都提供番組などあらゆる広報媒体を使って積極的に周知に努めていきたいと思っております。これは区市町村からの要望もありまして、我々はぜひやりたいというふうに考えております。  また、今ご提案がございましたが、老人クラブの活用ということでございますが、老人クラブ、現在、友愛訪問というような形で在宅のサービスを受けている方のお世話をしてございます。そういう意味でいくと非常に適切かというふうに思いますので、老人クラブ等にもよく説明をいたしまして、ぜひ協力を得ていきたいというふうに考えます。 ◯三宅委員 その辺がこの改革の大切なところじゃないかと思いますね。ルールを変える、そのルールが変わったことを都民の該当者の方にお知らせする、その努力にいや応もない、こう思います。ぜひ今のご答弁どおりに実施をしていただきたいと思います。  ところで、先日の予算特別委員会で、介護保険が始まれば手当は不要と思うかという質問に、九九%の人が必要と回答をしたと。だから手当の見直しはけしからぬというような内容の質問がありました。介護保険が始まれば、保険料、利用料がかかる。その介護保険の費用負担だけを殊さらに強調して不安をかき立てて、本人の選択で保健、医療、福祉にわたる総合的なサービスが利用できるようになることなどには触れないで、手当は不要と思うかと回答を求めれば、当然今いったような答えになると思います。少ない年金で、手当で生活しているから、手当がなくなったら、介護保険料、利用料が払えない、こう主張する人もいます。  先ほどの説明にもありましたけれども、老人福祉手当が創設された当初の趣旨からいえば、介護保険料や利用料の問題を手当と関連して論じるのは筋違いであります。介護保険料や利用料の問題というのは、介護保険制度の中できちんと解決していくことと思います。  実際に国は、高齢者の保険料や低所得利用者について見直しを行っております。保険料の特別措置や低所得利用者の負担対策について説明をしていただきたいと思います。 ◯岡本介護保険対策室長 介護保険制度におきましては、既にご案内でございますが、保険料は所得に応じて五段階に設定されておりまして、低所得者は基準額の二分の一ないし四分の三に減額されるということでございます。また、利用者負担につきましても、高額介護サービス費の自己負担額がより低く設定されるなど、低所得者に十分配慮した仕組みとなっております。  さらに、ただいまございました今般の国の特別対策でございますが、これによりまして、第一に、高齢者保険料の特別措置といたしまして、施行時より半年間、具体的には平成十二年四月から十月まで保険料を徴収しない、さらに、その後一年間は二分の一に軽減されることになっております。  第二に、施行時のホームヘルプサービス利用者に対する経過措置といたしまして、生計中心者が所得税非課税の人につきまして、利用料を当面三年間は三%に減額されることになっております。さらに、社会福祉法人等による生計困難者に対する利用者負担の減免措置といたしましてその法人がみずから負担した額が総収入の一定割合を超えた社会福祉法人に対しまして区市町村が支援を行った場合、国、都道府県の補助の対象とする、こういう措置も講じられております。  このように、低所得利用者に対するさまざまな負担軽減措置が講じられているところでございます。 ◯三宅委員 介護保険料や低所得者に対する利用料については確認をいたしましたが、区や都の担当者にお聞きしたんですけれども、老人福祉手当の受給者は、ホームヘルプサービスなどの利用が少ないという話があります。実態はどうなんでしょう。都の調査ではどのような結果になっているのでしょうか、お知らせください。 ◯金内保健福祉部長 平成十一年の四月から五月にかけまして行いました私どもの調査によりますと、在宅者二万二千七百十二人を調査いたしまして、ホームヘルプサービスを利用している方が三二・四%、デイサービスを利用している方が二一・九%、ショートステイを利用している方が三七・四%という結果が出ております。 ◯三宅委員 随分と少ない数字だと思います。手当の受給者は常時寝たきりの高齢者であることから、デイサービスの利用が少ないことは、これはわかるんですね。家族介護のご負担の軽減につながるホームヘルプサービスもこんなに利用していないということは、ちょっと驚きでございます。  手当の受給者は、介護保険の要介護認定では、要介護四あるいは五と認定される方が多いと聞いておりますけれども、在宅サービスの利用が少ないということでは、手当支給の趣旨が危惧されるなと。手当の受給者は介護の必要度が高いのだから、ぜひ在宅サービスを使って、ご本人やご家族の負担の軽減を図ってほしい、心からそう思うものであります。  私がいうまでもありませんけれども、介護保険制度は、家族だけで介護することには限界があるから、介護を社会全体で支える仕組みとして創設されたはずであります。繰り返しになりますけれども、この介護サービスを大いに利用するよう、室としてもその奨励に努めてほしいと思います。  介護保険制度のもとで介護する家族の負担が大きい、だから手当が必要だという議論があります。手当は、在宅サービスを受けたくても受けられない時代に創設された、ご本人の慰謝、激励を目的とするもののはずであります。家族の負担を現金給付で解決しようとするものではないはずです。本人のために給付しているのに、本人のためになっていないんじゃないかと私は思いますが、いわゆる現金給付というのはどういう問題点があるのか、お聞きします。 ◯金内保健福祉部長 現金給付につきましては、一般的には次のような問題があるというふうにいわれております。一点目は、家族介護の固定化、とりわけ女性を介護に拘束するという点でございます。二点目は、現金を給付しても必ずしも家族介護のための費用に結びつくわけではないという点が挙げられます。三点目は、介護サービスの拡充の障害要因になるということでございます。 ◯三宅委員 この項目について最後にお聞きしておきたいのは、介護保険については、行政としてやるべきことをきちんとやるのはもちろんでありますが、介護保険の対象外となる人についてはどうするのかということです。手当受給者が状態がよくなられたとき利用できるサービスもなくてはならないと思います。介護保険と介護保険の対象外の施策の充実は、いわば車の両輪になると思います。これらの高齢者に対する施策の充実について、室長の決意をお伺いします。 ◯神藤高齢者施策推進室長 先ほどから述べておりますように、新しい高齢社会に向かいまして、介護保険制度の円滑な実施と、それから介護保険対象外になる方の高齢者の施策、そして元気な高齢者の施策、こういうものを総合的に実施することによりまして、地域において、元気な方も、だれもが真に安心でき、満ち足りた気持ちで地域で生き生きと暮らせる社会を実現していくように考えておりますので、今回はそういう方向で見直しをさせていただいたものでございます。 ◯三宅委員 今求められていることは、在宅サービスの一層の充実を図ることだと思います。都は、広域的な立場から区市町村のバックアップに全力を注いでほしい、こう要望いたします。  次に、医療費助成制度についてお伺いします。  今回、老人医療費助成制度の見直しも提案されておりますが、この制度は、国に先駆けて都が実施してきた制度であります。制度の見直しの理由を説明してください。 ◯金内保健福祉部長 老人医療費助成制度は、国に先駆けて実施し、これまで制度の基本的構造を変えずに事業展開をしてまいりました。この間、高齢者を取り巻く社会経済状況は大きく変化をしております。  このため、一つとして、高齢者の増加に伴い財政負担が増大し、新たな施策の展開を困難にしていること、先ほど高齢政策部長の方からもございましたが、十一年度、都と国の老人医療費助成で七百五十二億円という巨額になっております。それから二点目、若年世代の税負担が増大することでございます。老人保健及び都の助成制度対象者は、一人を支える人数を比較をしてみますと、昭和四十八年は十七・二人でございましたが、これが平成十一年は五・四人、平成二十二年には三・五人という少ない人数で支えることになります。三点目は、都と同レベルの医療費助成を行っている県はなく、また、半数の県が医療費助成制度を実施していないことでございます。これらのことから見直すこととしたものでございます。
    ◯三宅委員 確かにこの委員会の資料によっても、財政負担が大きくなることはうなずかなきゃいけないかなと。ただ、この見直しに当たっては、現在の対象者には助成を続けること、また、我が党の主張により、六十四歳、六十三歳の方にも配慮をなされたことなど、激変緩和措置があります。このことで都民の方に理解を得られると私は思います。  日本の医療制度は高い水準にあるといわれております。そのあかしが世界最高水準の長寿社会になったことだといえるわけですが、制度がなくなって、高齢者の方が医療を受けられなくなるということがあっては、本当に困ります。高齢者の方の医療制度をご説明してください。 ◯金内保健福祉部長 簡単にご説明をいたしますと、七十歳からはだれもが国の老人保健制度の対象になりまして、低額の負担で医療が受けられるようになります。また、障害などをお持ちの方は六十五歳からこの老人保健の対象となります。このほかに高額療養費制度などもありまして、高齢者の負担額というのは青天井ではなくなってございます。 ◯三宅委員 今後は、高齢者の健康を守る、寝たきりなどを予防するということがより重要になってくると思います。そして、元気で生き生きと高齢期を過ごす──二十一世紀高齢社会ビジョンでもそのように述べられております。それがトータル的に社会的負担を軽くすることにもつながると思います。  介護や寝たきり予防に関する施策をどのように展開していくのか、お伺いします。 ◯金内保健福祉部長 今先生からもお話がございましたが、予防により元気な高齢期を過ごしていただくことを重点に施策を展開していきたいというふうに考えております。国におきましても、ヤング・オールド作戦を保健事業推進の柱として、寝たきりの予防などに取り組んでいくこととしております。  都におきましては、介護や寝たきりの予防策として、これまでの老人保健法に基づく健康診査や健康相談などいわゆるヘルス六事業──これは衛生局所管でございますけれども、高齢者の生きがいと健康づくり推進モデル事業など、多くの事業を実施してまいりました。今後は、さらに住宅のバリアフリー化やかかりつけ医定着促進事業、生活習慣改善事業などを実施し、介護、寝たきりの予防に力を入れてまいります。 ◯三宅委員 次に、特別養護老人ホーム経営支援事業についてお尋ねいたします。  都は、特別養護老人ホームの経営支援事業として百億円を予算に計上しておりますが、この事業は、入所しておられる方々のこと、施設経営の自立のことを考え、特別養護老人ホームに対する経過的支援が必要であるという、かねてからの我が党の提案にこたえたものであり、高く評価するものであります。  本件については、既に我が党の星野議員が予算特別委員会で質疑をしておりますので、本日は一点だけ質問し、要望しておきます。  今、民間企業はもとより、都も事務の効率的な執行に全力を挙げておりますが、特別養護老人ホームに対し経営の効率化の努力を求めるものであれば、本事業の補助金の申請交付等の事務も効率的に処理できるような仕組みにすべきであります。そのために都はどのように準備を進めているのか、お尋ねいたします。 ◯若林参事 特別養護老人ホーム等経営支援事業を効率的に執行していくためには、補助金の積算のもとになる基準につきまして、補助基準日を年間を通して決めることとか、あるいはできる限り施設単位で単価を設定することなど、補助の基準をあらかじめ明確にしておくこと、また、申請書類を簡略にして、決定事務を迅速に処理することなどが必要であるというふうに考えております。  さらに、本事業を実施するに当たりましては、ノウハウを持つ民間団体を活用するために、本事業を東京都地域福祉財団に、また、そのうちの役員、職員の研修につきましては東京都社会福祉事業団にそれぞれお願いすることとし、現在、協議を進めているところでございます。 ◯三宅委員 先日、私のところに特別養護老人ホームの施設長さんが参りまして、特別養護老人ホームに対する経営支援事業ができることになり、本当に安心しました、これから経営改革やサービスの向上など、特別養護老人ホームがやらなければならないことは責任を持って取り組みます、そのためにも、本事業の補助金を少しでも早く交付していただきたいというお話を伺いました。経営支援事業は、特別養護老人ホームが介護保険制度に円滑に移行できるよう支援することを目的とする期待の高い事業です。先ほど答弁がありましたように、事務処理の効率化を図り、予算成立後、本事業の補助金を一日も早く交付して、特別養護老人ホームの切実な思いにこたえていただくよう要望しておきます。  今、ずっと質問、また答弁をされてまいりましたけれども、これだけの大きな福祉改革を実行するからには、私は、担当職員の意識改革こそ最重要課題であると思います。福祉にかかわる職員の皆さんは、単に今までの延長でない、今までこうだったからというような経験則に基づかない、また、成功の経験に基づかない新しい発想で、常に時代の動きを見据えながら、これからの時代に本当にふさわしい福祉に積極果敢に取り組んでもらいたいと思います。  担当職員を指揮監督する室長のご決意を伺って、私の質問を終わります。 ◯神藤高齢者施策推進室長 仕事を進めるに当たりましては、やはり自分のものにする、そういう視点が重要だということは、私どもは常日ごろから考えているところでございます。今回の見直しや新たな施策の展開に当たりましては、部課長はもとより、職員とも議論を重ねまして今日の提案に来たわけでございますが、そういう点では、意識改革という点であれば、職員も私も前よりは一歩前進したのではないかというふうに考えているところでございます。  しかしながら、さらにこれを継続的にするために、私は、職員に対し、常に時代の動きを察知して都民の声に敏感でいること、すなわち、第一線の現場の声をきちんと掌握して対応する、区市町村や民間団体の声を聞いて対応するということ、そして、国や区市町村、民間との役割分担について考慮すること、また、都庁内部の施策連携について十分に検討すること、さらに、これらを進めるに当たっては、議論を恐れずにみずから提案できる職員になること、そして、そのような組織風土をつくること、こういうことを提案しているところでございます。  私は積極的に仕事をする人間ではございますが、強いリーダーシップがあるわけではございませんので、今後とも、職員ともども組織一丸となって、福祉施策の新たな展開に邁進する所存でございます。 ◯吉田委員 本厚生委員会、とりわけ、この高齢者施策推進室にかかわる重要な見直しの条例案が付託をされております。シルバーパス無料制度が事実上廃止をされます。老人福祉手当、さらに老人医療費助成制度、数年間でこれは廃止をされるという極めて重大な内容となっております。この三つの制度、条例は、それぞれ東京の高齢者施策のいわば根幹をなす制度であります。それだけに、やはりこの条例が付託された本委員会で必要な論議を徹底的に進めたいと思っております。  まず、冒頭、シルバーパスの話に入る前に、福祉施策の見直しの全体問題について、かなり大きな演説がありました。一言だけ私は意見をいわせていただきますが、日本の社会保障給付が非常に膨大、拡大をしているということを福祉改革なるものの理由に──私は改革とはいえないと思いますが、挙げられました。しかし、国際的には、いわゆるGDPの中に占める社会保障給付の割合が、日本の場合には、まだまだヨーロッパなどの諸国と比べて極めて低いということは明らかですし、GDPだけではなくて、国と地方の財政出動の中の比率を見ても、社会保障給付の比率は低いんだということは冷厳な事実だと思います。  また、高齢者がふえて、もう支えられないかのようなお話もありましたけれども、やはり高齢者といえども、みずから働き、またみずから必要な税や社会保険関係の支払いを行っているわけですし、高齢者イコール即生産人口ではないんだというふうにとらえること自身は、事実をゆがめるものだと思いますし、高齢者であっても必要な能力を生かして大いに働いていただくということは、やっぱり共通の道だと思います。  そこで、シルバーパスの問題について、まず最初に取り上げさせていただきます。  そもそもシルバーパスは、七十歳以上の都民ならだれもが利用できるという制度であり、高齢者の足ともなって、気軽に外出と社会参加を促し、そのことで寝たきり予防や介護予防としても大きな役割を果たしてまいりました。シルバーパスは、老人福祉法が掲げた基本理念、高齢者の生活と社会参加の権利を保障し、敬老の精神を具体化したものであり、だからこそ無料制度が基本とされてきたと私は考えます。しかも、こうしたすぐれた制度だからこそ、すべての政令都市に同様の制度が広がり、さらに全国の諸都市にも広がっております。  ところが、今回提案された条例は、このシルバーパスの命ともいえる無料制度をなくすというものであります。従来の二万五百十円についても、その対象者を住民税課税まで全体を拡大する、さらにそれだけではなくて、先ほどから話がありましたけれども、パスの発行を東京都から民間の事業者にゆだねると。これでは、形だけはパスの形が残ったとしても、これで現行制度の継続というふうには私たちは到底いえないというふうに思います。それで、まず全体の輪郭について確認をさせていただきたいと思います。  提案では、住民税非課税者からも年額千円、そして、それ以上の方からは二万五百十円を徴収するとなっております。二万五百十円負担の対象者数はおよそ全体の何割で、経過措置が終了した二〇〇三年、平成十五年の時点で具体の数として見た場合には、この二万五百十円を負担する基礎的な対象者数は何人なのか、そのうち、実際お金を払って二万五百十円を払って利用するだろうという方々の数は何人程度を皆さん方見込んでいるのか、ご説明をお願いいたします。 ◯金内保健福祉部長 二万五百十円の対象者でございますが、全体の人口から見まして、私どもは二九%というふうに見込んでおります。ちなみに、平成十五年度というお話でございますけれども、対象者は、資料にございますとおり四十万八千人、そのうち、交付と想定される者は十四万六千人と見込んでございます。 ◯吉田委員 四年後には、数でいえば約四十万人が二万五百十円を払う対象になるということ自身が、非常にやはり千円の問題と同時に大きな事実だと思うんですね。しかも、当然、そういうことになれば、少なくない方々が購入しないという事態がやっぱり生まれるわけで、皆さん方の推計でも約三割強、四割弱の方々しか多分使わないだろう。しかし、これ自身ももっと使わない可能性だってもちろんあると思うんですよね。なぜなら、今の時点で二万五百十円を払っている方というのは、たしか基礎的な対象者数の二割を切っていると思いますから、もっとそれが所得が下がるわけですから、果たして三割以上、本当に使うのかということすら私はいえることではないのかというふうに思うんです。  次に、基礎的な点で確認をさせていただきたいんですけれども、事業の主体が指定団体ということで、東京都ではなくバス協会に今の予定では変わるということになっております。これは、東京都がバス協会に事業を委託をするというふうに理解をしていいのか、委託ではなくて、全く切り離されたバス協会の独自事業に対して東京都が補助をするんだという関係なのかということをまず確認させてください。 ◯金内保健福祉部長 先ほどご答弁をいたしましたとおり、事業主体はバス協会でございます。ただ、東京都とバス協会が綿密に協力をしなければ、この事業は成り立ちませんので、いわば共同事業ということができようかと思います。 ◯吉田委員 じゃ、委託じゃないということをちょっと確認させてください。 ◯金内保健福祉部長 委託ではございません。 ◯吉田委員 次に、財政危機その他、今日の高齢者の所得状況からすれば、有料化は何ら問題ではないんじゃないかという議論があります。しかし、これはまたいろんな意見が出るかもしれないので、既に他の政令指定都市の資料が出されておりますけれども、この政令指定都市の資料を見る限りでは、少なくとも政令指定都市の多くがこの無料制度堅持している。しかも、ただ無料制度ではなくて、そもそも東京のように有料と無料の二段階じゃなくて、その所得制限すらないようにこの資料で見ると見受けられるわけですし、また、見直しの検討ということについても、資料で見る限りは、仙台市のみが見直しを検討しているかのようにうかがえるわけですが、ご説明をお願いいたします。 ◯金内保健福祉部長 現在、都を除きまして、政令指定都市十二市のうち、無料交付のみを行っているのは九市でございまして、仙台市の見直しでございますけれども、利用者の一部負担を検討されていると聞いておりますけれども、具体的な内容については伺っておりません。 ◯吉田委員 今もお話がありましたけれども、表を見ても明らかなとおり、とにかく政令指定都市の中の九市は完全に無料制度を続けている。しかも、見直しは仙台一つだけであるというのが事実です。もちろん、それぞれ交通機関や、あるいは予算規模も違うでしょう。しかし、やはり小さいところは小さいところなりに、それ自身、財政が逼迫をして大変であるということは、そう大きく違わない事情だと思うんですよね。その中で、それぞれがやはりこれだけの努力をしているんだということも、私たちとしては大きな状況としてしっかりと押さえて検討していく必要があると思うんです。  次に、条例に則してもう少し具体的に質問させていただきたいと思います。  まず、シルバーパスの事業者、発行者が、東京都ではなくて、今の予定ではバス協会に指定するということについてです。  都は、老人福祉法など法的な責務に基づいて東京の高齢者福祉を行っていますし、そういう高齢者福祉施策の一環としてシルバーパス事業を実施してきたものだと思います。都民は、そういういわば福祉を受ける権利としてシルバーパスの交付を受けるということだったと思います。ですから、現在のシルバーパスの条例では、第二条に、シルバーパスの交付を受けることができる者はということで、権利性の立場から規定をしています。それが、提案では、実際には費用の大半は都から出るものの、お金は、事実上、今までとそう大きく変わりなく出るんだけれども、それはあくまでも補助金であって、委託ではない。シルバーパスの発行主体はバス協会。したがって、条例からも交付という文字はなくなりましたよね。受けることができるという権利的な規定も当然なくなりました。  それで、条例案では、「指定団体は、発行しなければならない。」というふうに規定しているわけですね。その場合、都民がパスを受け取る行為というものはどういう行為なのか。すなわち、バス協会から購入するという行為なのか否かという原則論について、ちょっとご説明をお願いいたします。 ◯金内保健福祉部長 購入という行為かどうかということでございますが、一般的な購入の場合には対価ということがございますので、定かにはそうはいえないとは思います。ちなみに、平成二年に国税庁の見解を伺いましたところ、地方自治体が実施する老人パス等は、その内容が赤字補助金的な一般会計繰り出しであるから、有料パス、無料パスとも不課税だという話がございます。したがいまして、一般的な商行為ということはいえないというふうに思います。 ◯吉田委員 部長、今の後段の説明は、それは、地方自治体がパスを交付するときについての商法上の見解だと思うんですが、明らかに先ほど確認したように、委託でもなくて、バス協会が独自の事業として販売するんですか、どういうものですか。だから、そこは当然今までと違うわけでしょう。そこをただしているんですよ。それは売買なのか何なのかということです、買い求める高齢者とバス協会との関係は。 ◯金内保健福祉部長 先ほどご答弁しましたとおり、赤字補助というような性格があることから、国税庁では不課税というふうにいっております。したがいまして、単純な商行為というわけにはいかないというふうに思います。 ◯吉田委員 いろいろご意見はあるかもしれませんけれども、これはかなり厳格な、将来にわたるいろんな問題が出てくるわけですよ。これが売買の商行為なのか、あるいはそうでないのか。じゃ、商行為でなかったら何なのかということになるわけですよ。それに付随する問題が出てくるので、私は大変しつこいようだけれども聞かせてもらっているんですが、じゃ、商行為でないということは、これはどういう行為ですか。 ◯金内保健福祉部長 従来もそうでございますが、今後、細かい内容を詰めていきまして、きちんと性格を明らかにしたいと思います。 ◯吉田委員 これは、細かいというんじゃなくて、原則論ですよ。ぜひ明快な答弁を、今すぐこの場で出なくてもいいですから、例えば、少なくともこの委員会が終了するまでとか、あるいは私どもが態度表明するまでの間に、商行為でないとしたら何なんだということをぜひ回答いただきたいんですが、よろしいでしょうか。 ◯曽根委員長 速記をとめてください。    〔速記中止〕 ◯曽根委員長 速記を始めてください。  質問を続けてください。 ◯吉田委員 例えば、この問題は、私がこれからいう質問に重なるんですよ。これは予算特別委員会の中でも聞いて、余りはっきりした答弁が出なかったので、もう一度質問させていただきますけれども、今までですと、東京都知事は交付をする、都民の対象になる方々はそれを受け取る権利があるという、そういう関係だったと思うんですよね。ところが、どうもこれが売買なのか何なのか、ちょっと今のご答弁ではっきりしない。  そこで、具体的な問題なんですが、パスを紛失した場合の再発行が、例えばこういう問題に重なってくるわけですよ。今、ちょっとそのことを聞く前に確認したいんですが、やはりどうしてもお年寄りの場合、紛失ということはある程度生まれることは避けがたいと思うんですが、紛失、あるいはそれだけに特定することができないかもしれませんが、パスを再発行する数というのは年間どのぐらいありますか。 ◯金内保健福祉部長 平成十年十月から十一年九月までの一年間でシルバーパスを再交付をした枚数でございます。これには、今おっしゃったような紛失と、それから都内で住所が変わったという場合、住所を書く欄がございますので、それで再発行を求める。それから、破損だとか、あるいは汚したような場合、これらが全部含まれておりますけれども、全体で一万七百二十五件でございます。 ◯吉田委員 先ほどもういってしまいましたけれども、紛失の場合に、これまでどおり再発行ができるのかということはどうなんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 現在検討しております。  その前にちょっと申し上げたいんですが、過日の予算特別委員会で、二月二日の説明会への資料の中に、再発行はしない、定期券並みの扱いだというお話がございました。ここに、私、事務説明会の資料を持ってきております。この中には再発行のサの字も出ておりません。これは確認をさせていただきます。その上でご答弁申し上げます。  現在、バス協会等と具体的な内容の詰めを行っております。その中で、基本的には現行制度をなるべく維持したいという方向で、いろんな問題について検討を続けております。 ◯吉田委員 じゃ、事実は私どもで確かめさせていただきますけれども、私が聞いている話では、(「聞いた話だけじゃだめだよ」と呼ぶ者あり)ですから確かめるわけですよ。法律上、再発行は困難だという旨の説明ということはないですか。 ◯金内保健福祉部長 説明会の席上におきまして、ある区市町村の担当者の方から、再発行はどうなるのかという質問がございました。一般の定期券等の場合には再発行はできないということは、皆さんご存じのとおりだと思いますので、今までどおりやりたいけれども、そういう問題もあるので、バス協会とよく検討してまいりますというふうにお答え申し上げたはずでございます。 ◯吉田委員 関連で、もう一つ具体的なことをちょっとお聞きしたいんですが、例えばパスの発行、受け取り等をめぐる苦情の申し立ては、今までは東京都が発行者で、交付責任がありますから、東京都がそういう苦情を受けとめるということになると思うんですけれども、今回は、これはバス協会ということになるんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 苦情処理の問題についても、現在、バス協会の方と検討しております。従来も、例えば窓口の接遇の問題であれば区市町村に苦情が行き、あるいは運転手の態度の問題であれば私どもにも来ますし、バス事業者の方にも行っております。今後、具体的な役割分担をすることになろうと思いますけれども、基本的な仕組みの問題については、私どもが責任を持ってお答えをしたいというふうに思います。 ◯吉田委員 紛失と苦情処理のことを聞きましたけれども、結局これは、バス協会が対象となる年齢の都民の方々に発行するという行為がどういう行為なのかという、先ほどの、今後ご答弁をもらうことのスタンスとそれぞれやはりかかわってくる問題だと思うんですね。ですから、私は、そういう点について明確な、この時点で明確なご説明ができないというのは、条例を審議する上で、なぜそれが用意されていないのかというふうにやっぱりいわざるを得ないと思うんです。  次に質問を進めさせていただきます。  先ほども三宅副委員長からのお話がありました。条例案では、東京都が指定団体を指定をする、そして、その指定をされた団体はパスを発行しなければならないということが条文でうたわれています。しかし、これは当たり前のことでありますけれども、じゃ、その指定したことによって、それ自身が、相手がパスを発行しなければならないという法的な拘束力というのはあるんですか。 ◯金内保健福祉部長 条例といえども法令でございますので、指定団体の方でシルバーパス事業について受ければ、この条例の拘束力はあるというふうに思います。 ◯吉田委員 だから、要は、相手が受けるか受けないかによってはこの条例は成り立たないと、やはりそういう世界に入るわけですよ。今までは東京都が発行主体ですけれども、今度は発行主体はバス協会になるわけですから(「便利になるんだよ」と呼ぶ者あり)それはわからないですよ、何が起きるかわからないんだから。だから私は、こういう一字一句、条例に則して確認しているわけですから。  例えば運賃の支払い問題がもめて、もうこれだったらうちはやってられないよ、指定団体はやめたということになれば、当然パスの発行の主体が宙に浮くということだって、厳密な法解釈からすればあり得るわけですよ。いわば、そういうことをあえて踏み込むということを私は強調しておきたいわけです。  次に話を進めたいと思います。  次に、バス協会への補助と利用者の負担の問題について質問をさせていただきます。  発行主体をバス協会に切りかえる理由については、今回、具体的な形として示されましたけれども、そういう構想は昨年の事務事業質疑のときから既にいわれておりました。そのときに理由についても述べられておりまして、きょう、今回についても同様の説明がありました。その大きな一つが、これから財政的に年々増大するという中で、これまでのような運賃補償方式をとっていけば限界がある。それを解決するために、東京都が発行するのではなくて、民間の事業者が発行するというふうに切りかえるんだということがいわれてきたと思うんです。  そうしますと、いずれにしても、七十歳以上の高齢者がふえれば、当然発行対象が膨らみます。このふえる分を抑えようということになれば、二つしか道がないと思うんですね。それは、バス協会がいわばある程度、東京都から来る補助金を少なく抑えて、その分、自分たちで何とか努力をしてカバーするか、それとも利用者の側の自己負担をふやすのかということしかないと思うんですが、バス協会とは、そうするとかなり人数がふえて、本来ならば補助金がふえないとだめだけれども、それをある程度一定額で抑えても結構ですよというふうな基本的な合意なりがあるんですか。どういう形で抑えるということになるんですか。 ◯金内保健福祉部長 先ほどもご説明いたしましたとおり、今回の見直しの内容について、全容をバス協会の方にその点も含めましてご説明をいたしまして、三月十五日の理事会において協力するということになったものでございます。 ◯吉田委員 もう一度確認しますが、費用がふえる、これを解消するためには二つしかないわけでしょう。利用者負担か、ないしは直接のバス協会の側の補助金をかなり我慢してもらうか、どっちなんですか、皆さん方のスタンスは。 ◯金内保健福祉部長 昨年におきましても、経営委員会等で私も説明をいたしました。今回の提案の問題につきまして、こういうこともあり得るということでお話をし、補助ということはそういうことだということでバス協会の方では認識をしております。 ◯吉田委員 そうすると、バス協会に対する補助金をある程度抑える、我慢してもらうということで、バス協会とは合意をしているということですか。 ◯金内保健福祉部長 補助、しかも予算制度がございますので、そういうこともあり得るということで認識をしております。 ◯吉田委員 具体的なバス協会に対する補助金を支払う、その計算方式というものは、今度の条例案ではどういうふうになるんですか。 ◯金内保健福祉部長 従来は、運賃補償単価と交付枚数を掛けて、それぞれバス協会の内部には、バス事業者、走行路線数が違ったりいろいろございますので、計算をいたしましてやっておりますけれども、今度は運賃補償単価にかわりまして補助単価ということになろうかと思います。そこから利用者負担額を引いたものが補助額として行くということになろうかと思います。  ちなみに申し上げますと、現在も運賃補償方式をとっておりますけれども、予算の範囲内ということでバス協会の方にはご協力をいただいております。 ◯吉田委員 具体的に、バス協会と現時点でこういう内容で合意しているんだということを、もう一度はっきりいってもらえませんか。 ◯金内保健福祉部長 先生方ご存じのとおり、まだこの見直し案につきましては都議会の合意を得たわけではございません。したがいまして、私ども、案として今お話をして、内々の了解といいますか、議会の同意を得られるという条件のもとに理事会で了解をいただいたものでございまして、基本的な筋、それから細かい点については今両者で詰めているところでございます。 ◯吉田委員 私は細かいことを聞いたつもりではないんですけれども、いずれにしても、次に話を進めさせていただきます。  次に、自己負担の問題なんですけれども、今提案されているのは千円と二万五百十円ということなんですけれども、条例案の第四条では「パスの利用及びパスの発行に要する費用」というふうに規定しているだけだと思うんですけれども、この千円というのはどういう性格のお金なんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、若年層との負担の公平を図る観点から、高齢者にも負担を求めることといたしまして、事務費相当額をご負担いただこうというふうにしたものでございます。 ◯吉田委員 事務費相当額というのも、事務費なのか、事務費じゃないんだけれども、大体事務費と同じ程度という意味なのか、非常にあいまいなんですよね。というのは、事務費だったら、例えば事務費が上がるたびに、皆さん方からは、事務費相当額なんだからもらいますよということになるわけですよね、もしそういうふうに枠組みをつくったとすれば。それで一つの説明がいいかどうかは別にして成り立つわけですが、そうしませんと、何かわからないあいまいなものだったら、一体いつ上がるのか、どういう理由で上がるのかということがさっぱりわからないわけですよ。  もう一度、その千円というのはどういう性格の負担額なのか、あるいは計算の根拠があるのか、ご説明をお願いいたします。 ◯金内保健福祉部長 千円の事務費相当額につきましては、交付に要する費用相当額程度ということでございます。  それと、この利用者負担額につきましては、今回もそうでございますけれども、きちんと予算で審議を経ることとしておりますので、条例あるいは規定、どこに根拠があろうとも、議会の審議を経ることになるというふうに思います。 ◯吉田委員 これは将来のことがあるので、やはりこれだけの全く新しい制度をつくろうとするわけですから、いささか細かいことも質問させていただきますが、私は、当然多くの方が疑問に思う点だと思うんですよね。  そうすると、その事務費というのは具体的にはどういうものを指すんですか。 ◯金内保健福祉部長 一般にバスカード等がございます。バスカード、バス共通カードというのがございます。その際にも交付といいますか、向こうは販売というんでしょうが、手数料は当然、販売手数料というような形がありますし、発行に要する経費、印刷だとか、カード作成に要する経費、それから販売に要する経費等がございます。そのほかに、シルバーパスの場合にはシルバーパス固有の事務がございます。したがいまして、それらを合算いたしますと、今回の千円と相当と思われる額になるというふうに思われます。 ◯吉田委員 なぜこういう質問をしたかといいますと、代表質問の答弁の中で、負担額の改定はどういう場合に起きるのかということを質問させていただきました。そのときに、負担額の改定に当たっては、バス事業を取り巻く状況の変化ということをいわれました。  もし、例えば事務費相当というふうにある程度規定するとすれば、事務費相当が上がるたびにおのずと──もちろんそれは議会にということは当然でしょうけれども、ということじゃなくて、極めてあいまいな、バス事業を取り巻く状況の変化ということをいわれましたが、これは、例えば今、バス事業というのはそう経営的に楽な状況じゃないと思うんですよね。しかも、不採算路線などを抱えて、バス路線そのものを撤退するかというふうな動きなんかも都営交通自身も見られるわけですが、バス事業を取り巻く状況ということを改定の一つの理由に挙げたということは、こういうバス事業者の経営状態というものをやっぱり考慮せざるを得ないというふうに理解してよろしいんでしょうか。 ◯神藤高齢者施策推進室長 私がそのとき代表で答弁したと思いますけれども、バス事業者を取り巻く状況と申しますのは、十三年から規制緩和等もございまして──今までは、いってみれば赤字も黒字もそういう路線も引きずってくれてやっていただいた、そういう状況がございますが、十三年以降は、まだはっきり読めないのではございますが、仮に黒字路線だけをバス協会がやるようになれば、それはやっぱりおのずから少し考え方を私どもは変える必要があるんだろうと思いますけれども、まだ今、先の状況が必ずしもそういうことも申し上げられませんので、社会状況の変化というふうに申し上げたところでございます。 ◯吉田委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、次に話を進ませていただきます。  先ほどから話題になっていましたけれども、負担を受ける分を、一つはシルバー人材、高齢者の雇用に役立てたい、もう一つは、コミュニティバス等に役立てたいということが大きくいわれました。  そこで、利用者の負担額というものは、東京都に入るのではなくて、バス事業者に支払われるということは答弁があったわけですけれども、まずシルバー人材の方なんですけれども、バス事業者が雇用をするんですか、それとも何か別な形で、例えば東京都が雇用をするんですか。そこの仕組みはどういうふうに考えているんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 現在、パスをどうやって交付するかということは、具体的な点について詰めておりますけれども、恐らくバス協会の方から個々のバス事業者の方に交付を委託するということになろうかと思います。  先ほどご答弁申し上げましたとおり、シルバーパスの場合には十月一日が更新の時期でございますので、九月に集中して更新がございます。今のバス事業者の有する販売所の活用といいますか、それは限界がございます。したがいまして、別に臨時の交付場所を設けまして、そこに、シルバー人材センターの場合は委託ということになろうかと思いますけれども、シルバー人材センターの方に来ていただいて、パスを交付していただくというような方法を検討しているところでございます。 ◯吉田委員 ちょっとわからなかったのは、シルバー人材に委託をする形になるだろうと今いわれましたよね。その委託の主体なんですよ。バス協会が委託をするのか、東京都が委託をするのか。  じゃ、あわせて質問しますけれども、そのときに事業の主体はバス協会であり、さらにそれが各バス事業者、バス会社であり、バス会社が販売をするという形になりますよね。そうすると、バス協会、もし東京都がやるんだということになれば、それは、また今度はバス協会ないしはバス会社から東京都に販売の委託が回ってくるのかどうかという、非常にそこがわからないわけですよ。
    ◯金内保健福祉部長 失礼いたしました。  現在詰めているところでございますが、先ほど、そういうふうになるのではないかというふうに申し上げましたけれども、バス協会ないしはバス事業者の方からシルバー人材センターの方に委託されるということでございます。したがいまして、シルバー人材センター、詳細は詰めておりますから、まだわかりませんけれども、交付に要する経費をどういうふうに負担をしていくか、具体的なものは今後詰めてまいりたいというふうに思っております。 ◯吉田委員 そうすると、バス協会がシルバー人材に委託をするということは、当然、バス協会に入った利用者の負担額が使われるということですよね。それでいいんですね。 ◯金内保健福祉部長 詳細については現在検討しております。お金に色はついてございませんから、どこがどうのということではございませんで、仕組みの問題だというふうに私は理解をいたしますけれども、詳細は検討しております。 ◯吉田委員 いや、今のは、経営努力をしなさいということを皆さん方はいっているわけですよ。そのときに、片や、発行に関してはシルバー人材を使ってくださいというふうに東京都からお願いをするのかどうするかわかりませんけれども、どういうふうにするかということは、バス協会あるいはバス会社固有の仕事なわけでしょう。だって、それはシルバー人材を使うか使わないかなんていうことは、どうやったら一番効率的か、それぞれのバス会社がどういう販売所を持っているか持っていないかだとかという極めてそういう個別のことであるにもかかわらず、先ほど部長は、いや、これによって何かもう延べ六万人の雇用が発生するみたいな、極めて確定的な推計をされたわけですよ。  今の話だと、一体どうなるか、まだバス協会側の問題であって、確定的なことはいえないじゃないですか。どういう根拠でその六万人なんて計算をしたんですか。 ◯金内保健福祉部長 シルバー人材センターの活用につきましては、具体的なところまでは詰めてはおりませんけれども、基本的な点でバス協会の方と詰めてございます。  それから、もう一点でございますが、先ほど六万人、確定的なことを私が申し上げたというふうに今先生はおっしゃられましたけれども、一定の前提を置いて申し上げたはずでございます。二百カ所程度要るのではないか、そこに三人張りつくとすれば、平年度で六万人になるというふうに申し上げたはずでございます。 ◯吉田委員 ちょっと参考までに、こういう計算で六万人ですよというのをいってくださいよ。(「今いったじゃないか」と呼ぶ者あり)わからないよ、だって、それは。 ◯金内保健福祉部長 一斉更新時にどういう対応で当たるか、今詰めているところでございますから、これからまだ具体的なところはわかりませんけれども、二百カ所、三人、それから一カ月間ですから三十日、これを計算いたしますと一万八千人になります。それから、平年度、これにつきましては七カ月、十二年度の場合には九月からという更新になりますけれども、十三年度以降は毎月やることになります。つまり、十二年度の場合は現行制度で九月まで行きます。したがいまして、十二年度と十三年度以降は違いますので、平年度というふうに申し上げましたけれども、そのほかに、一斉更新時のほかに、十一カ月につきまして、常に七十歳に達せられる方もございますので、それについても先ほどと同じような計算をいたしまして、これは七日間で計算をいたしましたが、これを計算いたしますと四万六千二百人になります。これを積み上げますと、六万四千二百という数字が出てくるはずでございます。 ◯吉田委員 私は、皆さん方が、こういう自己負担額が雇用に役立つんだということを胸を張っていわれるから、果たしてそれがどの程度役立つ見通しがあるのか、その具体的な根拠をただしたかったわけです。  例えば、じゃ、全部シルバー人材が発行するのかということになれば、そうじゃないと思うんですね。各バス会社に通常の窓口その他があるわけですよ。総額で例えば八十万とか九十万弱とかという数を発行する。それを六万人ということになれば、一人当たりの発行枚数が幾らかというふうなことになって、果たして妥当なものかどうかというふうにお聞きしましたけれども、先ほどの話を聞くと、そもそもこのシルバー人材の活用についても、具体的にバス協会と合意をしているわけじゃないし、また、あくまでも直接的なパスの発行手続、シルバー人材をどう使うか否かは、あくまでもバス協会あるいは各バス事業者の責任に属する問題なんだということを確認させていただきます。  次に、負担の問題について話を移らせていただきます。  千円ぐらい安いじゃないかということは、話としては通用することだと思うんですよね。しかし、私が訴えたいのは、シルバーパスだけを見ればそういうことになるかもしれません。もちろん、それでも嫌だという人だって生まれると思うんですけれども。  ただ、まず確かめたいのは、シルバーパスが今まで使ってきた所得基準というのがあると思うんですよね。今度、年金収入二百六十六万ですけれども、現行の所得水準でいえば、たしか三百五十八万円ですか、これはシルバーパスだけに使っている所得基準じゃないと思うんですよね。他の高齢福祉の施策で、シルバーパスだけではなくて、他のサービスを受けるときにも、年金換算で三百五十八万円、これより上ならば有料、これより下ならば無料というふうに枠組みがつくられていたと思うんですが、このシルバーパスの所得制限の引き下げ、しかも、それ以下は無料じゃなくて有料ですよというふうにしようとしているわけですが、そうすると、これは他の福祉サービスにどういうふうに連動するということになるんでしょうか。 ◯有手高齢政策部長 各事業にはそれぞれの設立の趣旨、目的があります。連動いたしません。 ◯吉田委員 まず参考までに、じゃ、シルバーパスと同じ所得制限を使っているサービスをちょっと紹介してください。連動しないというふうに胸を張ったけれども。 ◯金内保健福祉部長 この四月からは介護保険制度に移行しますので、現在といいますか、三月現在と申し上げましょうか、ホームヘルプサービスが同様の基準を使っております。 ◯吉田委員 それだけですか。 ◯金内保健福祉部長 そのほか日常生活用具の給付、それから緊急通報システム等が使ってございます。 ◯吉田委員 そうすると、現時点では、ホームヘルプサービスについては、基本的に介護保険に移行するという保険料利用の世界になりますが、それ以外に緊急通報システム、高齢者日常生活用具給付等事業ですか、これは今、有手部長が非常に胸を張って連動しないというふうにいいましたけれども、間違いないんですか。 ◯金内保健福祉部長 ちょっと今手元に詳細なものはございませんけれども、個々の事業についてそれぞれ判断をしていくはずでございます。 ◯吉田委員 個々の事業といいながら、シルバーパスが一たんこういうことになれば、やはり当然、シルバーパスですら千円もらっているんだから、ここだって無料なしよということになっていく危険性、可能性というのは、決して誇大な話ではないと僕は思うんですよ。しかも、政策としての整合性というものを当然行政としては考えざるを得ないと思うんですよ。なぜなら、そういう同じ所得制限をとってきたわけだから。  シルバーパスだけが特別な所得制限を特別な判断でとってくれば別ですけれども、これは、ホームヘルプサービスにしても緊急通報にしても同様の判断であり、しかも、対象は基本的に同じような人たちなわけですよね。子供たちと高齢者で全然別々なものを対象にしていれば、また違う判断があるかもしれませんが、そういう連動する可能性があるんだということを私はやはり危惧せざるを得ないというふうに、有手さんは胸を張っていわれましたけれども、それはいわざるを得ないと思うんですね。  もう一つ、やはり千円あるいは二万五百十円の負担の問題を考えるときに、とりわけ来年度を中心にして、あるいはその段階措置その他ありますけれども、一斉に高齢者にとっては新たな負担が発生する。逆にサービスが削減をされるというものが非常に集中しているというのが、他の世代等と比べてみても特徴だと思うんですよ。  国の制度あるいは東京都自身の制度等で、そういう高齢者を対象に負担がふえる、あるいはサービスが削減をされるというものとして、どうですか、当然やはりそういうことを認識した上で考える必要があると思うんですが、どのようにそれは承知していらっしゃいますか。 ◯金内保健福祉部長 今回のシルバーパスの見直し、その他の見直しに関しましては、総合的な判断の中で個々の事業をどうするかということで見直しをしてまいりました。  一方で、新たな施策もございます。当然、サービスが充実するというものもございますし、ある利用者にとっては、今まで私はシルバーパスしか利用していないという方にとっては、多少不便になることがあるかもしれません。全体的には私は高齢者施策は充実するというふうに確信をしております。 ◯吉田委員 確信をするのはそれぞれ結構ですけれども、現実的に、来年を機に国の制度、東京都の制度においても新たな負担が発生する、あるいはサービスが削減をする施策というのが集中しているでしょう。そこをどう認識しているんですかと聞いているんですよ。 ◯金内保健福祉部長 今回は、総合的な観点から、先ほど来、高齢政策部長の方からも話もありましたし、私の方からもいたしましたけれども、全体的なものを見直ししたものでございます。したがいまして、いろんな事業につきまして変わるということはあります。ただ、総合的に見ますと、高齢者施策は充実するというふうに私は確信をしております。 ◯吉田委員 そんなに私、自分の固有の理屈を振り回しているつもりは全くありません。やっぱり私たちは事実を直視する必要があると思うんですよ。  例えば、国の制度でいえば、これは東京都、区市町村とも重なりますけれども、いうまでもなく介護保険の保険料というものは、まず六十五歳以上ならば、無条件で新たにことしの四月から年金から天引きをされる。さらに、寝たきりの高齢者を抱え、介護保険のサービスを受ける方々の場合には、それだけではなくて、一割の実費の利用料を払うという負担が始まります。また、七十歳というシルバーパスの年齢を考えれば、国の、いわゆるマル老の負担もふえてきます。  そして、東京都の制度でいえば、このシルバーパスの新たな負担がふえます。さらに、六十五歳から六十九歳の場合には、老人医療費助成制度が、八年間だけは段階的に継続しますけれども、九年目からは完全廃止になる。さらに、先ほどから話がありましたけれども、老人福祉手当、これも三年間だけは経過措置はありますけれども、四年目からは全くなしになる。これはもう非常にはっきりしている事実です。  それだけではなくて、例えば障害福祉の分野を見ても、これも前にいわせていただいたことがあると思いますけれども、障害者施策の中でも、例えば六十五歳以上の方々をカバーしている施策がありますけれども、障害者の医療費助成制度、また重度障害者手当、あるいは心身障害者福祉手当については、新規の六十五歳はそもそもはなからだめですよということになります。  さらに、東京都の住宅施策についてもいえますし、これは各区市町村によっても違いますけれども、例えば区の高齢者福祉サービスなんかも、ホームヘルプサービスはもう介護保険で一割負担の世界なんだから、例えば保険外のサービスについても、今まで無料のものでも、一割というふうになるかどうかわかりませんが、それぞれ千差万別な面もありますが、全体としては通常のサービスについても新たな負担を求めるという方向に進んでいることは明らかだと思うんですよね。私はやはり、そういう全体的な状況の中で判断をするということが、行政におられる立場としても、それを抜きにしてそこだけを考えるというのは、的確な判断にはならないんじゃないかというふうに思うわけです。  そこで、ちょっと具体的に確かめたいんですけれども、保険料については、資料で各区市町村ごとのものが出ています。高い場合に三千三百円がありますけれども、利用料負担についてちょっと確かめたいんですけれども、資料で平成十二年度と十三年度の利用料負担の総額が出ています。これを介護保険を利用するであろうという方々の数で割った場合、一人当たり利用料負担の年額は幾らになるのか、ご説明をお願いいたします。 ◯岡本介護保険対策室長 一人当たりの利用額ということでございますが、実は私どももかつて、平均的な高齢者像と申しますか、そういうものを分析したいということで、何らかの説明方法を検討したことがございます。ただ、そのときにも、いわゆる介護サービスというものが、要介護度あるいは個々人の状況によりまして大変異なるということもございます。そういった意味で、平均という考え方、これが実態に合うのかということは大変難しいところではないかというふうに考えているところでございます。 ◯吉田委員 それが適切か否かというふうに別に断定的にいうわけじゃないんですが、単純に利用料負担の一年間総額があるわけでしょう。それと、介護保険を要介護認定によって受けるであろうという人の数があるわけだから、それを割ったらどのぐらいになりますかと聞いているんですよ。 ◯岡本介護保険対策室長 これはあくまでも計算上ということでございますが、幾つかの前提条件を置きまして、平成十一年七月二十一日のワークシートでの要介護者の数字、それから要介護度別の人数を、二月末の認定状況の分布、さらには単価につきまして、特別区の在宅における利用額、また加えまして、仮に全員が平均の利用額を同じ割合で利用したというふうにした、そういうもろもろの条件のもとで試算をしますと、これはあくまでも計算上でございまして、数字はひとり歩きできないわけでございますが、要介護度三で申しますと、一万四百五十二円というふうに出ております。また、要介護度二ですと七千六百八十二円と。(吉田委員「年額ですか、それは」と呼ぶ)月額でございます。 ◯吉田委員 なかなかお立場上、慎重に答えざるを得ないことかと思いますが、私が単純に割れば、すべての利用料総額を受ける人の数で割れば、たしか年額二十万を若干切るというぐらいの金額になるのではないかなというふうに思います。それはもちろん千差万別ありますけれども、どれをとってとらえるのが一番的確な判断になるかわかりませんから、そういういい方をしましたが、それはあくまでも個々のケースでありますけれども、そういうことも含めて負担が発生するんだということをやはり見ていただきたいと思うんです。  最後に、社会経済状況が変化をしたということが盛んに述べられております。その一つとして、例えばグリーンペーパーなどでも、可処分所得を見た場合に、高齢者世帯と、あるいは三十代、四十代を比べたときには、一人当たりの可処分所得では、六十五歳以上の方が三十代、四十代より並ぶか高いぐらいの状況があるんだということを新しい特徴であるかのように説明されていらっしゃいますが、私が見た限りではそんなものじゃなくて、これは以前から同じような傾向として続いてきたんじゃないかというふうに思うんですが、どうでしょうか、これは。 ◯有手高齢政策部長 六十五歳以上の可処分所得、一人当たりの比較につきましては、六十一年度の調査からそういった分析がなされるということになりまして、その後の推移を見ておりますと、手元の資料で申し上げますが、平成元年には、三十歳から三十九歳の方が百十五万円、六十五歳以上が百三十一万ということでございます。そして平成十年度におきましては、三十歳から三十九歳が百六十一万円、六十五歳以上は百七十五万円、こういった状況になってございます。 ◯吉田委員 私はもっと古いレベルから比べていただけるかと思いましたけれども、今、元年と十年を見ただけでも、元年の時点でも、三十歳代の一人当たり可処分所得、百十五万円ですか、このときで既に六十五歳はそれより約十五万高い百三十一万円と。こういう傾向というのは、もっと古いものも私は見ましたけれども、基本的には何ら変わらないというのがまずあるわけです。それを、何か最近のにわかな現象であるかのような印象を与えているわけです。  もう一つだけ変化のことでいわせていただきますけれども、例えば年金受給者の中で厚生年金と国民年金を比べれば、国民年金の受給者の方が約六割を占めていると思うんですよね。その国民年金の受給額がどのように変化したのかということを資料で──また何か資料が出ているんじゃないかといわれるので……。資料がすぐ出てこないんですけれども、四ページにあります。  これを見て明らかなとおり、例えば国民年金は、昭和五十年度、月額一万四千六百三十一円が、平成十年度、五万八百九十六円です。率にすればこれが約三倍に伸びたというふうになるかもしれませんが、二十数年の間に実額で見ればわずかに三万六千円しか伸びていないんですよ、国民年金の平均的な受給額というのは。率でいうと三倍も伸びたというと、いや、結構伸びているじゃないかと思うかもしれないけれども、実額でいえば、二十数年かかってわずかに三万六千円しか伸びていない。率で幾ら伸びた伸びたといわれたって、何もそれはプラスにならないわけですよ。  それで、一つだけ最後に確かめたいんですけれども、例えば、東京都の職員の方の同じ時期をとった大学卒の初任給というのは、この昭和五十年と平成十年を比べて実額でどれだけ伸びていますか。 ◯有手高齢政策部長 東京都の職員の初任給でございますが、大学卒程度、五十年の場合は八万二千五百円、そして平成十年度は十八万四千二百円ということでございます。  今お話がありましたけれども、バブル経済までは日本経済が非常に高度成長だったということで、福祉費の、あるいは社会保障費の関係の費用を飲み込むだけの経済成長があった、そういう中で福祉施策をどんどん拡充してきたといったような状況があろうかと思います。そして、ここのところバブル経済が終わりまして、国民の経済力、負担力がだんだん落ち込んできている。それに対して高齢者が急激にふえていくという、このギャップが今のような問題をここのところ顕在化させている。  そういうことから、私どもも、このままいくと都の福祉政策を維持することは難しい、こういう考え方から今回もやりましたので、今吉田先生がご指摘の事実は事実として認めますけれども、そういう背景を十分ご認識いただいて、ぜひご理解を賜りたいと思います。 ◯吉田委員 最後に、質問じゃなくて、今改めて部長から演説もありましたのでいわせていただきますが、いずれにしても、東京都の職員の方の大学卒の初任給は、同じ時期を見た場合に十万円上がっている。しかし、国民年金の受給者の実額の伸びというのは、もともと低かっただけじゃなくて、伸びの金額も二十数年間に三万六千円しか伸びていない。しかも、その国民年金の受給者が、厚生年金等を含めて比べてみれば六割を占めているというのが現実の姿だということも、私はやはりしっかりと直視をして、何かやたら高齢者の社会経済状況が変化をして、その負担を求めなければ逆に不公平だというふうな理屈を振り回すことは実態にそぐわないものだし、もしそういう理屈のもとに進めようとすれば、それはやはり高齢者にとって非常に大きな実害を与えるものだと。  今、日本経済、バブルその他、いろんなことがいわれましたが、私は、福祉の中だけでどうやりくりするかということだけではなくて、国においても地方自治体においても、総額の中でこの高齢化、少子化の問題にどう財政的に対応するのかということをやはり考えていかなきゃならないと思います。  しかも、くどいようですが、シルバーパスについては、この間、もう都民的な大きな課題でした。そして私たちは、青島都知事が存廃を含めて見直しをするということを提起したときから、都民の皆さんにこういう事態についてお知らせし、そして声を受けとめ、多くの方々がやはり無料制度を堅持してほしいという声だったと思いますし、都議会においても、二年前はそういう意味で共同して現行制度を守ってきたという経過があると思うんですよね。  そういうことを改めて述べまして、私どもはやはり、これまでどおりシルバーパスについては現行の無料制度が続けられるべきであり、また、民間に事業を移し、東京都が補助をするということが、質疑の中でもいろんな意味でまだ極めてあいまいで、どうなるかわからない、そして、それが利用者への負担にもはね返ってくる危険性もやっぱりあることですから、現行制度を継続すべきだということを改めて述べて、私のシルバーパスについての質問を終わりますが、ひとつまだ未回答の問題は必ず回答してください。 ◯曽根委員長 吉田理事の質疑の途中ですが、この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。    午後三時三十八分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時五十三分開議 ◯曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  発言願います。 ◯吉田委員 次に、老人福祉手当について質問させていただきます。  老人福祉手当は、在宅で暮らす寝たきりの高齢者とその介護に励む家族に対するかけがえのない支援策として、東京の高齢者福祉の上でも大きな役割を果たしてきました。提案されている条例案は、老人福祉手当額を三年間段階的に削減し、平成十五年三月三十一日にはその効力を失うと明記をし、四年後には廃止をするという、他の施策と比べてみても最も厳しい切り込みが提案されています。その影響は六万人に及びます。  都は、専ら、介護サービスを二重に受けることを禁止した介護保険法二十条の併給禁止の規定があるから、介護保険のもとでは老人福祉手当は継続することができないんだ、やはり危険性があるというのが当初の説明だったと思います。  私も何度かこの問題を取り上げ、かつ、厚生省にも行って直接聞きましたけれども、最終的には厚生省としては、東京都の老人福祉手当は併給の対象とはみなさなくてもいい、みなさないということになって、法的には継続が可能となりました。しかし、引き続き、介護保険を機にこの老人福祉手当を三年間だけ継続し、四年後に廃止をするということが打ち出されています。  しかし、確かに金額としては東京都と同じような金額ではありませんけれども、全国では同じような性格の手当というものはかなりあります。そして、読売新聞の調査では、そういう自治体の七割が、介護保険実施後も基本的には制度を継続するという方針を調査に回答しています。これが住民に責任を負う自治体の当然の姿だと私は思うんです。  それで、介護保険を一つの政策的な目的の重複や、実際のサービスの確保などをもって、老人福祉手当を段階的に廃止をする理由にしているわけですけれども、私は、やはり考える前提として、介護保険、老人福祉手当をどうするかということを考える場合には、まずこれまで進めてきた在宅の介護を後退させないということを大前提にして、介護保険が入ったもとでも、後退にならないという前提があって初めて、この老人福祉手当の見直しというものが結論として出るものだと思うんですよね。  そういう大前提として、見直しを検討するに当たっては、在宅高齢者の介護を後退させない、あるいは在宅高齢者の介護を困難に陥れないというのを前提にすべきだと思うんですが、この基本的な観点ではどうでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 今回の見直しに当たりましては、「新たな展開」でも申しておりますとおり、在宅サービスの充実を図っていこうというのが趣旨でございます。 ◯吉田委員 やっぱり現状維持にとどまらず、在宅サービスの充実を図るという基本スタンスから見直しというものを吟味するというのが必要だと思うんですね。  それで、先ほど三宅副委員長との質疑の中で、老人福祉手当の趣旨、目的みたいなことにも話が及びました。その中で、慰謝、激励ということが手当の目的、趣旨であるかのご発言がありましたし、それは事実だと思うんですね。  ただ、老人福祉手当の趣旨、目的は、慰謝、激励も入っていますけれども、たしか昭和六十一年に増額をしたときに、さらに在宅介護に対する注目等も含めた目的、趣旨そのもののより多面的な拡大があったかと思いますし、実際老人福祉手当の役割というのは、たった一つ、慰謝、激励だけですよというふうにいい切れない側面があると思うんですね。  そこをトータルに考えて、果たしてこれをなくしていいのかということになると思うんですが、改めてトータルに老人福祉手当の趣旨、目的について、今まで事務要領その他で示した最大限の見解をご紹介していただけないでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 老人福祉手当の趣旨、目的ということでございます。その中に事務要領で示されたものも示せということでございますので、お答えをいたします。  まず、趣旨につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、老人福祉手当は、在宅での介護サービスが不十分な昭和四十年代に、特別養護老人ホームなどの施設入所者に比べ、受けられるサービスに格段の格差があることから創設されたものでございます。  目的につきましては、身体上または精神上の障害のため日常生活に著しい支障のある老人に老人福祉手当を支給することにより、これら老人の福祉の増進を図るということでございます。  また、事務要領では、本制度は、寝たきり高齢者の身体的あるいは経済的負担を軽減し、慰謝、激励することを目的に、昭和四十七年度に制度化されたというふうに、昭和六十一年の事務要領に載ってございます。 ◯吉田委員 その後、だから、昭和六十一年に新たに手当額を増額したときに、手当の目的、性格を拡充しているんじゃないですか。 ◯金内保健福祉部長 老人福祉手当の目的、性格については、基本的に創設当初と変わっていないというふうに認識しております。 ◯吉田委員 ちょっとくどいようで恐縮ですけれども、手当額をふやしたときには、単に慰謝、激励だけじゃなくて、在宅介護にもっと注目をするという新たな政策判断があって、それによって増額になったんじゃないですか。 ◯金内保健福祉部長 基本的な目的、趣旨等は変わっていないというふうに認識しておりますが、六十一年の制度改正以降、在宅介護に当たる家族等の心身の苦労に配慮したというようなことが述べられております。 ◯吉田委員 今お話がありましたけれども、寝たきり高齢者の経済的、身体的あるいは精神的な慰謝、激励という直接的な高齢者に対する経済的な支援という側面と同時に、昭和六十一年に拡充したときに、介護性に着目をするということもつけ加わったというのが基本的な特徴だと思うんですね。そういう老人福祉手当の持っているトータルな意味や目的をとらえた上で、これを、介護保険を導入後、何年間で削減し、廃止をするということが妥当なのかということをやはり厳格に判断をする必要があると思うんです。  しかも、部長は先ほど、在宅サービスを後退させない、あるいは前進させていくという基本的な姿勢を表明しましたけれども、今回提案されているのは、基本的に廃止ですから、条例の中でも失効するということがうたわれているわけですから。それなら、介護保険制度のもとで手当を廃止したとしても、大きく直接、今の在宅高齢者の、寝たきり高齢者の介護にとって不都合が起きない、大丈夫なんだよという判断があってしかるべきだと思うんですよね。  ただ、介護保険と老人福祉手当が政策的に一致しているから、もう要らないじゃないかという短絡的な判断はもちろんされていないとは思いますし、そうだと思うんですけれども、そのためには、私は、今実際に老人福祉手当を受けている方々の状況や手当の果たしている役割についての実態調査がまず判断の前提にあるべきじゃないかというふうに思うわけですが、改めてそういう意味での、手当を受けている家庭、あるいは手当の果たしている役割についての実態調査というものはされたんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 平成十一年の四月から五月にかけまして東京都老人福祉手当に関する調査を行いまして、受給者の状況を把握しております。もちろん、私どもが所管しております手当の制度をどうするかという観点から行っておりますので、受給者の手当の使途、あるいは生活状況といいますか、収入状況等については把握をしておりません。 ◯吉田委員 どういう項目について調査をし、どういう結論を得たのかをちょっと説明していただけませんか。 ◯金内保健福祉部長 受給者の状況といたしまして、年齢、性別、所在──所在につきましては、在宅なのか、有料老人ホームあるいは老人保健施設にいるのか、寝たきりなのか痴呆なのかというような状況、それから、資格に関しての認定状況なり消滅状況、在宅の場合の臥床状況といいますか、六カ月の寝たきり状況、手当を支給するにはこの制度をどうしていったらいいかという観点からの調査を行っておりまして、在宅の場合の寝たきりの状況をどうやって把握したかというようなこと等も調査をしております。 ◯吉田委員 それで、その調査というのはどういう結論になっているんですか。 ◯金内保健福祉部長 一概に申し上げられませんけれども、例えば所在に関していいますと、在宅が五六・七%、有料老人ホーム〇・六%、老人保健施設二・八%、入院三九・九%、あるいは受給者の状況といいますか、在宅サービスの利用状況ということになりますと、先ほど申し上げましたけれども、ホームヘルプサービスの利用者が三二・四%、在宅サービスセンターの利用者が二一・九%、ショートステイの利用者が三七・四%というような結果になってございます。 ◯吉田委員 わかりました。  それで、もう一度質問を繰り返しますけれども、実際問題として、政策的な目的というようなレベルの話じゃなくて、介護保険が始まれば、老人福祉手当を廃止しても何ら不都合がないという皆さんの判断の根拠というのをもうちょっと説明してもらえませんか。 ◯金内保健福祉部長 先ほど来申し上げておりますけれども、在宅サービスが大幅に充実し、今後も充実をしてまいりますけれども、例えばホームヘルプサービスでいけば、創設当初は二千五百世帯の利用であったものが、平成十年には四万六千六百二十四世帯の利用に広がっているということ、さらには介護保険によりまして、施設入所者と遜色のないサービスを受けられるという仕組みができるという点でございます。 ◯吉田委員 ホームヘルプサービスのことをいわれましたけれども、それは別に介護保険でなくても、皆さん方の努力によって、現在の保険給付制度でない中で福祉サービスとしてホームヘルプサービスを拡充してきたわけですから、介護保険が老人福祉手当の廃止の理由にはならないと私は思うんです。  いずれにしても、実態に即して検討をしていくことがやはり行政としても大事だと思いますし、非常に多くの会派の皆さんから注目を寄せていただきましたけれども、私どもは、限られた中ではありますが、二百一件の老人福祉手当を受給している方々の実態調査をいたしました。  それは単に手当を継続してほしいか否かというふうな短絡的な数を聞いただけではなくて、実際上手当がどういう役割を果たしているのか、介護保険のもとで手当がなくなった場合にどういう意見をお持ちなのか、また、先ほどもありましたが、今ホームヘルプサービスをどの程度受けているのか、あるいは、受けていなかった場合には、なぜホームヘルプサービスを利用しないのかというふうな、私たちとしてはできる限り老人福祉手当を受給しているご家庭の実態に接近をする、そして手当の持っている役割に接近をする、介護保険を導入し、今東京都が計画しているものが廃止になった場合にはどういう事態が起きるかということの実態に接近したいという思いでやったものなんです。  結論的には、私たちは、老人福祉手当、その名前や、あるいはいろいろなものを、介護保険と整合性をとるために若干手直しするということを全面的に否定するものでは決してありませんけれども、やはり基本的に継続を検討すべきではないかというのがその調査の結論でした。  以下、実態調査で明らかになった点に即して若干質問させていただきます。  まず、先ほどのお話にもありましたけれども、東京都自身の調査でも、ホームヘルプサービスを利用できる条件がありながら、現実に利用されていないで家族で頑張っているという方が結局六割以上いるということになりますよね、ホームヘルプサービスを利用した方が三割程度だということですと。  それは、やはりそれなりの周知徹底や、意欲がないということだけじゃなくて、いろいろな理由があると思うんですね。当然大いに介護保険に基づくサービスが利用できるものは利用されるように努力をする必要はありますけれども、現実的に家族の介護の努力というものは継続されるということを見なきゃならないと思います。  特に私は調査で感じたのは、たとえホームヘルプサービスを受けたとしても、重い方、本当に一時間置きに例えば吸引をしなきゃならないとか、体位の変換をしなきゃならないだとか、さらに痴呆の場合には徘回が起きますから、常に二十四時間、徘回をしないように見守らなきゃならないという意味では、現在のホームヘルプサービス、さらに介護保険制度が始まったとしても、家族のご苦労というものは、単純にそれで全部なしというふうに大げさなことをいわないにしても、かなり軽減されるというふうにはならないご家庭が確実にあるというのは事実だと思うんですけれども、そういうことはどう思いますか。そういう事態が現実に残るということは。 ◯金内保健福祉部長 介護保険制度が導入されまして、一般的にいえば、相当程度のサービスを利用することができるだろうというふうに思います。ただ、個々のケースにつきましてはさまざまなケースがございますので、委員ご指摘のようなケースもあろうかというふうには思います。
    ◯吉田委員 個々じゃなくて、皆さん方の調査でも、今、ホームヘルプサービスを本来ならば使えるような状況に大方あるわけですよね。それでも、七割に近い、あるいは六割を超えるご家庭が使われていないという多数の現実があるわけです。それはやはり単純に介護保険になってその多数が使えるというふうにはならないと思いますし、たとえそういう可能性があったとしても、とりわけ現実に重い方々の場合には、ご家族のご苦労というものは引き続き相当重いものとして継続をする。先ほど、老人福祉手当の目的は、単に慰謝、激励だけじゃなくて、六十一年の増額のときにそこに着目をしたんだということになれば、そういう方々に対する支援としての老人福祉手当の役割というのは解消されないじゃないですか、どうですか。 ◯金内保健福祉部長 先ほど来申し上げておりますように、介護保険制度の導入によりまして、施設サービスと遜色のないサービスが受けられる仕組みができます。さらに、在宅サービスも相当程度充実していることから、従来の状況とは全く異なった状況が生まれる、そういうふうに認識しております。 ◯吉田委員 私は、現実の事態はそんなに単純にいい切れないものがありますし、引き続きご苦労される在宅で介護に当たるご家族の方々に対する支援というものは必要であるということを、私どもの調査結果から強調しておきたいと思います。  さらに、肉体的、精神的ご苦労だけじゃなくて、私たちの調査によって、例えば介護にかかるさまざまな費用、あるいは医療器具その他に対するさまざまな費用という経済的な負担だけをとってみても、介護保険ではその多くはカバーされないという現実があるわけですから、そのことについても、これは指摘をするにとどめます。  二つ目に強調したいのは、三宅副委員長も触れておりました。判断は私どもとは違いますけれども、やはり老人福祉手当というものは、経済的な支援という性格を持っているわけですよね。介護保険になった場合には、先ほど三宅副委員長の話にもありましたけれども、逆にサービスを受けるときには、利用料を払わない限り、たとえメニューがあったとしても受けることができないという意味での経済的な必要性というものが現実に高まるわけです。それは予想されたことでありますけれども、私どもの調査でも、やはり多くの方々が、実はある方は、私は利用料負担を老人福祉手当で充てようと思っていたんだと。ところが、その老人福祉手当が削られたら、何をその利用料の充てにするのか迷ってしまうというふうな意見がありました。これは現実の姿です。それはとっぴな例じゃないと思うんです。  そのことと、もう一つ強調したいことは、もちろん全く払えないわけじゃなくて、利用料をある程度払える──例えばせいぜい、ある方は二万円なら利用料を払うつもりだ、あるいは二万円なら払えるというふうに答えておりました。しかし、この老人福祉手当を受けている方々というのは、当然要介護度で見れば重い方々が多いわけですよね。二万円の利用料では、大体受け取ることのできるサービスの半分にも満たないというのが現実ではないでしょうか。  そこで、ちょっと事実の認識をただしたいんですけれども、そもそも老人福祉手当を受けている方々の──今判定がほぼ進んでいますけれども、どのぐらいの認定の方々が大方を占めているという認識なんでしょうか。もしモデル的な試算をしたものがあれば、それでも結構ですけれども。 ◯金内保健福祉部長 手当受給者の介護保険におきます要介護認定の状況につきましては、まだ認定が進行中でございますので、私ども把握してございません。ただし、平成十年度におきまして国から示されました要介護状態区分の状態像の例に基づきまして、五段階といいますか、段階としては要支援から要介護の一から五、要支援を入れますと計六段階でございますけれども、この「介護保険制度のあらまし」、パンフレットにもございますが、定性的に書いたものでございますが、その要支援、要介護の一から五の定性的なものによって調査したものがございます。  一部のところでございますけれども、その例を申し上げますと、要介護三が一番ピークで約二七%となってございまして、その次は要介護四、要介護二、いずれも二一ないし二四%ぐらい、要介護五が一八%ぐらいというふうになってございます。 ◯吉田委員 私たちは、二百一のサンプルですけれども、調べた結果、今の状況よりもっと厳しいといいますか、重いんですよね。既に要介護度認定で結論が出た方々の数を聞きますと、ちょうど半分が要介護度の五でした。要介護度の四という判定を受けたという老人福祉手当の受給者が二八%。ですから、四と五を合わせて約八割というのが私どもの調査結果だった。  したがって、こういう方々がそれで果たして大丈夫かどうかという判断はありますけれども、少なくも示されているサービスのすべてを利用しようということになれば、ご承知のとおり、要介護度の五ならば月々三万五千八百三十円、通所、訪問サービスを受けようとすれば利用料を払わなきゃならない。しかし、さっきいったように、私はもう利用料二万円しか払えないんだという経済状況の方がいるんですよね。もちろん、すべてを老人福祉手当で解消すべきか否かという判断はあるかもしれませんが、現実にそういうことが生まれます。  もう一つだけいわせていただくと、国は利用料の経過措置がありますよね。しかし、これは三年ですよ、さっきの説明でもありました。国は、経過措置をつくったとしても三年です。東京都の老人福祉手当も経過措置はつくりますが、三年で終わりです。四年目はお互いになしになるわけですよ、このまま行きますと。そういう意味からも、やはり東京都のあり方が問われていると思うんですけれども、どうでしょうか、それは。 ◯岡本介護保険対策室長 利用者の負担の限度額でございますが、三万七千二百円、これが原則であるのは事実でございますが、市町村民税が非課税世帯等につきましてはその額が二万四千六百円、それから老齢福祉年金受給者等につきましては一万五千円というふうに軽減をされるという仕組みになっております。 ◯吉田委員 私は、せっかく介護保険という制度ができたとしても、現実に経済的な一定の力がなければ、かつ、重い人ほどお金を出さなければ、その重さに対応できるようなサービスを受けることができないという現実がやはりあるわけですし、国の制度その他があったとしても、区市町村などがさまざまなそういう問題にどう対応するかという努力があることは先ほどのお話でもあるわけですから、やはり東京都としてもそういうものを全面的に調査し検討するということを、この老人福祉手当のあり方を出す上で前提にしなければならないと思うんです。  もう一つ、私どもの調査で痛感したことなんですけれども、それは当たり前のことではあるんですが、高齢化がすごく進んでいるということなんです。皆さんにちょっと認識を聞きますけれども、先ほどの調査をしているからわかると思うんですが、老人福祉手当を受けている方の平均年齢というのはどのぐらいでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 受給者の年齢を調べているというふうに申し上げましたが、六十五歳から五歳刻みで把握をしております。しかも八十五歳以上は一くくりで、内訳を把握してございませんので、平均年齢はちょっと算出してございません。  ただし、年齢構成的にその刻みで申し上げますと、六十五から六十九が五・七%、七十から七十四歳が一三・四%、七十五から七十九が一五・五%、それから八十から八十四歳が二三・一%、八十五歳以上が四二・三%でございます。なお、サンプル数は四万八百三十七人でございます。 ◯吉田委員 サンプル数を強調されましたけれども、私どものサンプルも大体同じ結論なんですよ。私どもは平均で出したんですけれども、それは四万と二百で全然相撲にならないような印象もありますけれども、平均で八十四・八歳だったんです。しかも、驚いたことは、九十歳以上という方で老人福祉手当を受給している方が三二%、もちろん中には百歳という方もいらっしゃいました。  ですから、子どもがというふうにいっても、こういう方々の場合には、当然九十代で子どもがといえば、もう七十歳代なんですよね。ですから、受けている方はもちろんのこと、介護している子どもも本当に年金生活に入っているという点では、経済的には年金あるいは限られた預金を取り崩しながらとにかく介護を続けるという点で、非常に将来に不安を感じているというのが私たちの調査の結果でした。そういう意味からも、私は、介護保険制度のもとで改めて経済的な支援の必要性ということを強調しておきたいんです。  実態調査のもとで最後にちょっと質疑をしたいのは、前回、事務事業質疑のときに、皆さん方の調査結果で三九・九%が入院をしているというお話がありました。入院の場合には、ご承知のとおり保険外負担等も大変なものがあって、月々十五万から二十万お金がかかる。五万五千円の老人福祉手当がそういう入院生活を支える上で本当に欠かすことができない役割を果たしているということをやりとりさせていただいたと思うんですね。  そのときに室長は、しかし、療養型病床群をたしか例に例えたのか、そういう趣旨だと思うんですけれども、今長期入院している人も、介護保険の世界に入れば、それは療養型の場合には利用料はちょっと高いですけれども、たしか四万円程度で何とかなるんじゃないかというお話がありました。  問題は、今実際に長期入院、あるいは一定の入院をされている人の中で、どれだけの方々が療養型病床群を含む介護保険の施設に直接、ずっと将来ということじゃなくて、ある程度現実に入る見通しがあるのかということを私たちはやっぱり見る必要があると思うんですよ。しかも、わずかな人じゃなくて、三九・九%が入院しているわけですから、半分近いということもいえるんですが、その方々が確実に介護保険の施設、特養、老健、療養型病床群に入れるというふうな何か確証はあるんですか、一般的な制度論としてじゃなくて。 ◯金内保健福祉部長 要介護認定という客観的な指標ができますので、従来よりはそういう傾向といいますか、入りやすくなるということは確かだろうと思います。それに向いた人が適切なサービスを受けるために入るという傾向が強くなるというふうに思われます。 ◯吉田委員 そもそも医療的な、しかも重篤な方の場合には、療養型病床群であっても到底受け入れることはできないと思うんですよね。そういう一般論だけじゃなくて、私どもサンプルが多くなくて恐縮ですけれども、入院をしているという方々についても何人か聞きました。少ないですから、これが絶対的なものだというふうにいう気はありませんけれども、その中でも現実に、例えば介護保険の施設に入所を予定しているという人がすべてではないわけですよ。調べた中で三十五人入院している方がいらっしゃったんですけれども、その中で入所予定というふうに答えた方が八人、全くそういう予定はないという方が十二人、今手続をしているという方が六人、もちろん未回答の方もいらっしゃいましたけれども、本当の一部ですけれども、そういうデータがありました。  ですから、そういう問題についても、一般論として、長期入院即介護保険施設に入れるから問題ないというふうな短絡的な結論はやっぱり出せないわけで、そういうことも含めて、私は、老人福祉手当のあり方というものは検討すべきではないのかということをいいたかったわけです。  最後に、低所得者という問題について触れさせていただきます。  これまでいろいろな場で、見直しはするけれども、低所得者対策はちゃんととっているからということが必ず施策見直しに関連していわれてまいりました。私たちの調査でも、老人福祉手当を受給している方々の中で、やはりかなり所得が低いという人が多いわけですよね。皆さん方は今、受給者の中でそういう所得状況というのは何か把握されているんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 先ほども申し上げましたように、私どもの実態調査では、収入状況については把握をしてございません。 ◯吉田委員 私たちの調査で受給者本人の月収も調べましたけれども、十万円以下という方がほぼ半分、受給者本人ですね。介護している家族の月収という点でも、十万円以下という方が二七%、三割弱というのが出されました。こういう実態から見ても、低所得者対策というのは非常に求められているわけですが、今回の老人福祉手当の四年後の廃止という見直し提案の中で、低所得者に対する特別の配慮というものはどういうふうに検討あるいは具体化されているというふうに理解したらいいんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 老人福祉手当の趣旨、目的については、再三申し上げておりますけれども、そういうことから、低所得者について特に配慮するということはしておりません。 ◯吉田委員 配慮していないというふうに明言されましたけれども、先ほどもいいましたように、どんな施策の場合でも、皆さん方は、いや、低所得者対策はちゃんととっているから大丈夫なんだと。もちろん、それだけでいいという問題ではないと思うんですけれども、現実的には、この場合、低所得者対策はとられていないと。しかも、先ほど紹介した私どもの調査でも、別に低所得者のための対策としてとられたわけじゃないかもしれませんけれども、現実としては、受給されている中では低所得の方が少なからずいらっしゃる。しかも、重い方の場合には利用料負担が高いという現実があるわけですから、低所得者対策について事実上全くこの問題では何ら考慮がされていないというのは重大な問題だというふうにいわざるを得ません。  それで、先ほど話がありましたけれども(発言する者あり)これで老人福祉手当を終わりますけれども、やはり各区市町村も、よし、もう廃止、あるいは四年後廃止というふうに単純に踏み切れない判断があると思うんですよ。ですから、もちろん、数の上では半数というふうな大きなことはいえないかもしれませんが、先ほども区市の中で幾つかの区市が、少なくともこの第一回定例会の中で東京都と連動した条例を提案するのを控える。中には明確に、少なくとも現行制度を来年度は続けるというふうに江戸川区などはいっているわけです。  私は、確かに介護保険という全く新しい世界が始まりますし、その中でどれだけのサービスが供給されるかという問題もありますし、ある面では予想ができる面となかなかできない面とあると思うんですよね。そういうものをよく見きわめた上で老人福祉手当について結論を出しても、決しておくれて何か問題が起きるということではありませんから、そこを即この定例会で平成十五年失効という条例を可決することは不適切ですし、また、皆さん方としてもこの提案をすることは不適切だ。改めてよく現状調査をすべきであるということを述べて、次に医療費助成について簡単に。  次に、マル福医療費助成制度について、簡潔に質疑をさせていただきます。  これも事務事業質疑等でこれまで行ってまいりましたけれども、いずれにしても、六十五歳から六十九歳の方々に対する医療費助成制度というのは、非常に年代的にも重要な施策だというふうに私は思います。  それで、前回、事務事業質疑をしたときに、せっかく高齢者施策推進室には老人医療センターがあり、あるいは老人問題の総合研究所があるわけですから、そういう方々の意見を聞くべきであり、聞いたのかということを質問したときに、そのときには、聞いていないというご答弁がありましたが、事は高齢者の医療や健康に直接かかわることです、ただ、財政的にどうかというだけではなくて。改めて、今回の提案に当たって、そういう関係者、関係団体から意見を聞く、求めるということをしたんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 まず、グリーンペーパー、あるいは「福祉施策の新たな展開」などで、都民に施策の課題や現状などを明らかにし、新しい福祉の基本的方向を示すとともに、意見を募りました。また、高齢者の生活像を考える懇談会を設置し、有識者などを交え、これからの高齢社会のあり方などの意見を聞いたところでございます。  ただ、老人医療費助成に限って聞いたかということであれば聞いてございませんが、所管をしている部門が責任を持って検討したということでございます。 ◯吉田委員 ちゃんと聞かれていないわけですよね。  次に、前回の事務事業質疑のときにも明らかにいたしましたが、やっぱり六十五歳から六十九歳という年代というのは、医療的な上で非常に重要な年代だということを強調いたしました。資料の一六ページにもそのとき明らかにしたものを掲載していただきましたけれども、一日当たり外来患者数の年齢階層別推計値を見れば明らかなとおり、六十五歳から六十九歳が最も外来患者数が、これは千人単位ですから七万六千五百人ということで、飛び抜けて高いということが資料でも明らかです。  そこで質問させていただきますが、例えば厚生省の国民医療費の調査で、一人当たりの一般医療費は、六十五歳以上は幾らか、またその手前の四十五歳から六十四歳は幾らか、ご答弁をお願いいたします。 ◯金内保健福祉部長 厚生省の国民医療費によりますと、平成九年度の年齢階層別の医療費、これは本人負担ではございません、医療費でございます。一人当たり、四十五歳から六十四歳までが十九万七千円、この二十歳分が十九万七千円、それから六十五歳以上、これは六十五歳以上のオールメンバーでございますが、五十五万六千四百円。ちなみに、七十歳以上になりますと、六十五万一千七百円というふうになっております。 ◯吉田委員 ちょっと刻みの問題はありますけれども、六十五歳以上で約二・八倍にふえているということがあります。医療関係者からは、当然、医療の立場に従事する者として、こうした老人医療費助成制度は継続すべきだという声を聞くわけです。  これは昨年末だと思うんですが、東京都歯科医師会から要望書が出されていると思うんですが、それはどういう要望になっているでしょうか。 ◯若林参事 東京都歯科医師会からの要望につきましては、去る十二月二十日に東京都知事あてに要望書を緊急要望としていただいております。その内容は、東京都予算に対する緊急要望として、社会福祉を取り巻く情勢が大きく変化していることから、これに対応した施策が必要であるとの要望をいただいたところでございます。  また、歯科医師会との話し合いの中でもこのことをいろいろと確認しておりまして、私どもとしましては、今回の福祉施策の見直しについて、東京都歯科医師会からは基本的には了解を得ているものと判断しております。 ◯吉田委員 歯科医師会長名の要望書はそうなっているんですか。 ◯若林参事 十一年、昨年の十二月二十日付、社団法人東京都歯科医師会会長名で石原慎太郎知事あてに要望書をいただいているところでございます。(吉田委員「内容を紹介してください」と呼ぶ)  ただいま申し上げましたけれども、そこを読んでみますと、「少子高齢化の急速な進展、介護保険制度の実施、価値観やライフスタイルの多様化など、社会福祉を取り巻く情勢が大きく変化していることから、これに対応した施策が必要なものと考えます。」(吉田委員「それだけ」と呼び、その他発言する者あり)  それでは、続けて読ませていただきます。   今、都民は、長期化する高齢期を健康に過ごすことを誰もが望んでおります。また、子供の健やかな成長を願って止みません。年齢を超え、世紀を超えていつの時代においても、最高の宝は健康に他ありません。   健康の源は健康な口腔にあります。このため、東京都歯科医師会は、東京都と共に、西暦二〇〇〇年の歯科保健目標である「三・三・三運動」や「八〇二〇運動」を推進してまいりました。今後は、都民が心身の特性にあわせて歯科疾患の予防や治療を行う「かかりつけ歯科医」を持ち、身近な地域で適切な歯科医療が受けられることが一層求められてまいりました。   本会では、こうした観点から東京都に対して、「かかりつけ歯科医」の定着を始めとする歯科医療保健施策の充実について要望してまいりました。   その結果、「かかりつけ歯科医定着推進事業」や「歯周疾患予防推進事業」などの新規事業が予算要求されております。   つきましては、こうした口腔に関する予算が是非とも確保され、都民の健康が一層推進されますよう特段のご配慮をいただきたくお願い申し上げます。   本会は、今後とも、東京都との連携を一層密にし、都民の健康増進に努めてまいりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます。  以上でございます。 ◯吉田委員 私どもが受け取った中では、「不況の波は人々の生活に深刻な影響を及ぼしており、とりわけ老人・心身障害者等弱者へのしわ寄せは大きなものがあります。このような時期に福祉事業の後退とも受け取られる施策を策定することは、人々の日常生活に極めて大きな不安を与えるものと言えましょう。」十二月二十七日付、神藤室長あて。こういうのが出ていませんか。出ていませんか。 ◯若林参事 ただいま吉田先生からは、東京都に歯科医師会から要望が出ておりませんかというお尋ねでございましたので、十二月二十日付の歯科医師会からの要望を申し上げたところでございます。  十二月二十七日付で東京都福祉局長、神藤福祉局長あてに要望書が出ております。 ◯吉田委員 私、紹介させていただきましたけれども、なかなかいいたくなかったみたいで別なものを紹介されましたけれども(発言する者多し)私がいいたかったのは、やはり(発言する者あり)現実に医療関係者から、先ほども紹介しましたけれども、とりわけ老人あるいは心身障害者等弱者へのしわ寄せは大きいものがあるということを訴える手紙が出されているわけです。そういう直接の医療にかかわる当事者の声というものをやはりしっかり受けとめるということが、私は行政として必要だと思うんですね。  次に、昨年から議論のあるところでありますけれども、当然こういう医療費助成制度を段階的、数年後に廃止をするということになれば、受診抑制が起きるということは必至だと思うんですが、そういう事態の予測というものはどういう判断をされているんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 マル福制度対象者の十年度助成実績から一月当たり平均負担額を推計いたしますと、マル福対象者の負担が二千百四十八円、制度がないといたしますと七千七百十円でございます。制度がない場合の負担は、そもそもマル福の助成対象とならない六十四歳までの方と同じ負担額でございます。また、高齢者医療費助成制度を実施していない二十三の県の高齢者と同じ負担額であることなどから、負担していただけると考えております。  また、制度への期待感などに考慮し、今回の見直しにおきましては、六十三歳、六十四歳の方も一定の時期から対象とし、老人保健制度の対象となるまで助成を行うので、受診抑制につながらないというふうに考えております。 ◯吉田委員 継続措置をとったとしても、それは限られた方々なわけで、先ほどからも話がありますけれども、私は、やはり六十五歳という多くの方々の場合には、定年退職、そして年金生活に入らざるを得ないときに、医療費の方はそれ以前と同じだけのマル福がない中での負担がかかるということになれば、何といおうと受診抑制にならざるを得ないことは明らかだというふうに思うんです。  それで、皆さん方が見直しの理由として、例えば国の医療保険制度が充実をしてきている。もう一つ年金制度の充実というのがあるんですけれども、年金制度については先ほど述べさせていただきました。それで、どういうことをもって医療保険制度の充実というふうにいえるんでしょうか。それが見直しの根拠になるんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 医療保険制度の充実でございますが、ポイントだけ申し上げます。昭和四十八年に、被用者保険におきまして、家族の外来、入院ともに五割負担から三割負担に変更になりました。また、昭和五十六年には家族の入院が二割負担に改正されております。昭和五十八年には老人保健制度が施行されました。昭和五十九年には国民健康保険におきまして退職者医療制度が創設され、本人二割、家族入院二割、家族の外来三割となったところでございます。  また、昭和四十八年に高額療養費支給制度が創設されまして、五十年には法定給付化されました。五十六年には、低所得世帯に対しまして一般よりさらに低い自己負担金限度額を設定されております。さらに、昭和五十九年には、世帯合算、多数回該当などを導入して負担の軽減を図っているところでございます。 ◯吉田委員 三割から五割への移行、その他説明がありましたけれども、それをとって六十五歳からの医療費助成制度を何年か後には廃止をする根拠とするのは、実情からいったら無理があるものだと。  特に、次に確かめたいことは、やはり低所得者対策なんです。老人福祉手当の場合でも低所得者対策はありませんということを明言されましたけれども、この老人医療費助成制度の数年後の廃止ということに当たっては、低所得者対策というのは、廃止をするけれども、こういう点で大丈夫だというようなことがどんなふうにいえるんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 医療費助成制度の低所得者対策を申し上げます前に、福祉手当の関係について申し上げておきたいと思います。  老人福祉手当が生活費の一部に使われているということがございます。したがいまして、そういう実態を考慮いたしまして、今回経過措置を入れたものでございます。  医療費助成制度につきましての低所得者の関係につきましては、七十歳からはだれもが国の老人保健制度の対象になり、定額の負担で医療が受けられます。高齢者を対象にした医療費助成制度は、他府県でも半数が実施しておりません。皆年金制度ができまして、六十五歳からはだれもが年金受給者となります。低所得者につきましては、年齢にかかわらず、各種の保険料あるいは医療費負担金について配慮する施策が講じられております。  また、特に高齢者への配慮といたしましては、国保の例といたしまして、七割減額、五割減額の保険料を減額する制度がございますし、老人保健法でも、住民税非課税世帯あるいは老齢年金受給者に対しまして、食事療養費等が配慮されているところでございます。 ◯吉田委員 東京都が社会福祉基礎調査というものを毎年やっております。平成七年が高齢者の生活実態についての調査なんですが、その中で私は非常に注目すべき資料だなというのがありました。それは、不安や悩みについて、複数回答ですけれども、聞く設問がありました。やはり多くの方々が健康に自信がないというふうに答えているんですけれども、ところが、その中で収入別に見た場合に、年収が一番低い、例えばこの調査報告で見ると、年収五十万未満の方々が健康に自信がないという答えの率が一番高く出るんですね。二一・九%です。逆に、例えば年収が三百万から五百万という方々の場合には、健康に自信がないというふうに答えた方が一〇・九%ということで、大体倍ぐらいの違いが生まれます。  そういう意味からも、やはり医療費助成というものと低所得者対策というものは密接に関連しておりますし、そういう観点から考えていく必要があると思うんです。  昨年の事務事業質疑のときにも紹介させていただきましたけれども、やはり全体としてこうした早期の予防や発見ということを重視して努力するということは、大局的には医療費の総額の抑制ということにも結びついていくことであり、そういう観点から医療費助成のあり方というものを検討する必要があると私は思うんです。  しかも、財政的にいっても、この資料の中でも書いてありますが、例えばこの三年間、これは一七ページになりますが、平成八年、九年、十年の助成額の総額は、平成八年と平成十年を比べれば、ほぼ同水準というか微減、一人当たりの助成額も微減、これはもちろんいろいろな社会状況の変化があるわけですけれども、そういうデータも現実にあるんだという意味から、私はやはりマル福制度の継続を強く求めておきたいと思います。  最後に、ちょっと資料を。    〔資料配布〕    〔発言する者あり〕 ◯吉田委員 この資料は、要するに、局の予算要求と最終的な現予算案とがどう変わったかということを整理したものです。その中の何に着目をしたかといいますと、いわゆる新たな拡充策ということについて整理をしてみました。  そもそも削減の一方で新たな拡充をするということで強調されていますが、室要求のときと比べてみても、例えば介護予防、あるいは痴呆性高齢者グループホーム、さらに生活支援ヘルパー事業等々、当時の室要求と比べてみて、最終的な予算原案で見れば、八十六億六千百万円が四十八億円ということで、半分強と、現実的に後退をしているということがあります。(「そんなことをいっていたら、局要求なんかできないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)いや、局要求の段階でも、率直にいいますけれども、局要求の段階でも、削減の一方で、拡充は必ずしも十分ではないという意見すらあったものが、現実の予算案の中ではさらに減らされているという現実についても、私は、拡充した、拡充したといわれるけれども、やはりそういう現実があるんだということも改めて指摘をいたしまして、私の質疑をこれで終わらせていただきます。 ◯佐藤委員 今配られた資料、これは正しいですか、どうなんですか。それだけ一点聞かせてください。 ◯有手高齢政策部長 都の予算が決まるまでの間にはいろいろな経過がございます。私どもも今回の見直しは後退につながるものとは毛頭考えておりませんで、二十一世紀の新しい東京の高齢福祉をつくるために、骨格になるような予算要求をしっかりやったつもりでございます。  この室の要求につきましても、包括補助制度という新しい制度を我々が提案した。これはどういう意味があるかというと、東京都が主導的にいろいろなことをいってやらせるのではなくて、各市町村が自主的に東京都のメニューを勘案して、それを自分たちがやっていく、こういう新しい方式に変えることのどこが悪いんですか。  それから、この内容につきましては、金額は、私どもの局の要求が全部つかなかったという点につきましては、どこの局だってみんな同じですよ。我々は唯一プラスの予算をとったわけですよ。それだけは認めてください。 ◯曽雌委員 今議会の焦点の一つであります福祉施策の新たな展開ということについて伺っていきたいと思います。  まず初めに、高齢社会対策基本法について伺いたいと思いますが、先ほど来お話に出ておりますけれども、高齢化のスピードは諸外国と比べて極めて速く進んでおります。高齢者の比率が七%から一四%に達するまでに要した年数というのを引いてみますと、フランスは百三十年、スウェーデン八十五年、比較的短いドイツ、イギリスでも五十年を要したのに対しまして、我が国はわずか四半世紀で高齢社会の仲間入りをしているわけでございます。こういう実態を多くの国民、都民は知っておりますので、それがゆえに、二十一世紀を目前に控えて高齢社会への備えが大変に重要である、このように考えているわけでございます。  しかし、高齢社会の基本理念ということについては意外と知られておりませんので、ここで幾つか聞いてみたいと思っておりますが、国における高齢社会のあり方についての基本理念を、ここで共通認識として私たちは持っていきたいと思います。  まず初めに、高齢社会の基本理念を書いたものといたしまして、どんなものがありますでしょうか。 ◯有手高齢政策部長 昭和三十八年に老人福祉のいわば基本法といわれております老人福祉法が制定されまして、老人の福祉に関する基本的な理念が定められました。そこにおける基本理念でございますけれども、一つは、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識や経験を有する者として、生きがいの持てる健全で安らかな生活が保障される。二つとしまして、常に心身の健康を保持し、その経験と知識を活用して社会的活動に参加する、こういった理念が示されております。  また、昭和五十七年になりますと、老人保健制度の基本となります老人保健法が制定されまして、老人の心身の健康保持に関する基本理念が規定されております。その内容でございますけれども、一つは、健康の維持増進に努めるとともに、老人の医療に要する費用を公平に負担する、二つとしまして、老後における健康の保持を図るための適切な保健サービスを受ける機会が与えられる、こういうことになっております。  それから、平成七年になりまして、高齢社会に対応するための施策の総合的な推進を図るために、高齢社会対策基本法が制定されました。この基本法は十六条から成りまして、高齢化に対処する施策の基本理念と基本的施策を定めるとともに、国や地方公共団体の責務なども明らかにし、施策の総合的な推進をうたっているものでございます。 ◯曽雌委員 今ご答弁がありましたように、三十八年に老人福祉法、そして昭和五十七年には老人保健法、そして直近では平成七年に高齢社会対策基本法というものが制定されているわけでございます。しかし、この平成七年にできた高齢社会対策基本法というものがどういう法律で、また何を目的としているのかということについて考えてみたときには、まだまだ国民、都民の中に浸透し切れていない部分がある。非常に大事なことが法律で定められているにもかかわらず浸透されていないということで、私としては非常に残念でならないわけでございます。  この法律の基本理念には大事なことが書いてありまして、国は、高齢社会をどのような社会にしようというふうにこの基本法では述べているのか、また、法律の基本理念を実現していくために、国及び地方公共団体、また国民、都民がそれぞれの立場の中でどのような役割を担っていくべきだということが記されているのか、明らかにしていただきたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 高齢社会対策基本法は、東京都だけでなくて、全国にわたってこれに従って進めていこうという合意のもとでできた法律ですけれども、そこにおける社会としまして三つの基本理念が掲げられております。一つは、国民が生涯にわたって就業その他の多様な社会的活動に参加する機会が確保される公正で活力ある社会、二つ目が、社会を構成する重要な一員として尊重され、地域社会が自立と連帯の精神に立脚して形成される社会、三つ目が、健やかで充実した生活を営むことができる豊かな社会、この三つをつくることを基本理念として掲げております。  また、国、地方公共団体、国民の役割につきましても規定されておりまして、高齢社会対策基本法第三条で、国は、高齢社会対策を総合的に策定し、また実施する責務を有する、こういうふうに書いてあります。それから、第四条は、地方公共団体につきまして、国と協力しつつ、当該地域の社会的、経済的状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有する。  次に、国民でございますけれども、第五条で、高齢化の進展に伴う経済社会の変化についての理解を深め、相互の連帯を一層強めるとともに、みずからの高齢期において健やかで充実した生活を営むことができることとなるように努める、こういう規定がございます。 ◯曽雌委員 この高齢社会対策基本法というのは、高齢社会に入って私たちが避けて通れない大事な課題でありますので、当然これはだれかがやってくれるではなくて、それぞれ国がやるべきこと、地方公共団体がやるべきこと、また私たち国民一人一人がやっていかなきゃならないこと、そういったものがもろもろ掲げられて、しかも、その高齢社会というものはこういう社会になるようにということの理念を掲げて法律としてはでき上がったというふうに受けとめております。
     それでは、この法律はどういう経緯を経て成立をしたのか、お知らせいただきたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 この法律は、平成四年から平成七年まで参議院に置かれました調査会が、三年にわたる調査をもとにしまして、調査会提出法案として国会に提出されたものであります。議員立法でございます。  その背景には、我が国の高齢化の進展が急速であったため、国民の意識や社会のシステムが人生八十年時代にふさわしいものとなっておらず、国民の間に高齢化やみずからの高齢期に不安が生じていることから、高齢社会の全体像を明らかにするとともに、国はもとより、社会全体として国民が長寿を享受できる社会の実現に向けて各種の施策を総合的に推進していくことが喫緊の課題である、こういう共通認識に基づきまして、全会派一致で立法化に向けた検討がなされ、平成七年十一月、国会で全会派一致で可決成立、そして十二月には施行されたということで、私は大変画期的な法律だと考えております。 ◯曽雌委員 今の部分がやはり非常に意味があるというふうに私は思っています。参議院の国民生活に関する調査会というのが三年間かけていろいろな角度から議論もし、そしてその内容が今度は衆議院の内閣委員会の方にまた持っていかれて、衆議院の当時の内閣委員会の各党の議員の方たちとその調査会のメンバーの方たちとのやりとりもあって、いろいろなやりとりをしていく中で全会一致ででき上がったという議員立法でございます。  そう考えたときに、やはりこの法律の持っている重みというものがひしひしと感じられるわけでございますけれども、大事なことは、この法律の前文に、社会システムが高齢社会にふさわしいものとなるよう不断に見直し、適切なものとしていくことを強調している点、国においても社会経済情勢の変化に応じて不断に社会システムを見直していくことを確認しているわけでございまして、これは私がいうまでもありませんが、共産党の皆さん方も含めて、すべての会派がこれに賛同しているということでございます。  高齢社会対策基本法の前文に書かれている社会システムの不断の見直しは、全会派が賛成している以上、国民的コンセンサスが得られているものと理解していいというふうに思っております。  国においては、少子高齢化の進行や経済基調の変化を踏まえた制度の改革が現在進行中でございます。例えば高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランといっておりますが、このゴールドプランを経まして、昨年のゴールドプラン21の策定、そしてこの四月からは介護保険の導入、また医療、年金改革など社会保障構造改革が現在国の方で進められているわけでございます。また、社会福祉法人のあり方などにつきましても、福祉の基礎構造改革ということで検討が進んでおります。国は、これら国民的課題にみずから国の責務で取り組もうと、今真剣な議論が行われているわけでございます。  一方、平成二年に福祉八法の改正が行われましたけれども、区市町村が地域福祉の主体として位置づけられることとなった。また、地域に密着した福祉の推進を目指して、みずから実力をつけながら区市町村も立ち上がろうということで、今懸命の努力をしているわけでございます。  さらに、地方分権の流れの中で、都区制度改革による二十三区への権限の移譲が進んでおります。そして、福祉の分野では民間事業者の参入が急速に進んでおりますし、高齢者福祉は、質、量ともに大きな転換期に入っているというふうに受けとめております。  国や区市町村、民間が大きく変わろうとしている中にありまして、東京都のみが施策の見直しを先送りして、現在の枠組みを二十一世紀に持ち越すというようなことが果たして認められるかどうか、そういうことをいったときに、都民の方たちは何とお答えになってくださるかということであります。  私は、高齢者施策の見直しや二十一世紀高齢社会ビジョンの策定も、今述べたような状況を踏まえていろいろと検討されたと思っておりますけれども、国や区市町村、民間との役割分担等も踏まえまして、東京都の役割をどのように認識をしておられるのかということが一点。  もう一点は、今回の施策の見直しや二十一世紀高齢社会ビジョンの策定についてどう考えているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 都の福祉施策は、昭和四十年代に骨格を固めて、全国に先駆けた福祉施策を実施しまして、国や他の自治体に大きな影響を与えてきました。都においても、平成四年から十年にかけまして、東京都社会福祉審議会が、時代の変化にふさわしい地域福祉の展開やその再構築の必要性などについて提言をまとめてきたところでございます。  しかし、今日、少子高齢化の急速な進行、それから低成長経済への移行、介護保険制度の実施など、これまでの施策継続はもはや困難でございまして、新しい施策への転換が求められていると考えております。介護保険制度が始まる平成十二年度がもはや見直しの最後のチャンスといっても過言ではないというふうに考えるわけでございます。  このような認識のもとで、今回十二年度予算案において主要施策の見直しを図るとともに、二十一世紀高齢社会ビジョンにお示ししましたように、新しい時代にふさわしい新たな施策の展開を図るということにしたものでございます。この二十一世紀高齢社会ビジョンは、一月に開かれました厚生省の各県の福祉担当局部長会で厚生省からも配布されまして、各県におきましても、東京都の進める二十一世紀高齢社会ビジョンについて一定の理解がなされようとしているわけでございます。  そのような中で、東京都の役割でございますけれども、東京都としましては、医療や所得保障などを確保することは基本的に国の役割である。国に要望すべきことは、今まさに社会福祉構造改革を国が進めておりますので、府県の立場として、都民の健康と暮らしを守るために、国にいうべきことはしっかりと要望するとともに、区市町村に対しましては、地域の実情に応じて、地域福祉の推進の主体として、まさに質、量ともに充実したサービスが提供できるように、区市町村を広域的な立場から支援をしていく。  それから、高齢者福祉施策の分野には、民間からの参入やNPOなどの公益団体等の参入もこれからたくさん見込まれますので、こういった福祉の受け皿となる民間団体に対して、福祉人材の育成とか、それぞれの主体の指導監督、こういったものを積極的に図るということで、東京都の役割をはっきり、国との役割、区市町村との役割、民間との役割を認識する中で、限られた財源でございますこの財源を使って、しっかりとした二十一世紀の高齢社会ビジョンが具体的な施策に落ちるようにサポートしてまいりたいと考えております。 ◯曽雌委員 日本のみならず、世界の動向として、先進諸国は今、高齢社会に対応して政策の転換を図ろうということでいろいろな取り組みをしています。既にご案内だと思いますが、イギリスのコミュニティケア改革、スウェーデンのエーデル改革、ドイツの公的介護保険の導入、アメリカの医療改革のいずれをとりましても、高齢社会への政策対応が今それぞれ行われているわけですね。  そう考えたときに、やはり我が国においても、また私たちの東京においても、今こそ四十年代につくり上げてきたいろいろな施策を見直しして、必要なものはより拡充もしなきゃなりませんし、そして新たな施策の展開もしなきゃなりませんし、一応時代の流れの中でその役割が終えたかなというものについては見直しをするとか、やはりそうした不断の見直しをしていかなければ、本当に二十一世紀、都民の皆さん方に喜んでいただける福祉サービスの提供はできないのではないかというふうに私は思っています。  そこでもう一つ確認しておきたいと思いますけれども、今回の福祉施策の見直し案は、突如として出された、十分な議論もないままに事が決められているかのような発言がありますけれども、私はそうではないというふうに思っております。これまで何年も前から、都民の皆さんに福祉施策の現状というものを資料等で詳しく説明をしながら、そして十分な検討を行った上で今回の見直し案の提案になったというふうに私は受けとめておりますけれども、この点についてご説明をいただきたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 東京都としましては、これまで、平成九年九月に「東京都の福祉施策を考える」と題する都民の皆さんに向けました討議資料、いわゆるグリーンペーパーを発行いたしまして、広く高齢者施策の現状をお示しいたしました。また、これに続きまして十一年の六月には第二回目のグリーンペーパーを発行いたしまして、都の高齢者施策の現状と課題を都民の皆さんにご説明し、施策の転換が必要であることを再三訴えてまいりました。そして、都民の皆さんからは多くの意見をいただきました。それらの意見も踏まえまして、昨年八月には「福祉施策の新たな展開」をまとめまして、都の福祉転換の必要性、新しい福祉の基本的方向をお示しするとともに、五年程度の取り組みを念頭に置きまして、新しい取り組みを展開する主な施策もここで示したところでございます。  このような経緯を踏まえまして、十二年度予算要求においては、主要事業の見直し案とあわせてこれを見直して、新しい施策をこういうふうに展開するんだという新たな施策の展開を盛り込んだ予算要求をいたしました。  今お話がありましたように、これまでも何年もかけて都民の皆さんに高齢者施策の現状や課題について説明を行うとともに、都議会各会派からのご提案、区市町村、団体の要望を十分考慮して、今回の見直し案を策定したところでございます。 ◯曽雌委員 冒頭、この基本法の制定のことで触れましたけれども、少し皆さんに知っていただきたいということで読み上げたいと思いますが、衆議院の内閣委員会においては、鶴岡洋参議院国民生活・経済に関する調査会長が趣旨説明を行った後、高齢社会対策基本法が必要とされるに至った背景と考え方、基本理念とあるべき高齢社会像、国と地方の役割分担、後期高齢者に関する施策の位置づけ、高齢社会対策会議の構成などについて質疑がなされ、提出者から答弁があった、こういうのがあります。  その中で、各党のそれぞれの議員の方たちが議論をし合っておりますので、一つだけご紹介したいと思っていますが……(「共産党は何といったんだ」と呼ぶ者あり)先生と同じ名前の方で、こういうふうにいっています。この高齢社会対策基本法の性格についてでありますが、これは、狭い意味での高齢者対策、いわゆる高齢になった人に対する対策ではなくて、人口構造の高齢化した高齢社会対策の基本法として制定されようとしていることが特徴だというふうに受け取れます。そういうふうにとっていいのかどうか、この法案の基本性格にかかわる問題でもありますので、ご答弁を願いたい。こういう質問をされております。  これに対して答弁された参議院議員の方は、本法案は、ただいまご指摘がありましたように、高齢者、すなわちお年寄り対策ということだけではなく、高齢化の進展に対して社会全体が適切に対応していく、そのために社会のいろいろな現在存続しますシステムを再構築し、そして高齢社会における国民生活全体の安定と向上を図ろうというためのものでございます、委員ご指摘のとおりでございます。こういうふうに実は答弁しているんですね。  ですから、今非常に財政がどうこうというよりも、私、いつも思っているんですけれども、今なぜ福祉の見直しをしなきゃならないのか、今やらなかったら、これから先どうなるんだということの大事な議論をしなきゃならないときだと思っています。ですから、真摯な意味での福祉施策の見直し、新たな施策をどう展開していくかということの議論をしっかりとやっていきませんと、将来にわたって禍根を残してしまうのではないかと思っています。そういう面で、今各党の議員の方たちもそれぞれの立場の中でしっかりとした議論をしているわけでございますので、この点をお互いに確認をしながら、さらに議論が続けられればと思っております。  今のことについてはこれで終わりますが、次に私の方から伺いたいのは、先ほどお二方からシルバーパスのことについてのお話がございましたけれども、私の方からも、シルバーパスの条例についてということで幾つかお聞きしておきたいと思っております。  まず、冒頭、シルバーパス制度、当初は都営無料乗車券事業というものが発足をしたわけでありますが、この発足に向けた議論は最初どんなことがあったのか、私、過去の会議録を調べてみました。昭和四十七年六月三十日、これは実は私どもの党の先輩議員であります川崎実さんという都議会議員が本会議で質問しておりまして、「老人の生活にとって大きな負担となる公共施設、交通機関に対する優遇措置についてでありますが、財政的にも直ちに実施できる施策ではないかとも思いますが、たとえば都の全交通機関の無料パスを支給するなど、可能な限りあたたかい措置を講ずるよう配慮することができないかどうか、あわせてお伺いしたいと思います。」こういう質問をしています。  これに対して、当時の美濃部都知事がこのように答弁されています。「老人に対する交通料金その他の公共料金の無料化、割引制度を実施してはどうかというご質問についてでございますが、老人福祉の一環として交通料金の割引、無料化等につきましては、基本的に賛成でございますので、実現の方向に向かって検討いたしたいと思います。都内には約三十六万人の七十歳以上の老人の方々が住んでいらっしゃいます。この老人の方々の適用範囲をどうするか、どの交通機関にも適用できるかどうか、料金割引証明の方法などについて至急検討いたしたいと思います。」こういうやりとりが昭和四十七年にありまして、そして資料にも出ておりますけれども、このシルバーパス制度というのが、もともとは四十八年の一月十五日に都営無料乗車券事業ということでスタートした、こういう流れで来たと思ったんです。  その間、その時々の時代の変遷の中で、幾たびかこのパスも名称が変わったりしましたけれども、中身の検討がなされながら今日に至っているわけでございます。そのことをまず確認しながらお聞きしたいと思っておりますけれども、まず第一に、改正条例案の第二条によれば、パスを発行するのは知事が指定する団体、つまり、東京都が直接実施する事業から指定団体の補助事業にかわる、こういうふうに記されておりますけれども、やはり都民の方たちが一番心配しているのは、このシルバーパス事業の継続性はどうなんだということになるんだと思っていますが、この点について改めて確認の意味でお答えいただきたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 改正条例案においても、現行条例と全く同様に、事業の目的につきましては、高齢者の社会参加を助長し、もって高齢者の福祉の向上を図るということで規定しておりまして、シルバーパス制度の目的には何ら変更はありません。また、このたびの改正におきまして、一般の補助事業のように、実施要綱、補助要綱といういわば内規により定めるのではなくて、議会の議決をいただく条例という形式を維持しておりまして、事業を執行機関の一存で廃止するようなことはあり得ないものでございます。したがって、事業の継続性は十分担保されていると考えております。 ◯曽雌委員 先般の予特の議論等の中では、何か東京都が直接事業をやるのではなくて、指定団体への補助事業にかわるということが、将来にわたってこのシルバーパスの制度が本当に続いていくのかどうか、そのことを危惧する質問等も出ておりましたので、今のお話を聞いておりますと、そうではない、事業の継続性はしっかりと担保されますということですので、都民の方たちもこれがわかっていただければ安心すると思います。  条例の廃止、新設ではなくて、今回全部改正の形式をとった。それは、シルバーパス事業そのものを継続をしていくんだから、全部改正の方式をとりましたということで、先ほど他の委員の質問の中で答弁にありましたけれども、それでは、民間団体の補助というものは、通常、普通ですと、条例ではなくて、実施要綱だとか補助要綱、こういうことで行うということでございますけれども、今回のシルバーパス条例のように、条例で定めるというような事例はほかにもあるんでしょうか。 ◯有手高齢政策部長 東京都が学校法人に対して行う助成に関しまして必要な事項を定めるために、東京都私立学校教育助成条例が制定されております。 ◯曽雌委員 条例案では、例えば補助金の申請の手続の方法であるとか、補助額の決定方法など、具体的な手続方法についてはいまだ定まっておりませんけれども、この補助手続についてはどのようになりますでしょうか。 ◯有手高齢政策部長 条例におきましては、事業の目的や指定団体が行うべきことなど、基本的な事項を定めることとしております。具体的な補助の手続につきましては、東京都補助金等交付規則の適用を受けるほか、別途シルバーパス条例に基づく補助金の交付に関する補助要綱を策定いたしまして、適切に処理してまいります。 ◯曽雌委員 今までの条例ですと、東京都がみずからシルバーパスの発行主体となって、責任を持って都民に事業を実施しますということを約束して今日まで来ているわけでございます。しかし、今度の条例案では、この指定団体に事業を行うことを義務づけているわけでございますけれども、この点は法的にはどのようなことになるんでしょうか、問題ないのかどうなのか。 ◯有手高齢政策部長 この条例案では、団体に対し法的な義務を課す性格のものではございませんが、都の施策として事業を行うことを条例で明確に定めておりまして、バス事業者におきましても、制度の意義を十分理解し、事業の存続を強く望んでいることから、事業は継続できるものと確信しております。 ◯曽雌委員 条例上、法的に事業の実施というものが義務づけられるとなってきますと、東京都の事業の継続性が約束できるかどうかということが心配になってきます。知事は、たしか答弁の中では、そのシルバーパス制度を継続していくために今回見直しが必要なんだというふうに述べておったというふうに私は記憶しておりますけれども、この点もあわせて確認の意味でお聞きしておきます。 ◯有手高齢政策部長 都として事業の継続を担保するために、議会の議決をいただく条例として定めることとしたものでございます。そしてまた、今お話がございましたけれども、知事も、先ほどの議会で、今回の見直しは制度を存続させるためにこそ行うものであると議会の公式の場で発言してございますので、都としては事業を継続していく考えに変わりはないというふうに考えております。 ◯曽雌委員 先ほどの質疑の中でも明らかになりましたけれども、従来の条例でも、今回新しく提案されている条例でも、ともにバス事業者の協力がなければ進められない事業だということで、そういう面では全く同じであるということの答弁がありました。東京都としてもバス事業者の協力を得て事業の継続をしていくんでしょうけれども、団体が必ず事業を行うとはっきり断言できるのかどうか。  先ほどの議論を聞いていましたときに、バス協会とまだ合意していないのはおかしいじゃないかというふうな話が出ていましたけれども、この点はどういうことなのか、はっきりとお答えをしておいていただきたいと思っております。 ◯有手高齢政策部長 都といたしましては、事業を行う指定団体を、公益を目的とする社団法人である東京バス協会にお願いしたいと考えておりまして、先ほど担当部長から説明がありましたように、鋭意この実施に向けまして必要な問題について検討しているところでございます。  私どもは、この社団法人が公益団体であるということで、その公益性からも必ず実施していただけるものと確信しております。そして、先ほども答弁がありましたけれども、東京バス協会は、三月十五日の理事会において、条例、予算案が都議会の支持を得られることを条件に、全面的に協力していくという決定をしていただいているところでございます。 ◯曽雌委員 ですから、今議会にかかっているシルバーパスに関する条例と予算案が可決成立した段階で正式な話し合いになって、こういう点についてはこうしてくださいねということの合意がとれるということになるわけですよね。  今はまだ議会で審議をしているさなかなので、通ることを前提としているんだと思いますけれども、その上で下打ち合わせといいますか、それをやっている段階ではないかと僕は理解しているんですけれども、このあたりははっきりしておきませんと、何かうやむやになってしまうんじゃないかと思われている人がいるといけないので、そのあたりははっきりとお答えをしておいていただきたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 今のお話の点につきまして、私ども十分準備をするために事前の協議をしなくてはうまくいきません。それから、先ほど担当部長がお話ししましたように、十月一日から新しいパス制度に変わるということで、その間、期間がある。そういう中で、今回の改革につきましてはいろいろな要素が盛り込まれているわけでございます。バス事業者としましても、これから規制が緩和になってバス事業の運営が非常に厳しくなる、それから一方では、高齢者の方が社会参加をするために、ますます高齢者の方の移動の自由、そういう交通の移送手段が非常に必要になる、こういう趣旨の中で、都議会が長年積み上げてこのパス制度をつくってきているわけですから、こういう社会的な非常に有効なシルバーパス制度というものにつきましては、都民も事業者も東京都も一緒になってこれをどう守り育てていくか、こういう関係で今協議をしているところです。  おっしゃるとおり、この議会で条例も予算も全部そのまま通していただければ、私どもは、全力を挙げて十月一日からの新制度移行に向けまして協会と精力的に協議をしてまいります。 ◯曽雌委員 十月一日からとなりますから、四月から期間があるようでそんなにあるわけではありませんので大変だと思いますけれども、今議会で、私どもの決意では、予定どおりこの条例と予算を通していきたいという思いで頑張りますので、ぜひ、その結論が出た段階で、限られた段階の中で本当に大変でしょうけれども、しっかりと努力をしていただいて、準備万端やっていただく中で、そしてスムーズに新制度に移行できる。そして、シルバーパスを利用する高齢者の方たちは、東京都がじかにやっていても、バス協会がやっていても、要するに自分たちが今まで受けているそうしたサービスがより進展すれば喜んでくれると僕は思っていますので、そういう混乱のないように、限られた時間ではございますけれども、懸命に室長を中心に努力をしていただけるようにお願いしておきたいと思っています。  さて、条例のことに戻りますけれども、条例上、一団体に限るというふうに規定をしておりますけれども、これはなぜなのかなというふうに思っています。二団体、三団体あってもいいのかな、こんなようなご意見もあるわけでございますけれども、一団体に限るというのは、ほかのものを見てもそんなにはないのではないかと思っていますけれども、そのあたりはどうでしょうか。 ◯有手高齢政策部長 一団体に限るという規定をいたしました理由でございますけれども、シルバーパスの発行や利用方法を統一的に実施し、利用者の便宜を図るためでございます。  また、例がないのではないかというご指摘ですが、条例では、例は私の知る限りではございませんけれども、老人福祉法におきまして、老人福祉法に定める老人健康保持事業を行う法人を全国を通じて一個に限り指定することができる、こういう規定が設けられまして、この規定に基づいて財団法人長寿社会開発センターが指定されている例がございます。 ◯曽雌委員 指定した団体がおかしくなっちゃうというか、分裂しちゃったりなんていうことはまず絶対ないと私は信じていますけれども、万々が一そんなようなことが起きてしまったというようなことがあったとするならばという仮定の話ですけれども、もしそういう状況になったときにはどのように対応するんですか。余りいい仮定じゃないでしょうが、済みません。 ◯有手高齢政策部長 団体が分裂することを毛頭望んでいないのですけれども、せっかくのご質問でございますので……。  団体が分裂したり解散するおそれはないんですけれども、もしそうなった場合、そのような事態が生じた場合や、また事業を行う団体が二団体となってしまう、こういったような場合には、条例改正を含めまして必要な対応をしてまいりたいと考えております。 ◯曽雌委員 それから、条例の第四条ですけれども、ここで費用負担額というものを規則で定めておりますけれども、これは条例で定めた方がいいのではないかというような意見もあります。そうでないと、議会での審議というものが行われないままに知事の裁量で費用負担額が上げられてしまうのではないか、こういうような心配をしている人も一部いらっしゃるようでございますので、この点を明らかにしておいていただきたいと思っています。 ◯有手高齢政策部長 実は現行条例におきましても、改正条例案と同様で、費用負担額については、パスの利用及び交付に要する費用として規則で定める額として規定しております。これは、パスの費用負担額を、バス事業を取り巻く状況の変化、利用実態、それから都民の意向などを総合的に判断して定める必要がございまして、条例において一定の確定案を定めることにはなじまないものである、こういう考え方によるものでございます。  いずれにいたしましても、費用負担額は都議会における予算審議を経て決定されるものでありまして、ご指摘のような心配は全く当たらないと考えております。 ◯曽雌委員 改正条例案の施行日が、先ほど来いわれておりますように、十二年十月一日でございますけれども、それまでの間に当然規則をつくっていかなきゃなりませんけれども、できるだけ早くといいながらも、余り急ぎ過ぎて抜けているようなことがあったらいけないわけですから、難しいとは思いますけれども、その規則を制定していくのに、いつごろまでにというめどを立てておられるのか。また、その規則を定めていくに当たっての決意というものをあわせてお伺いしておきたいと思っています。それは、都民の側に立って、利用者の側に立ってどう臨むのかということです。お願いしたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 先ほどもご答弁しましたけれども、一日も早い改正条例案の可決をお待ちしております。この条例案が可決されますと、施行日までにできるだけ早く制定したいと考えております。今ご指摘のありました点も十分踏まえて、利用者に喜ばれるような新しいシルバーパス制度にしていきたいなと、こういうふうに考えておりまして、室を挙げまして全力を挙げて取り組んでまいります。 ◯曽雌委員 それでは二点ほど、また別のことで。老人福祉手当と医療費助成の条例も出てきておりますので、二、三お聞きしておきたいと思っています。  第一点は、東京都の老人福祉手当に関する条例の改正案では、附則で平成十五年三月三十一日限りその効力を失うというふうに規定をしておりますけれども、なぜ廃止条例としなかったのかということでお聞きしておきたいと思っております。 ◯有手高齢政策部長 平成十二年四月から平成十五年三月までの間、現行の受給をされている方を対象としまして本事業を継続する、こういう考え方から、制度改正に当たりましては、廃止条例とせずに、条例改正の方式により条例の存続期限を定めたものでございます。 ◯曽雌委員 そうしますと、老人医療費の助成に関する条例の方では、附則は平成十九年六月三十日限りその効力を失うというふうに規定していますけれども、これは同じような考え方で条例廃止というふうにしなかったんでしょうか、どうでしょうか。 ◯有手高齢政策部長 現行の対象者には引き続き助成を行う、これが一つ原則でございます。それに加えまして、六十四歳の方は平成十四年七月から、六十三歳の方は平成十六年七月から助成対象としまして、これらの方が老人保健法による医療の対象者となる平成十九年六月三十日までの間、本事業を継続する、こういうことにしたために、制度改正に当たりましては、廃止条例とせずに、条例改正の方式により条例の存続期限を定める、こういう方式をとったものでございます。 ◯曽雌委員 いずれの条例の場合も、それぞれ制度が何年か後になくなるということになるわけでありますので、廃止条例ということで制定をしてもいいのではないか、こういうような意見もありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。 ◯有手高齢政策部長 確かにそういうご意見もあるのは耳にしますけれども、条例を廃止する、それ自体を目的にする場合は、廃止条例を定めるという方式がとられます。一方、直ちに廃止するのではなく、一定の存続期間を置く場合には、附則において期限を定めた上で効力を失う、こういう規定を置く形式で条例改正がなされる、こういう条例改正方式にのっとって、今回の見直しの内容を踏まえてこうした対応をしたものでございます。 ◯曽雌委員 廃止条例ではなくて、改正条例の形をとったということで理解ができましたけれども、この間、我が党初め自民党さんも一緒に緊急要望をいろいろさせていただく中で、そして具体的に緩和措置をとっていこうというようなことの話になって、それらを受けて知事部局は、都民の大多数のそうした願いであるならばということで、私たちの要求を受け入れてくれた、このように受けとめているわけでございます。  大事なことは、先ほど三宅副委員長からもお話がありましたけれども、この老人医療費の助成制度とか老人福祉手当が、あたかも直ちに十二年度からなくなってしまうような宣伝がされている部分がありますので、そうではなくて、都民に対してきちっとした情報を伝えてほしいというのが私からのお願いでもあります。そうしないと、何かすぐなくなっちゃうというようなもので、ばたばたしてしまって心配する方が多いわけですよ。そうではありませんよ、こういう緩和措置を講じてこういうふうになっていくんですというようなことを、懇切丁寧に、都の広報紙を通じたりしながら、あらゆる媒体を通じて、正しい情報をしっかりと都民に伝えてほしいと思いますけれども、この点いかがでしょうか。    〔「漫画でわかりやすくかけばいいんだ」と呼ぶ〕 ◯金内保健福祉部長 今回の条例改正が支持を得ましたならば、先ほど申し上げましたけれども、我々全力を尽くしまして、また細かなやり方で、例えば区市町村の協力も得ながら、きちんと広報を徹底してまいりたい、そういうふうに思っております。 ◯曽雌委員 今、松本委員からもお話がありましたけれども、やっぱり今みんな見るのは──字がいっぱい並んでいますとなかなか読まないんですね。ですから、イラストとか漫画を使っていただいて、介護保険の漫画版ができましたよね。「かいご君」というのができて、これは岡本部長のところで頑張れたんだと思いますけれども、「介護保険制度のあらまし」というので東京都がつくられた中に、介護保険というのはどうして始まるのかと漫画でずっと出ていました。あれは、正直いって、私なんか物すごく好評だったと思っていますよ。たくさんの方たちが喜んで見て、わかりやすかったといっている。ぜひそういう面でわかりやすく、漫画等を使うなり、絵でも、わかりやすくひとつ考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。  次に、包括事業のことで二、三確認させていただきたいと思っています。  まず、国の包括補助事業の内容についてでございますけれども、介護保険の実施に当たりまして、介護にならないための予防策、また生活支援策が非常に重要だということはだれでもが承知をしていることでございます。これまでの包括事業が、十二年度には、国において介護予防・生活支援事業として大幅に拡充をされるということになったわけでございますが、改めてその内容と大幅に拡充された部分についてご説明をいただきたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 国の制度は、介護予防・生活支援事業という名称で包括補助制度をつくってございます。介護保険制度の保険者である区市町村が、要介護認定で制度の対象外となる高齢者などを対象にいたしまして、生きがい対策、自立生活支援、健康づくり等寝たきり予防のほか、介護保険の対象とならない配食サービスや外出支援サービスなどの保健福祉施策を総合的に実施できるように支援することを目的に設けられたものでございます。  これまでの在宅高齢者保健福祉推進支援事業を整理いたしまして、十二年度に新たに創設されたものでございまして、国の予算額は、十一年度の在宅高齢者保健福祉推進支援事業が百億円であったのに対しまして、十二年度は三百六十七億円に大幅に増額されております。大幅に充実されましたのは、介護保険制度を円滑に実施するためには、介護保険制度を拡充するだけではだめで、高齢者ができる限り寝たきりなどの要介護状態に陥ったりすることがないようにすることや、自立した生活を送るために必要な支援を行うことが重要である、こういう認識に立って増額していただいたものと考えております。 ◯曽雌委員 今、有手部長さんがおっしゃいましたように私も思うんですが、介護保険と介護予防・生活支援事業というのは車の両輪だというふうに思っています。その両方が相まって施策が展開されると思っておりますので、国が包括補助事業を拡充するに当たりまして、それでは東京都は具体的にどういうお願いというか要請をしてきたんでしょうか。 ◯有手高齢政策部長 東京都は、政府の予算編成に当たりまして、在宅高齢者保健福祉推進支援事業につきまして、介護保険制度の対象外となる高齢者を初め在宅の高齢者が地域で安心して生活を継続できるように、生活支援型ホームヘルプサービス等を加えるなど対象事業をさらに拡充する、あわせて十分な支援措置を講じられるという、この二つの内容を中心に再三要望をいたしました。今回、国の包括補助制度が大幅に増額されまして、対象事業も拡充されましたのは、私どもだけの力ではございませんけれども、こうした働きかけが功を奏したものというふうに考えております。 ◯曽雌委員 この問題の最後に、東京都の包括事業について伺っておきたいと思いますが、先般の予算特別委員会で、財務局長がある方の質問に答えてこんなふうにいっていましたね。都制度の包括補助制度である高齢社会福祉ビジョン推進補助事業について、基本的には時限的な制度である、こういうふうに財務局長は答えているんですよね。私、それを聞きまして、あらあらと思いながら話を聞いていましたけれども、これからの地域福祉を進めていく上で、東京都単独の包括補助事業というのは大きな役割を担う事業だということは、だれでもわかっているというふうに思うんですよ。それを財務局長はどういうご趣旨でいったか知りませんけれども、ちょっと私たちが考えていることとは違うようなご答弁をなさっているんではないかなというふうに思っております。  事業の担当局であります高齢者施策推進室として、東京都の包括補助事業についてどう考えているのか、これをしっかりと固めておかないといけないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。 ◯有手高齢政策部長 高齢社会福祉ビジョン推進補助事業は、区市町村が地域の実情に応じましてさまざまな事業を展開できるように、各種事業をメニュー化し、そして包括的に補助する事業でございまして、これからの地域福祉の推進を支援する上で必要不可欠な事業である、こういうふうに私どもは認識しております。  また、本事業は、国制度の補助対象とならない各種事業を補助対象としておりまして、二十一世紀高齢社会ビジョンにおいてお示ししました、安心、いきいき、支え合いの東京の高齢社会を実現するために必要な施策を補助対象としております。私ども高齢者施策推進室といたしましては、ぜひとも継続できるように最大限の努力を続けてまいりたいと考えております。ご支援のほどお願い申し上げます。 ◯曽雌委員 今の有手部長の決意は、室長の決意と同じというふうに受けとめていますが、いいですよね。いいですか、ご答弁していただければ……。 ◯神藤高齢者施策推進室長 全くそのとおりでございます。 ◯曽雌委員 最後の質問で、緊急通報システム事業について幾つかお聞きしていきたいと思っております。  福祉先進国といわれている国々は、共通して、高齢者の方たちができるだけ住みなれたところで、残っている機能を少しでも生かしながら自己決定権が尊重されるという、これを原則として高齢者の施策を展開しております。在宅生活を送っている高齢者の方たちにとりましてそういう希望が非常に強いわけでございますが、状況によってはひとり暮らしであったり、また病弱な高齢者であったりというようなことになって、万々が一のことを考えると、日々不安な生活を送っているという方たちもたくさんいらっしゃるわけでございます。  このような高齢者に対して東京都は今緊急通報システムの整備をしておりますけれども、事業の概要とこれまでの整備状況がどこまで進んでいるのか、お示しいただきたいと思います。 ◯金内保健福祉部長 緊急通報システムでございますが、病弱なひとり暮らし等の高齢者に対しましてペンダント型の発信機を身につけていただくものでございます。家庭内で病気などの緊急事態に陥った場合、そのペンダントのボタンを押すことで東京消防庁等に通報いたしまして、あらかじめ組織された地域協力体制等による速やかな救助等を行うものでございます。  東京都はその整備を昭和五十九年から進めてきておりまして、当初四十三世帯の利用から始まりまして、平成十年度には一万三百四十世帯が利用しているところでございます。 ◯曽雌委員 先般、この緊急通報システムを利用といいますか、対象になってペンダントを持っているお年寄りの方と会いましていろいろお話を聞いていく中で、私も非常に勉強させられてしまったんですが、ペンダント型の発信機を身につけているということでございますけれども、例えばそのお年寄りの方がおふろに入っているというようなときはどうなんだという話になりましたら、当然ペンダントは外して入るということになりますね。そうしますと、そのおふろ場でもしもぐあいが悪くなったりして緊急通報のボタンを押したいと思っても、なかなか通報ができない状況が起きてしまっている、そういうことで困った人もいるんですよという話も聞いてきました。  また、確かにペンダントを押しますと、東京消防庁から、どうしましたということの確認の電話が入ってくるんですけれども、電話に出られるところでぐあいが悪くなった人ならまだいいんですけれども、家の中で、例えばお手洗いであるとか、またおふろ場のそばだったりなんかということで、電話機のところまで行けない状況の中で緊急事態が発生してしまうという場合もあるわけでございます。また、もっと大変なときになりますと、玄関が施錠されている、安全のためにかぎをかけてある、そういうような状況の中でこの緊急通報システムのボタンを押しても、なかなか機能的に活用されないといいますか、展開できないという部分があって、利用面で心配だという方たちの意見を聞いてきました。  この点について、現在、東京都の方では状況をどのように把握をして、どのようにしようとしておられるのか、お答えいただきたいと思います。 ◯金内保健福祉部長 ご指摘のとおり、さまざまなケースが予想されます。これに対しまして、私どもでは、東京消防庁あるいは区市町村と個別のケースといいますか、類型をつくりまして個別に対応を図っております。例えば先ほどお話のございました入浴中の問題でございますけれども、入浴中にも通報ができるよう、防水型のペンダントの製作をメーカーに要望いたしまして、現在切りかえを進めているところでございます。また、東京消防庁からの電話に出られないなどの場合、何かトラブルが発生しているものとして直ちに救急車が出動し、あるいは協力員を派遣する体制をとっております。さらに、玄関などが施錠されている場合を想定しまして、あらかじめ協力員にかぎを預けていただいているほか、最悪の場合には出入り口を最小限度破壊することを了承していただいております。 ◯曽雌委員 防水型のペンダントというのはどの程度かえられるといいますか、先ほど十年度の実績で十万三百四十世帯が活用しているというお話でしたけれども、どの程度になっているのか。一つ二つというのではとてもだめな話でありますので、数がわかりますか。 ◯金内保健福祉部長 現在、数は把握しておりませんが、昨年の九月からそういう形に切りかえております。 ◯曽雌委員 基本的にはそれにかえていくという方向性なのか、あくまで希望者のこともあるんでしょうけれども、希望者でいくのか、それとも、そういう最悪のことを考えたときには、防水型に全部かえていただければ一番いいわけでありますが、費用的なこともあるでしょうけれども、基本的にはその辺はどういうふうにかえていこうとしているのか、詰まっていますか。 ◯金内保健福祉部長 現在、新たなものからそういうものを全部、入浴する場合にも大丈夫なような形にかえておりまして、現在配られている方については今後計画的にやっていきたいというふうに思います。 ◯曽雌委員 その辺も、通報ボタンを渡してあるから大丈夫だということでは決してないと思いますけれども、実態というものをいろいろと見てみますと、スタートしたときはそれでよかったんだけれども、やはりいろいろな状況が変わってきて、よりいいものをということが必要になってきますので、ぜひご検討をお願いしたいと思っております。  次にお聞きしたいのは、いざというときにどうするかと。先ほどお話が出ましたけれども、やはり地域の協力員の方たちがどこまでお手伝いしてくれるか、また、協力員でなくても、地域の方たちが地域ぐるみになって、そうしたひとり暮らしであったり、または病弱な高齢者の方たちを守っていくかということが大事だと思うんですね。そういう面で、地域ぐるみの協力体制づくりということについては、東京都はどのような取り組みをしておられるんでしょうか。
    ◯金内保健福祉部長 先ほども申し上げましたが、緊急通報システムの事業では、ボランティアとして、近所の方など利用者と親しい方に緊急通報協力員になっていただくようお願いをしております。その役割といたしましては、主に通報があった場合に利用者の家に駆けつけ、現場の様子を確認して東京消防庁に連絡していただくことでございまして、そのほか、かぎの保管だとか定期点検の立ち会いも行っていただいております。  ご指摘の日ごろから声をかけるとか、あるいは地域ぐるみの協力体制をつくるということは大変重要だというふうに考えておりまして、まさにこの事業の目的も、地域で高齢者を見守り、支え合う体制をつくることでございます。このため、協力員にも日ごろから声をかけていただくほか、住民に広報を通じて制度の周知を図るよう区市町村にお願いをしているところでございます。 ◯曽雌委員 東京都では、今お話がありましたように、東京消防庁に通報していくというシステムが一つは主流になっている。もう一方では、民間の事業者を活用したシステムについても補助を行っているというふうに聞いておりますけれども、その実績と効果はどのようにつかんでおられるでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 民間事業者を活用したシステムにつきましては、平成八年度から補助を行っておりまして、平成十年度までに目黒区、新宿区、調布市など九つの区市で導入しておりまして、二百二十三世帯の方が利用されておられます。このシステムは、何らかの事情で協力員が確保できない高齢者に利用していただいておりまして、東京消防庁等に通報するシステムを補完することができるとともに、民間事業者が通報を受けるため、消防機関への誤報、誤った報告が少なくなることなどの効果があると考えております。 ◯曽雌委員 協力員が確保できないと、なかなか東京消防庁に通報するシステムは使えない。しかし、今お話があったように、協力員が確保できなくても、できる方法として今伸びてきているのが民間の事業者だというふうに思っているんですね。  これもある方のところへ行って見せてもらって思ったんですが、さっき僕はおふろ場で倒れてしまった人たちをどうするんだという話をしましたけれども、その方の状況を見せていただきましたら、電話機がありますと、その電話機の下に──電話をかけますと自動発信して、ボタンを押しますね。そうすると、それがセンターなりに通知が行く。センターの方には、登録されている私なら私の名前から、生年月日から、過去にどんな病気があったとか、それから主治医がだれで、かかりつけのお医者さんがだれで、保険は何で、そんなことまで全部コンピューター一枚にばっと出てくるシステムがあるんだそうですね。  例えば、おふろ場で倒れてしまったりしたときにボタンを押す。ところが、そのセンターなりから、おばあちゃん、おじいちゃん、どうしましたといいますと、さっきの話のように電話機のところまで来なくても、そのお年寄りの方がお手洗いのところだとか、またおふろ場のところで、ちょっとぐあいが悪くてこうですよというと、それを集音するマイクがついている電話機があるんですね。それで聞いて、直ちに行かなきゃならない場合もあれば、先ほどの話じゃないんですけれども、誤操作というような場合も中にはあったりで、誤操作なんかだと、そのおじいちゃんやおばあちゃんに対して、どうしましたと優しく声をかけてあげて、いろいろと対応しているなんていう例も聞いております。  そういう面で、やはりこれは民間の事業をどう進めていくかということも一つは大きな課題だと思いますので、最後にお聞きしたいのは、民間事業者との役割分担をどうするかということについてもひとつ今後ご検討いただきたいと思って、質問しておきたいと思っています。  かなり民間でやっているのも効果があるということではわかりましたけれども、これからは民間と行政との役割分担というものをはっきりとさせて、また、システム運用の効率性だとか、また、民間事業者にお願いすべきものはお願いをしていくのも一つの方法なのかなと思っております。  今、東京消防庁の方たちも、しょっちゅう救急車の出動依頼とかいろいろな電話が入ってきて、相当大変な中でこのシステムに対応しておるのかなというふうに私は受けとめているんです。  ですから、そういうことも含めてどうしていくことが一番いいのかということで、民間との役割分担ということについてもぜひ高齢者施策推進室の方でご検討を始めていただきたい、こんなふうに思っておりますけれども、これについてお聞きして、質問を終えたいと思いますので、よろしくお願いします。 ◯金内保健福祉部長 事業というのは、常に問題点を把握して、それを解決していいものにしていく必要があろうかと思います。緊急通報システムについてもいろいろなタイプがあり、メリット、デメリットそれぞれあろうかと思います。したがいまして、民間事業者の役割分担といいますか、それも含めまして、緊急通報システムがよりよいものになるよう検討してまいりたいというふうに思います。 ◯小林委員 それでは、シルバーパスの制度についてお伺いしたいと思います。  昭和四十八年に導入をされたというのは、正直いって、きょうの配布資料を見て初めて知りました。この詳しい内容も載っておりますけれども、今からちょうど二十八年前ですから、七十歳というのは相当高齢な人であっただろうというふうに私は思います。ですから、そういう意味で、今の制度がずっとそのまま来ているというのがちょっと不可解な気がしたものですから質問するわけですけれども、何人いたんですかと聞こうと思ったら、曽雌さんが三十六万人ということを、本会議でのやりとりでの報告をされましたが、この中の資料だと百二十万人ですから、四倍ぐらいに七十歳の人口はふえているわけですよね。  そのシルバーパスの制度が時々に変わっていっておりますけれども、最初は七十歳以上の人に対して無料であったのが、昭和五十四年の十月一日、ちょうど六年後になりますが、そこから初めて所得制限が導入をされているんですね。初めてここで所得制限。このときに七十歳以上の人がどのくらいおられて、所得制限を導入して、所得制限以下の人しかこれはもらえませんが、その対象者になったのは何人なのか、お聞きしたいと思います。  それから、これはちょっと通告していないので、なければそれで結構なんですが、わかれば、その一年後に、今まで所得制限以下しかもらえなかったのが、所得制限以上の人には有料でパスの交付をしておりますが、七十歳以上はどのぐらいおられて、有料がどのくらいで、無料がどのくらい、この数字について最初にお伺いします。 ◯金内保健福祉部長 昭和五十四年度の数字でございますが、これは一月一日現在でございますけれども、七十歳以上の人口につきましては五十万七千百十八人、このうち無料パスの交付者四十二万八千八百六十三というふうになってございます。それから、翌年の昭和五十五年度でございますが、七十歳以上の人口が五十三万三千六百八十一、これに対しまして無料パスの交付者が四十万三千四百三十二、有料パスが一万六千五百六十六、交付者の合計が四十一万九千九百九十八ということでございます。 ◯小林委員 最初に申し上げましたけれども、二十八年前に七十歳から導入して、曽雌さんの話、その当時の答弁の記録を見ますと、高齢者の社会参加の目的に資するということなんですね。それで、今回答弁の中も全く同じなんですね。二十八年前と今日の七十歳の人たちが置かれている社会的状況とか、現在の年齢構成からいって、明らかに目的が変わっていて当然だと私は思うんですけれども、その辺については全く同じと見るのか。状況としては変わっていますよね。その辺はいかがでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 使われ方はいろいろ変わっているかと思います。行き先だとか、そういう点は変わっているかと思いますが、目的については創設当初から同じものでございます。 ◯小林委員 私の推測ですけれども、二十八年前というと、七十歳まで生きられる方というのは、かなりまれとはいいませんけれども、多分そんなに多くはなかったですよね。ですから、パスを利用して出かけるというのは相当少なかったんだろうと思うんですね。ところが、今は、七十歳以上の人口というのはかなり大勢おられる。百二十万人いますからね。今東京都が一千二百万人でしょう。一割の人たちが七十歳以上なんですね。そういう意味からすれば(「羽曽部先生だってそうだ」と呼ぶ者あり)あんなに元気ですからね。ですから、そういう意味では、高齢者施策推進室でやるのがいいのかどうかと考えちゃうんですね。もっといえば、元気なんですよね。  ですから、私は、逆にそういう位置づけから、例えば寝たきりにならない人たちに、社会参加を、要するに元気でずっと余生を送られる、そういう位置づけにするということになれば、例えば実態に合わせる意味で、二十八年前というと、定年が多分五十五歳というのもあったんだろうと思うんですね。ですから、その十五年後ぐらいからこの制度にあずかるわけですが、今は六十歳が主流で、再雇用がありますから大体六十五で実質的には退職になりますけれども、そうすると五年ぐらいで乗れるんですね。  その社会参加を保障していくという意味では、今の社会の実態に合わせれば、シルバーパスという名前を変えて、むしろ六十五から使えるようにして──私の知っている人も、定年退職するとついついうちの中にこもりがちになって、冷蔵庫をあけて酒飲んじゃうわけですよ。用事がないから、ついそうなっちゃうんです。そういう人たちが、例えば仲間のところへちょっと出かけようかと──無料パスが社会に出る一つの誘因になるかどうかわかりませんよ。でも、一つそういう、不毛な議論をするんじゃなくて、もっと実態に合わせて、応分な負担、受益者、利益を得るものは当然その利益に見合った負担をするというのは、これは公平公正な社会ですから、当たり前の社会です。もちろん、払えない人はだめですよ。それは低所得者とか、そういった人には一定の配慮をしなきゃいけないけれども、六十五歳以上、うちの方で以前に質問しましたが、ボランティアとかNPOとか、六十五歳以上の方が今どんどん社会に参加していますね。そういった意味で、室長、その六十五歳提案についてはいかがでございましょうか。 ◯神藤高齢者施策推進室長 ちょうどシルバーパスができましたときの七十歳というのは、生まれた方が何年かわかりませんけれども、終戦後を含めて、その前から大変ご苦労があったという意見も多々ありました。しかし、これから七十歳を迎える方というのは、昭和十年近くになるんでしょうか、これからなってきますと、だんだん自分である程度生き抜いていくというか、高齢者の置かれる状況も大変変わってきているんじゃないかというふうに思っています。  そういう状況の中で全体を見直すわけでございますが、今ご指摘のお話は、実は先般の民主党からのご提案で、有料パスでいいからボランティアをやってくれというお話なものですから、私どもは、六十五歳ということであれば、ある程度ご活躍できるし、ご自分でもいろいろご判断ができるということで、現在例えば二万五百十円をお支払いいただいて、二万でも実際に使うお金から比べれば安いわけですから、半額ぐらいになっていますから、そういう意味からすれば、そういうところにこれからすそ野を広げて、例えばボランティア、共助ということを強調していますから、そういうことについてご支援いただくというのは、方向としては非常によろしいんじゃないかということで、バス事業者と話をするというご答弁をしまして、先ほどいいましたように、バス事業者が自分である程度弾力的にいろいろなことを考えていくという中では、そういうことも検討の一つだろうというふうに考えております。 ◯小林委員 ぜひ検討していただければと思います。  次に、前の質問者と若干ダブりますが、今回千円ということで、吉田さんも含めて、千円はそんなに高くないということをおっしゃられていましたので、私も全くそのとおりだというふうに思います。  ただ、問題は、大体集約すると、その後の、曽雌さんもいっておりましたけれども、規則ですから、どうしても行政側の裁量権で幾らでも、消費税のように、とりあえず一回決めちゃえば、制度として導入すれば、あとは裁量でできるじゃないかみたいな不安は、私の後援会を含めてあるんです。確かにあります。これをどうやって歯どめをしていくのかというのは相当難しいところだろうと思います。  私は、ずっと千円でいいとは思っていませんよ。それは当然社会は変わっていくし、この制度そのものだって、位置づけは、私がいったように変わっているわけですから、千円でいいのかということよりも、今の制度が今の社会になじむのかどうかということも含めて、未来永劫このままでいいなんていうことはあり得ない。ただ、せっかくここで千円ということで、私からいえば、ただというのは、やっぱり公共サービスを受けていれば、その能力のある人には応分の負担をしてもらうというのは、繰り返しになりますけれども、これはもう公平公正の観点から当然なんです。  しかし、かといって来年すぐ値上げするなんていう話になると、お年寄りは、不安のうちに今度は信頼をなくしてしまいますから、そういう意味で、例えば、たしか公共料金は三年ぐらいで見直しとかなんかするんですね。その見直しで上げようということでいえば、もう一度そのままでということがありますが、少なくとも三年から四年は絶対上げない、室長が体を張ってでも、私は四年ぐらい千円で絶対行きますと、そのぐらいのことは同時に発表しないと、来年上げるとか再来年上げるみたいなことになっちゃうと、まさにその不安が的中することになりますから、どういう形で表明するかはわかりませんが、少なくとも三年から四年、絶対見直しはしないということはいえますでしょうか。 ◯神藤高齢者施策推進室長 値上げのお話でございますけれども、今お話しのように、今回大幅な改正をいたします。したがいまして、この制度が本当に変えてよかったというふうな答えが出ませんと、すぐ値上げとか、そういう話にはならないと僕は思っています。しかし、それが三年とか四年はしないとか、そういうことでなくて、やっぱりこの制度がきちんと定着して、成果を見て、そしてもう一回またどうするかということはご議論いただくにしましても、すぐ来年とか再来年とか、そういう話ではないというふうには私自身は思っております。 ◯小林委員 何か嫌らしい質問なんですけれども、今回、物すごく大幅に見直しましたよね。この制度はどのぐらいで定着するというふうに、その腹づもりを含めて。一定の目標はあるでしょうから。 ◯神藤高齢者施策推進室長 私どもといたしましては、ことしの十月から新しい制度を発足させるわけでございますから、そこのところに全力を傾けまして、少なくともそのときから一年以内には定着できるというふうに考えております。 ◯小林委員 以前に私が質問した中に、可処分所得の話をして、四十代が一番可処分所得が少ないんですね。意外と六十五歳以上の方は、子どもさんを育て上げて、財産もそれなりに、退職金もあるということで、私、四十代なんですけれども、子育て、ローン、会社へ行けば係長か課長あたりの真ん中でいじめられたりして、一番きつい世代なんです。そういう私の周辺も含めていいますと、今回の一部受益者負担を導入したというのは、私の世代からすれば、多くの仲間から見れば、よくやったというふうにいわれています。同時に、お年寄りからは不安の声が上がっています。  ですから、私は、東京都の方で出しました「租税負担と行政サービス」がありまして、私は今いろいろな会合に行って、必ず、このぐらいのお金がかかるんだということをいって、しかし、皆さんにはこれだけの負担だ、それ以外は全部税金で賄っているんだということを理解してもらうようにしているんです。そうしないと、単なるお年寄りを哀れみ、障害者も哀れみなんかの対象じゃなくて、これは行政として当然のこととしてやっているんだと。変な昔のようなそういう思想の中でやっていたら、彼らに対しても失礼だし、彼らも変な日陰の意識じゃなくて、堂々と主張できる。  そういう意味で、先ほど曽雌さんがいわれましたけれども、例えばシルバーパス事業はこのぐらいかかるんだ、それで公的なお金をこのぐらい投入しているんだ、そのパスを使う人はこのぐらいの負担をしているんだということをちゃんと明らかにしていくことが必要だと思います。それがまさに定着する期間だというふうに思うんですね。  だから、漫画を入れるかどうかというのは別にしても、これからは負担とサービス、給付、これを徹底してやっていかないと、福祉も大幅に変わってきていると思うんですね。ですから、そこは我々も徹底してやっていきます、自分が賛成したものについては。だから(「賛成してやってくれ」と呼ぶ者あり)いや、まだ会派でこれから決めますから。  ですから、そういうことを行政サイドも、まさに行政的な文章とか、さっきいわれたように字だらけみたいなことで、ただ形式的にアリバイで出すみたいなものはやめて、本当にこれが読まれるかどうか──家の入り口に張っておいて毎日それを見るとか、従来の役所的な発想はやめて、徹底して理解してもらう。理解を得られなかったら撤退するというぐらいの迫力で私はやっていただきたいというふうに思います。  それから、先ほどの吉田さんの質問をちょっととらせてもらうんですが、なくした人が今までのパスだと一万件ぐらいあるとかという話がありましたが、なくしたら、お年寄りですから、これは再発行、再交付すべきというふうにいった方がいいですよ。だって、なくして再発行できないなんていうのは、相当権威のある──国会なんかの、僕、一回秘書をやっているときに、国会で発行する、車に乗るとき、車にあるでしょう、あれをなくすと再発行できないんですよね。物すごく厳しいんですよ。国会の中に入るときのああいうものは別ですけれども、今回のシルバーパスなんかの場合は、再発行をそんなに難しく考えることはないと思いますよ。どうですか。やるといってみてくださいよ。  これで終わります。 ◯金内保健福祉部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、基本的に現行制度をなるべく変えないというスタンスで、私どもはバス協会と再発行の問題についても協議をしております。 ◯小林委員 最後に、やめようかと思ったんですけれども、最近、新聞を読んでいて気になったのが、高齢者とか、老人とか、シルバーという年齢層がばらばらなんですね。東京都の資料の高齢者というのは六十五歳なんです。ところが、新聞に出てくる高齢というのは七十なんです。三月十八日に出た高齢世帯が都市圏で急増というの、これは六十五歳なんです。ところが、一方で、医療保険福祉審議会の中で出ている高齢者というのは七十歳以上なんですね。多分、福祉局も高齢者施策推進室も明確な規定というのはないんでしょうね。あるかないか、ちょっと聞きます。 ◯有手高齢政策部長 今手元に資料はありませんけれども、老人福祉法が規定されましたときに、老人を何歳にするかという規定はしておりませんものですから、一応国連の関係で六十五歳は高齢者ということがはっきりしてから、六十五歳を使うケースが非常にふえてきております。そういう面で、法律上明確に規定したものはないと思います。 ◯小林委員 いや、東京都が、これから福祉は基礎的自治体の市区町村が担っていくべきだというのは、私は、地方分権の立場から、それはどんどん任せていけばいいと思う。ただ、いわゆる広域自治体、地方政府として、二十三区と多摩地域の格差をなくすように、一定の政策誘導も含めてやっていくときに、その中で東京都がいろいろな施策で、高齢者の中で六十五になったり、シルバーパスは七十ですよね、あるいは七十があったり六十五があったりしているところがありますよね。こういうのは、以前にもいいましたが、所得制限も事業によって性格が違うといえばそれまでなんですけれども、何かどこかでばらばらなところは、広域自治体として、やはり東京都として一定の方針はきちっと出してやっていくことそのものが東京都の役割であるし、市区町村に対して一定の指導ができるというふうに思いますが、いかがでしょうか。 ◯神藤高齢者施策推進室長 年齢だとかいろいろなもので画一的にやるよりは、やっぱり事業の目的に応じて、高齢者の方が使いやすいものは何歳とか、それから、みんなで支援して公助を適用していくものは何歳とか、こういう考え方が必要かと思いますけれども、一律にこれが都なり区市町村の役割であるというのはなかなか難しい状況にあるというふうに考えております。 ◯小林委員 私がいうのは、一つの方針として、個々の事業はそれはそれの性格上あるのかもしれませんが、これから市区町村がいろいろな事業をみずから考えてやっていく際に、一定の指針は東京都に求められてくると思うんですね。その際には、個々の事業だからそれぞれが考えてくれということではなくて、一定程度方向性なりを示すということが必要だというふうに感じますので、これは改めて指摘をして、質問を終わります。 ◯曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。    午後六時二十分休憩      ━━━━━━━━━━    午後六時五十六分開議 ◯曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  発言を願います。 ◯近藤委員 生活全体を支えていくためには、介護保険以外の対策も重要だと思います。介護保険以外の対策として、国の包括補助事業である介護予防・生活支援事業がありますけれども、まずこの事業の目的と都の予算規模、区市町村から見た総事業費について伺います。 ◯金内保健福祉部長 国の包括補助事業でございます介護予防・生活支援事業の目的は、国の説明資料によりますと、案の段階ではございますけれども、地域の実情に応じて、要援護高齢者及びひとり暮らし高齢者に対しまして、配食サービスや外出支援サービスなどの事業を提供することによりまして、高齢者が長年住みなれた地域社会の中で引き続き生活していくことを支援するというふうになってございます。  都の予算額でございますけれども、四十八億円となってございますが、国庫補助事業でございまして、四十八億円の内訳は、国二分の一、都四分の一の額でございます。トータルで総事業費の四分の三の額でございまして、区市町村から見た総事業費は六十四億円の規模でございます。 ◯近藤委員 今、事業の内容の中に配食サービスというご答弁があったかと思うのですけれども、配食サービスというのは福祉局の事業の地域振興事業で、まさにNPOが行っている配食サービスが、三事業の一つとして都が長い間バックアップをしてきたという経緯があるわけですけれども、そうしますと、この一部分については、福祉局の事業と重なるところが出てくるわけですか。  もちろん、本年度十二年度も福祉局の振興事業で配食サービスの補助を受けているNPOがあるかというふうに思うのですけれども、その場合には、これは区市町村が実施主体ですから、最終的に判断は区市町村になるかと思いますけれども、地域福祉振興事業の配食サービスで補助を受けている団体は、この介護予防・生活支援事業の対象にはなり得ないのでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 福祉局事業との関係でございますけれども、先生おっしゃったように、区市町村の選択になろうかと思いますが、恐らくこちらの方が四分の三という補助で有利な面もあろうかと思いますので、こちらの方を選択するケースの方が多かろうかなというふうには想定しております。 ◯近藤委員 ただ、福祉局の事業は、いわゆる人件費を補助しているんですよ。これは多分人件費ではないというふうに思いますので、補助の仕方が、この事業内容が違ってきているんじゃないかなと思いますので、今部長がおっしゃったことがそのまま当てはまるかということがあります。  それと、配食サービスについては、実額で補助をするということもそうですけれども、特に配食サービスの団体の方、NPOの方がおっしゃるのは、場所を提供してくれた方がありがたい、配膳をしたり、お弁当をつくるような場所を提供してくれると、お金をもらうのと同じくらいありがたいんだということもあって、室長はよくご存じだと思いますけれども、福祉局の方でも、NPOの自立に向けた支援体制というのを少し考え直していこうというようなお話もある状況で、国の事業で配食サービスが対象になっているわけです。  区市町村の話を聞きますと、配食サービスについては、この事業があるので、逆に都の振興事業の方から外していこう、こちらで面倒を見ていきたいんだということをおっしゃる区市町村の担当の方が多いというふうに聞いているのですけれども、その場合に、団体の方が一番不安に思っていらっしゃるのは、この国の事業が、ことし一年の単独の事業なのか、それともある程度これから継続的な事業として考えていっていいんだろうかというところがあるわけです。  ですから、東京都の振興事業を切られてしまって、その枠から外されてしまって、配食サービスは全部こちらで対応してくれというようなことを区市町村が考えた場合に、この先どうなるのか、このまま国の事業が続いていくんだったらば、その枠の中で面倒を見てもらえるんだけれどもということがNPOの団体の中にはあるわけですけれども、部長に伺うのは、介護予防・生活支援事業の今後の──まだ始まっていない事業について今後の見通しというのもおかしな話ですけれども、ある程度これから続いていくというふうに判断してよろしいのでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 国の介護予防・生活支援事業でございますが、国の方の説明によりますと、介護保険と車の両輪というふうな説明を私は伺っております。したがいまして、恐らくこれから国は力を入れてこの事業を育てていくというふうに我々は考えております。 ◯近藤委員 配食サービスのことについてもう少し話させていただくと、以前にも委員会でお話しさせていただいたのですけれども、一つのNPOの中で、配食サービス、百食を届けているところがあれば、五十食は障害者に、五十食は高齢者にというようなNPOの団体があるかというふうに思います。  そうしますと、介護予防・生活支援事業というのは、対象が高齢者ということですから、百食のうちの五十食についてだけは別会計にしなければいけないのかとか、五十食についてだけこの事業から補助が出るのかというような細かい話も出てくるかというふうにも思うんですけれども、これは国の事業ですから、都が何ができるかというお話になるかと思いますが、こういった点について、例えばどのように考えていったらいいんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 この介護予防・生活支援事業の配食サービスにつきましては、私ども案の段階でございますが、要綱を見ますと、利用対象者、この中に高齢者並びに身体障害者というような記述がございまして、身体障害者を対象とする場合にも利用できるものと考えております。  また、これ以外の事業につきましても、対象は高齢者に限定されているところがございますので、これ以外の事業につきましては、そういうことがございますので、国に対しまして、身体障害者などへの対象の拡大を働きかけてまいりたいというふうに思っております。 ◯近藤委員 地域に根差した事業ということで、今まで東京都としても事業を通じてNPOを支援してきたわけです。そして、介護保険が入ってきますと、そのNPOが営利団体と同じ土俵に立って競争していかなければならない、それが求められている大変厳しい状況になっているわけです。  NPOにしても、大きさまたは人員など大小があるわけですから、どのNPOも全部が全部、営利団体と同じ土俵で競争できるかといったら、まだ日本のNPOはそこまで来ていないんじゃないかなというふうに思うわけですけれども、効率性の問題を考えたときには、逆に民間の営利団体が単独でこの事業を行うところ、そしてNPOと営利団体がともに仕事をするところ、そしてそれ以外にNPOだけで仕事をするところと、ある程度行政側ですみ分けをして、NPOの果たすべき役割というようなものをきちんと整理しておかないと、今まで苦労してNPOを育ててきた、それがここに来て民間との競争に巻き込まれることによって、脆弱な体制の中でNPOが腰砕けになってしまうんではないかなというふうに思うんです。  福祉局は福祉局で整理されると思いますが、介護保険の四月からの実施を前提として、推進室としては今後NPOに何を期待するのか、どのような存在として意義を見出していらっしゃるのか、その辺のところをちょっとご紹介いただきたいと思います。 ◯金内保健福祉部長 介護保険制度下におきましては、地域密着型のNPOは、これまでにも増して重要な役割を果たしていくというふうに考えております。具体的には、介護保険事業者への参入、あるいは介護保険給付対象外となる買い物だとか配食サービス、移送サービスなど、地域の助け合いの役割を果たす、つまり共助の一翼を担うということ、三点目には、利用者本位のサービスを提供することにより、民間企業も含めた地域全体としてのサービス水準の向上に寄与することなどを我々としては期待しているところでございます。 ◯近藤委員 期待が大きいのは大変結構なんですけれども、期待ばかりしてそのままほうっておいたんでは、NPOというのは経済的にまだ自立というところまでいっていませんし、利用料、例えば配食サービスのお弁当の利用料だけで活動が賄っていけるということは今のところ難しいというような状況もありますので、期待が高ければ高いほど、やはりそれを育てていくという側面も大事だというふうに思いますので、先ほど申し上げましたように、NPOに何を期待しているか、NPOに何をさせたいのかということをもう少し考えていただいて事業展開をしていただきたいというふうに思いました。  次に、都の包括補助事業であります高齢社会福祉ビジョン推進補助事業の創設の背景と考え方について教えてください。 ◯金内保健福祉部長 これまで、特に平成二年の福祉八法の改正がございましたけれども、福祉八法の改正後は、福祉施策は区市町村が中心となってという位置づけで来ましたけれども、必ずしも十分とはいえない面がございました。  また、本年四月から実施されます介護保険制度では、区市町村が保険者として位置づけられまして、高齢者施策の分野においては、区市町村中心の考え方がより明確になったところでございます。しかし、区市町村への財源措置は必ずしも十分とはいえず、区市町村の創意工夫が生かされるという状況とはいいがたいというふうに思っております。  一方、介護保険制度の実施にあわせまして、都の意見も取り入れられ、先ほどご説明をいたしましたけれども、国においても包括補助制度が創設されました。  このような背景から、都といたしましては、区市町村の希望や都議会の意見も取り入れ、すべての高齢者が住みなれた地域で安心して生き生きと暮らせる社会を実現するため、区市町村が地域の実情に合わせて主体的に事業を展開できるよう、本事業を創設したところでございます。 ◯近藤委員 国の包括補助事業と都の包括補助事業、対象となる事業というのは、何かすみ分けがあるんでしょうか。どのように考えていくか。 ◯金内保健福祉部長 国の包括補助事業は、名称が示すように、介護予防、自立生活支援ということで、どちらかといいますと、多少ぶれがあるのですけれども、介護保険対象外の自立と判定された方、そういう方が大体中心になっております。  これに対しまして、都の包括補助事業の方は、今のところ考えておりますのは、元気な高齢者から介護を要する高齢者まで、それからジャンルといたしましては、自立生活支援というようなところだけじゃなくて、社会参加あるいは介護の条件整備といいますか、そういうところまで含めて幅広く考えているところでございます。 ◯近藤委員 補助の仕方なんですけれども、区市町村が事業を実施する場合だけでなくて、それこそ地域の実情に合った、実施主体が例えばNPOなどの場合にも、柔軟に補助対象と考えるべきだと思うのですけれども、それについてはいかがでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 都の包括補助制度でございますが、区市町村に対して、地域福祉の主体的推進に必要な財政的支援という目的で創設したものでございまして、具体的には、区市町村がみずから事業を行う場合はもちろんのこと、地域団体や民間事業者に委託して実施する場合、さらにはNPOなど地域団体の具体的な事業活動、それぞれの事業活動があろうかと思いますけれども、NPOなど地域団体の具体的な事業活動に対しまして区市町村が支援、補助をする場合も対象としたいというふうに考えております。 ◯近藤委員 先ほど、事業の対象については大まかに部長がご説明くださったのですけれども、もう少し具体的に、どのような事業が対象となるのか、またこれは絶対に対象とならないというような事業があれば、それもあわせてご答弁ください。 ◯金内保健福祉部長 この事業は、区市町村の自主性を尊重した、しかも地域の実情に合わせた事業というふうに考えておりますので、なるべく広い事業を対象としようというふうに考えております。ただ、明らかに対象とならないといいますか、対象としないというようなものにつきましては、例えば専ら金銭の支給を行う事業、あるいは他の補助事業の対象となっているもの、つまり、こちらでも補助しますと二重の補助となるような事業については、対象としないつもりでございます。  さらにいいますと、なるべく広くというふうに申し上げましたけれども、その中には、区市町村が共通に取り組むことが望まれる事業もございますし、あるいは地域の実情に応じて選択して実施する事業もございます。具体的にいいますと、高齢者の社会参加の仕組みづくりだとか、介護保険で必要なかかりつけ医、歯科医の定着の促進だとか、コミュニティバスの導入、あるいはNPOによる移送サービス、住宅のバリアフリー化、これらを考えています。  それらに加えまして、区市町村が独自に企画して実施する事業、さらには先駆的に取り組む事業、これらにつきましても、区市町村の意見を聞きながら対象とする方向で検討しているところでございます。 ◯近藤委員 ただ、枠が決まっていますので、一度補助の対象にしてしまうと、枠を全部使い切ってしまうということもあり得ると思うんですけれども、そうなったときに、来年度からどうなるのかなというふうに思うんです。  ですから、何をいいたいのかというと、補助対象のメニューはずっと固定化したままになるのでしょうか。今ご答弁の中で、先駆的に取り組む事業というふうにおっしゃいましたけれども、そういう事業に補助をした場合に、いつまで補助を続けるかということです。先ほどの振興事業につきましても、NPOは先駆的な事業ということで補助をしたわけなんですけれども、それが、その後もずっと補助が続いてしまって、ある程度定着した今になっても補助が切れないという、大変今泥沼化しているわけなんですね。  そういうふうにならないとも限らないので、ある程度補助をする対象の決定に当たって、期間ですとか、そういった整理が必要なのではないかなと思うのですけれども、その辺についてはどのようにお考えですか。 ◯金内保健福祉部長 補助対象事業のメニューということだと思いますけれども、ある程度は継続する必要があろうかと思いますが、一定期間後には評価を行いまして、必要に応じた見直しを行いたいというふうに考えております。  例えば今委員ご指摘の先駆的事業でございますけれども、先駆的事業で補助をして、これがうまく成功したということで評価をし直しまして、いろんな区市町村、すべての区市町村でやってもらいたいということであれば、共通的な事業としてメニュー化しますし、あるいは地域の実情に応じては、これはやらないところもある、やるところもあるということであれば、選択事業の方に位置づけるというようなことも考えております。 ◯近藤委員 評価を行うのは、都が行うのでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 事業主体の区市町村の意見等をもとにして、私ども東京都で行うつもりでおります。 ◯近藤委員 補助額の三十億円の配分の仕方ですけれども、例えば単純に高齢者人口に応じて割り振るというようなことになった場合に、額が少なくて事業が実施できないというような区市町村が出てくるのではないかと思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 確かに都内の自治体というのは、非常に小さい、人口が二百人規模の自治体から何十万という自治体もございますので、高齢者人口に応じた補助額ということになると、ご心配の向きもあろうかと思いますが、高齢者人口に応じた補助額を基本としながらも、小規模な自治体でも一定の事業実施が可能となるように、区市町村ごとの補助目途額といいますか、補助のめどの額を設定いたしまして、先ほど申し上げた先駆的に取り組む事業については別途配慮するというような仕組みを現在のところ考えております。 ◯近藤委員 この三十億円の事業の対象の中に、住宅のバリアフリー化も考えていらっしゃるということを伺ったのですけれども、介護保険の中の住宅改造というものが、限度額が大変低い、簡単な住宅改造しか対象にならないということなんですが、以前質問した住宅改修アドバイザーというのは、この事業の対象なんですか、それとも別の事業の対象なんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 実は住宅のバリアフリー化といいますか、住宅改造の助成費の関係は三つの事業に分かれておりまして、今委員ご指摘のあった介護保険の中の給付ということで一つございます。それから、今申し上げました都の包括補助事業の中にございます。さらに、私ども目玉として予算要求もしたのですけれども、この住宅改修アドバイザーにつきましては、実は国の包括補助に取り込まれてしまいまして、とられちゃいまして、介護予防・生活支援事業でメニュー化されておりますので、そちらの方で対応できるというふうに考えております。 ◯近藤委員 今、国の方に取り込まれたということでしたけれども、これは金額等はもうわかっているのですか、限度額は。 ◯金内保健福祉部長 先ほどいいましたように、都と国を合わせて四分の三の補助ということは決まっておりますけれども、限度額、そういうことについては決まりがございません。したがいまして、規模の点あるいは予算額の点等については、四十八億円、ないしは区市町村の例でいきますと六十四億円ですか、のレベルで考えていただければというふうに思います。 ◯近藤委員 部長がおっしゃったように、そうすると、住宅改造、改修というのは、介護保険と都の包括補助と、そして国の包括補助の三つで対応ができるということでございますけれども、都の包括補助については、この前質問したときにご答弁くださった、介護保険よりさらに金額の大きい、例えばおふろですとかトイレ等の設備改修を対象とするという理解でよろしいでしょうか。
    ◯金内保健福祉部長 さきの委員会で答弁しました、今委員ご指摘のとおりでございまして、そこから住宅改修アドバイザーだけが国の包括補助に行っちゃったというふうにご理解いただければと存じます。 ◯近藤委員 以前に、高齢者の方で、歩行が困難になったので住宅改修ということで、エレベーターがつけられるような家じゃなかったので、リフトをつけたいという話があったわけですけれども、リフトというのは、高齢者は対象にならないで、障害者の手帳を持っていないと、こういった事業の対象にならないということなんです。ですから、障害者向けの住宅改修、改造の対応があって、また高齢者の対応があるわけです。その辺のところで、例えば高齢者の方、お年をとって歩行が困難になって、階段の上り下りができないということでリフトをつけたいということが自然の流れだと思うんですけれども、それは対応できないというようなお話もあるので、障害者の住宅改修と高齢者の住宅改修をもう少し東京都の中できちんと整理して、例えばもし国のメニューには入れられないとするならば、おふろですとかトイレの並びに、東京都としてリフトを都の包括補助の中の一つのメニューとして考えられないんだろうかというふうにも思うんですけれども、その辺の整理については今後いかがでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 まだメニューの中身につきまして完全に固めたわけではございませんので、中で検討していきたいと思いますけれども、先ほどいいましたように、リフト等につきましては、たしか単独でも区市でやっているところがあろうかと思いますが、もし住宅のバリアフリー化の選択メニューに入らなくても、独自選択と独自企画事業ということで、それも区市町村が申請していただければ対象にはなってくるというふうに思います。 ◯近藤委員 今のリフトのことをいえば、車いすを都や区から貸与されているというような事実がないと対象にならないとか、大変に何か細かい取り決めがあるのです。ですから、その辺のところを、障害者の部分と高齢者の部分がもう重なってきている部分もあると思いますので、きちんと整理をしていただいて、メニュー化のときにはその辺のところも配慮していただきたいというふうに思います。  最後に、区市町村ではこの事業の補助対象となる事業を予算化しているんでしょうか。また、予算化していない場合には、初年度から区市町村が対応できないというようなおそれもあるんではないかなと思うのですが、その辺についてのご見解を伺って、質問を終わります。 ◯金内保健福祉部長 私どもといたしましては、都の包括につきまして、既に予算の査定があった段階で区市町村の方にいろいろ説明をしております。もちろん細かい点はまだ決まっておりませんし、都議会のご承認をいただいてということになりますけれども、そのときには非常に期待が大きうございます。  また、中の包括のメニューと考えている事業につきましては、私ども予算要求をしていた事業が多うございまして、それについても区市町村によっては問い合わせがあったものでございます。したがいまして、区市町村の判断で、必要な事業についてはもう予算化されて予算に計上されているものもあろうかと思います。また、当然当初予算化していなくても、区市町村が必要というふうに判断すれば、補正予算を組んでいただけるものというふうに考えております。 ◯田中委員 私は、初めに、老人医療センターで取り組まれておりますチーム医療について伺います。  実は昨年六月二十九日付の朝日新聞の一面に、ここにあるのですけれども、「チーム医療 お年寄りを支える」という四段の大見出しで、こういう記事が出ております。医師、看護婦、栄養士、ソーシャルワーカーらが連携して、慢性心不全のお年寄りの治療、リハビリテーション指導などに当たるチーム医療の試みが、東京都板橋区の老人医療センターで続いているとして、また三面にはより詳細な説明がありまして、他の病院の例も含めて、非常に意義のある取り組みとして紹介をされております。  私たち、これに注目をいたしまして、老人医療センターの視察をさせていただきました。このチーム医療の試みは、CGAと呼ばれる手法によるもので、日本では東京都老人医療センターがいち早く導入したというお話でした。  まず、このCGAとはどういうものか、その概要についてご説明をお願いします。 ◯我妻施設事業部長 CGAは、直訳いたしますと、老年医学的総合評価法という表現になりますけれども、内容は、患者の医療面ばかりではなく、身体機能面、精神面、社会生活面などの諸側面から、一定の基準、様式により患者の機能を総合的に評価するものでございます。この評価結果に基づきまして、最適な治療とケアの方針を総合的に策定するわけでございます。  欧米におきましては、老人医療の中核となっているわけでございますけれども、当老人医療センターでは平成六年から導入してございます。 ◯田中委員 欧米では老人医療の中核となっているというようなご答弁でした。しかし、日本では、残念ながらまだまだ先駆的、実験的な取り組みという段階だと思うのですね。  そこで伺いますけれども、平成六年に老人医療センターに導入したということで、足かけ六年余り経過しているわけですけれども、どのような効果があったでしょうか。 ◯我妻施設事業部長 まず、患者にとりましては、心身の回復がよりスムーズとなりますので、平均在院日数は、CGAを導入する以前には四十九日程度もございましたけれども、導入後の今日では二十五日になるなど、大幅に短縮してございます。また、再入院も大変激減しておりまして、患者のQOL、いわゆる生活の質は、入院時におきましても退院後におきましても向上したわけでございます。  一方、院内におきましては、先ほどご指摘のとおりのチーム医療がますます盛んになってきたということがいえるわけでございます。  また、こういうような症例がたくさん積み上がりますと、標準化ということが可能になりますので、クリティカルパスというチーム医療のワンステップ上の方法に拡大することができております。 ◯田中委員 CGAの導入というのは、大変な時間と労力を費やすものだと聞いております。しかし、今ご答弁がありましたように、それに見合うだけの大きな成果があるものだということでございます。今までの医療にありがちでした、臓器別に疾患を治療したらそれで終わりというのでなくて、医師とか看護婦、リハビリ、薬剤、検査、放射線、ソーシャルワーカーなどの専門家が一緒になって、総合的に患者さんの治療と病気の再発の予防、先ほどお話がありましたQOLの向上を進めようというこの取り組みは、非常に重要なものだと思います。  しかし、診療報酬という点では、このようなすぐれたチーム医療を行ってもほとんど評価されず、採算がとれないというのが実態だと聞いております。こうした民間ではやりたくてもなかなかできない、手間暇のかかる不採算医療というべき分野でありますが、それだけに行政的な医療として積極的に取り組んでいく必要があると考えますけれども、ご所見を伺います。 ◯我妻施設事業部長 CGA等のチーム医療の手法は、確かに開発段階では試行錯誤が伴いますので、手間暇かかりまして、決して採算性の高いものではございません。しかし、こういったものを積み重ねていきますと、病院の経営面にとりましても、大変メリットのあるところでございます。  先ほど申し上げましたように、平均在院日数が四十九日から二十五日に短縮いたしますと、全く同じ診療行為を行っても、診療報酬単価は飛躍的に向上するわけでございます。また、在院日数が短縮いたしますと、待機患者が早く入院することができますので、患者サービスも向上するわけでございます。  このように、常により多くの患者が利用でき、しかも診療報酬の単価が高くなりますために、患者サービスの向上と病院の収支バランスもともに向上するわけでございます。したがいまして、推進室では、こういったものの積極的な普及拡大を図っているところでございます。 ◯田中委員 標準化できるまで高められるならば、病院経営にとってもこの効果は大だということで、具体的に何点かお示しいただいたというふうに思います。  いずれにしましても、医療の面ばかりではなくて、介護の面まで含んだ診療方針を策定し、実施するということは、いわば医療と介護とトータルに見たもので、高齢者の医療、介護の向上に当たって、これからますます重要になってくるものだと思います。  東京都の老人医療センターで培ってきたCGAを初めとするチーム医療の成果を、今後どのように発展、拡充するお考えでしょうか、伺います。 ◯我妻施設事業部長 これから介護保険の実施によりまして、老人医療センターと在宅介護サービス、施設介護のサービスの連携がますます重要になってくるわけでございます。したがいまして、当医療センターの退院者の方は、在宅に行かれる方におきましても、施設に行かれる方におきましても、ともにケアプランを作成するに当たって、私どものCGAを初めとするチーム医療の成果をうまく結びつけ、よりよい生活に資するように、活用できるように努めてまいりたいと考えております。 ◯田中委員 今お話がありましたように、高齢者の医療、介護の向上に向けて都の老人医療センターが取り組んできましたこうしたチーム医療の成果を、民間の医療機関や、また都立病院などに大いに普及拡大していただきますよう改めて要望して、次に移りたいと思います。  次に、介護保険について伺います。  介護保険の実施にあと十日余りという現時点になっております。今なお国民、都民に大きな不安が渦巻いている状況だと思います。このままでは、保険料、利用料負担が重過ぎる、介護認定でこれまでのサービスより下がってしまう、基盤整備もケアプランの作成も間に合わないなど、混乱は必至の状況であります。  政府は、さすがに保険料の半年間の徴収の凍結、保険料、利用料の減免措置を決めたわけですけれども、これは当座の混乱を先送りするだけで、制度の根本的な問題の解決は放置されたままといえると思います。  都は、介護保険が始まっても、福祉サービスの現行水準は守るというような基本的な立場を過日の委員会で表明はいたしましたけれども、このままでは、これまでの福祉サービスが後退しかねないという問題があります。  まず、当面の焦点の問題でありますケアプランの作成の問題について伺います。  本日付の産経新聞に、こういう一面トップで、「遅れ目立つ介護プラン」という記事が出ております。この記事によりますと、介護サービスを受けるために必要なケアプランの作成を申し込んだ人は五九%というふうになっております。政令市と東京二十三区のケアプラン申し込み状況をグラフにしたものがありますけれども、一番多いので四〇%以上六〇%未満というところが一九区、八〇%以上はわずか四区ということになっておりまして、大変おくれているという状況が明らかになっております。  各区市町村についても、現在の準備状況から、ケアプランが四月一日に間に合うかどうかについてという質問については、約四〇%の自治体が、間に合わない、わからないと答えておりまして、制度開始時に適切な介護を受けられないケースも予想されるということをこの記事で強調しているわけですね。  そこで伺いたいのですけれども、これまで何人が介護保険の申請をして、そのうち何人が認定済みで、ケアプランの作成が済んでいる人は、東京都においてどのくらいでしょうか。 ◯岡本介護保険対策室長 東京都全体の要介護認定の実施状況でございますが、二月の末現在でございます。十七万九千六百七十六人の方が申請を行っておりまして、このうち十二万四千三十三人の方が認定結果通知を受けております。また、早期に居宅サービス計画、いわゆるケアプランを作成する必要のある在宅の要介護認定者でございますが、八万六千八百人でございます。現物給付化の要件につきましては、介護保険法施行規則におきまして、居宅介護支援を受けることがあらかじめ区市町村に届け出ている場合というふうにされておりまして、そういった意味で既に区市町村に居宅介護サービス計画作成依頼届出書を提出した者でございますが、二月末現在で六万二千人、先ほどの八万六千八百人に対しまして、七一・六%という状況でございます。 ◯田中委員 今のお答えだと、在宅の要介護認定者八万六千八百人のうち、居宅サービス計画、いわゆるケアプランの作成を依頼した人が六万二千人ということでまだ七一%、二万五千人近くが、ケアプランの作成すら依頼していないということも一つ問題だと思うんですけれども、では、肝心のケアプランの作成がどうなっているのかということについては、都はつかんでいるんでしょうか。 ◯岡本介護保険対策室長 居宅介護サービス計画作成の前提になります介護報酬の告示というのが二月十日というようなこともございまして、保険者である区市町村や居宅介護支援事業者にとっては、短期間のうちに、要介護認定に加えて居宅サービス計画作成の関連の業務が集中しているため、大変厳しい日程での取り組みになっているということはご指摘のとおりかと思います。  現在、区市町村におきましては、例えば現行サービス受給者台帳との突合でありますとか、あるいは認定通知を受けた者への電話や訪問による確認であるとか、さらには居宅介護支援事業者の紹介といったような取り組みを通じて、適正な居宅サービス計画が作成されるよう懸命に取り組んでいるところでございます。  都といたしましても、区市町村や指定事業者に対しまして、介護報酬の内容でありますとか、あるいは給付管理業務について精力的に周知を図るなど、円滑に居宅サービス計画が作成できるように支援に努めているところでございます。  また、このたび、三月十七日でございますが、国におきましては、都道府県あてに「制度移行期における介護サービス計画の作成について」という通知を行っておりますが、その中で、ケアプラン作成が日程的に非常に厳しいという状況も踏まえまして、居宅サービス計画の作成については、加算等を省略した記載方法によるサービス利用票の作成であるとか、あるいは手計算等によるサービス利用票の別表等の作成といった簡便な方法により作成して差し支えないというふうにしたところでございます。  都は、この趣旨を踏まえまして、四月からの介護サービスの提供が円滑に実施できるように取り組むことを改めて区市町村に周知したところでございます。 ◯田中委員 北区では六千人が申請をしまして、四千人が認定を受けたわけですけれども、実際のケアプランが作成できたのは千二百人というふうに聞いております。私の地元であります調布市では、三月十日現在では三千五十一人が申請をし、千九百五十人が認定を受けたわけですけれども、ケアプランの申請件数が九百件、そのうち四百五十件しか今終わっていないという状況で、いわゆる認定を受けた数からしても、半分どころか四分の一程度という状況なわけですね。  私、その後、現状のおくれの原因をどう認識しているかと伺おうと思ったんですけれども、先ほどのお話で、その内容についてもお話をくださったんで、ちょっと省略をしますけれども、周知を図っていくとか、簡便な手続、国の三月十七日の数値によって簡便な手続をとるように周知をするというようなことだと思うんですが、それはそれで今やっていただきたいというふうに思うんですが、やはり最大の問題は、ケアマネジャーの実質的な不足だと思うんです。仕事は大変なのに報酬が低過ぎるという状況の中で、資格は取っても、実際にプランを作成するのは少数だと最初からいわれていたわけなんですね。  我が党の都内全自治体の調査によっても、都の対策の必要を指摘しておりました。そのとおりの現実になったわけですけれども、それにもかかわらず、都は、有効な対策、それぞれ対策を打つというふうにいっていますけれども、ケアプランがつくられている数すらつかめていないという状況だと思うんです。  都は、ケアマネジャーを養成する責任があるわけです。また、介護サービス事業者の許可責任も東京都が持っております。これらの権限と責任をきちんと果たす必要があると思います。  また、横浜市では、身近にプランを頼める当てがない市民から直接相談を受ける窓口を設置して、大変喜ばれております。  以上踏まえまして、三点ほど提案をしたいと思います。  一つは、ケアマネジャーの研修を、具体的な事例に基づいて、プラン作成に欠かせない在宅介護の専門知識をアドバイスできる、より実践的で有効的な方法を工夫するということです。  ケアプランをつくるためには、本当に大変な状況の把握が必要なんですよね。実際にケアプランをつくる方からお話を伺いましたけれども、介護を受ける本人がどういう状態で、どんなサービスが最も必要かという観察力が必要であって、さらに在宅の状況だとか、家族についても配慮が求められているわけです。  したがって、今必死でプランをつくっているケアマネジャーが本当に必要だと思っているのは、在宅福祉などの専門家による具体的な事例に基づくアドバイスなんです。人材は東京都に豊富にあると思いますので、ぜひ実践的で有効的な方法を工夫していただきたいというふうに思っております。  二点目は、都が許可し登録された介護事業者に関する情報を、積極的にケアマネジャーへ提供、公開するということです。  三点目は、都や区市町村が都民向けにケアプランづくりの相談窓口を開くなどの具体的な対策を緊急に行うように提案するものですけれども、この三点についていかがでしょうか。 ◯岡本介護保険対策室長 介護サービス計画の適正な作成のためには、介護支援専門員が地域の関連情報を十分把握した上で、常に利用者本位の視点で計画策定に従事するということが求められているというのは、先生ご指摘のとおりだと思います。  このため、東京都といたしましては、これまで実施してきました介護支援専門員実務研修に加えまして、平成十二年度には、より実践能力を高めるために、現任研修に取り組んでいく所存でございます。さらに、東京都介護サービス情報提供システムによる的確な情報提供を行うなど、区市町村とも連携をしまして、さまざまな問い合わせにも迅速に答えられるように取り組んでまいります。 ◯田中委員 今の現状ですと、先ほどの新聞報道でも見られましたとおりに、ケアプランが間に合わないという状況が実際に起こってくる状況だと思うんです。その場合、大事なことは、今サービスを受けている人が、引き続き四月一日以降もサービスを受けられるようにするということではないかと思うんです。そういう点で、どう区市町村を援助していこうということでしょうか、伺います。 ◯岡本介護保険対策室長 先ほども答弁いたしましたけれども、認定調査を受けて現在サービスを受けている受給者の台帳についてきちんと突合し、電話とか訪問によって確認をして、さらには居宅介護支援事業者等も紹介をして処理をするようにということで周知を図っているところでございます。 ◯田中委員 実際に北区では、ケアプランができていないにもかかわらず、介護用ベッドの引き揚げというような通知が来て、区に苦情が殺到するという事態が既に起こっています。こういう事態があってはならないと思いますので、都としても十分な指導、援助を要望しておきたいというふうに思います。  いずれにしても、限られた期間に問題が集中するわけですので、対策も機敏に打つように求めて、次に移ります。  次に、特別養護老人ホームとデイサービスセンターで起きております問題について質問をしたいと思います。  まず第一に、民間特養併設の在宅サービスセンターのサービスが、介護保険では大きく後退せざるを得ないという問題です。  デイサービスは、高齢者にも家族にも大変喜ばれているサービスであります。私も何度かこの委員会で、現在の介護保険制度のままでは、デイサービスの運営が極めて困難になってしまうということを指摘してまいりました。  これまで都は、在宅サービスセンターを単なる特養の附属施設じゃなくて、在宅サービスの拠点と位置づけて、国基準のほかに都の支援がありました。それが介護保険でどう変わっていくのか、また、都が行ってきた国基準を超える上乗せの支援策はどういうふうに変わるんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 在宅サービスセンターにつきましては、デイサービス等を提供する重要な拠点でございます。介護保険制度では、在宅サービスセンターの運営は、原則として介護報酬により賄われることになります。  十一年度におきます在宅サービスセンター事業の補助は、国基準を基本に、経営努力に応じた加算を行う方式といたしました。この方式は、介護保険制度への円滑な移行を図るためのものでございまして、今年限りの措置というふうに考えております。 ◯田中委員 では、具体的にお聞きしたいわけなんですけれども、これまでの都の併設型の在宅サービスセンターと同じ十五人定員だったわけですけれども、十五人定員のままで介護保険に移行した場合に、職員配置はどうなるのか。また利用者全員が要支援の場合、また全員が要介護度三以上の場合とで、介護報酬はそれぞれ幾らになるのか、お示しください。 ◯岡本介護保険対策室長 お尋ねの利用定員十五人の併設型の在宅サービスセンターという場合でございますが、現行での職員配置は、生活指導員一名、寮母二名、運転手一名、看護婦等が一名というふうになっております。  一方、介護保険制度におきましては、同じ規模でございますと、生活相談員、介護職員、看護職員及び機能訓練指導員を一以上、ただし機能訓練指導員あるいは運転手につきましては兼務などができる、このようにされております。  また、介護報酬についてでございますが、例えば特別区の在宅サービスセンターの例をとりますと、四時間以上六時間未満の十五人の通所介護を行った場合には、一日当たりの報酬額というのは、利用者全員が要介護度三から五でございますと十万六千百二十五円、全員が要支援でございますと六万四千三百二十円というふうになります。 ◯田中委員 要介護三以上だと十万六千百二十五円で、要支援であれば六万四千三百二十円ということですので、四万円程度の差が出るわけですよね。  それと同時に、今まで、十一年度は事業費補助方式ということで、ちょっと別の補助方式だったということで、それは考えないで、十年度までの従来の標準型の補助方式では、国と東京とを含めて年間幾らの基準額だったのか。それと同時に、またそれと比べて、今のそれぞれ要介護度三以上また要支援が全員という場合で、それぞれ介護報酬だと、トータルで幾らになるでしょうか。ちょっと比べてお示しいただきたいのですが。 ◯岡本介護保険対策室長 従来方式といいますか、それも標準型でいいますと、年間で申しまして五千二百二十三万三千円でございます。それに対しまして、ただいまの例でございます、利用者全員が要介護三から五の場合ですと、年間で四千百六十万円、それから利用者全員が要支援の場合には二千八十二万円というふうになっております。 ◯田中委員 先ほどの最初の答えでもありましたが、定員が同じだと、職員配置も七人から四人になって、介護報酬も、今お示しいただきましたけれども、それまでの五千二百二十三万三千円から、介護度によって差があるわけですけれども、三以上だと四千百六十万円、要支援だと二千八十二万円ということで、それ自体としても二、三千万近くの差が出てくるわけですね。あと、要介護三以上であっても、今までの標準型の補助方式と比べても、一千万近くの差が出てきてしまったということが今示されました。多くの民間の施設では、これまで七人から八人という職員を減らさずに、収入も確保するために、利用定員を三十人とか四十人とか思い切ってふやして、デイサービスを賄おうとしているわけです。  しかも、先ほどお話があったとおりに、介護度の重い人をとらないと、ただでさえ差が大きいのに、ますます大きくなるわけですから、介護度が重い人をとらないと採算が合わないという意味からいえば、例えば車いすの利用者の方がいっぱいふえて、すし詰め状態になるという施設もないわけではないというふうに思うし、なりかねないんじゃないかというふうに思うんです。これで同じサービス水準を維持しろというのは、大変無理がある話ではないかなというふうに思うんです。  施設の収入も、従来の五千二百万より大幅に下がるわけですから、今後は、その日ごとに通ってくる高齢者の人数分しか介護報酬が入らないという点もあわせてあるわけですから、例えば風邪がはやって通ってくる人数が減ったり、通えなくなる人が減ってくれば、それだけ収入も減るというような状況になってくるわけですね。おまけに都の加算分がなくなれば、施設の経営維持が本当に厳しくなるのは、今示していただいた数字を見ても明らかなんじゃないかなと思うんです。  民間の在宅サービスセンターが利用者へのサービスを低下させないで事業を継続していくために、都はこれからどんな支援を行っていくんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 先ほども申し上げましたが、介護保険制度下の在宅サービスセンターの運営は、介護報酬により賄われることになります。そのため、都は、平成十一年度に、先ほど述べました経営努力を促す補助方式と並行いたしまして、ニーズの掘り起こし、重度者に対応したケア、経営診断などを内容といたしますデイサービス・リニューアル事業を実施したところでございます。このように、介護保険に円滑に移行するための対応を十分にしてきたことから、それ以上の特別な援助は現在のところ考えてございません。 ◯田中委員 デイサービス・リニューアル事業は、ちょっと内容紹介がありましたけれども、どういったものなのか、改めてお願いします。 ◯金内保健福祉部長 デイサービス・リニューアル事業でございますけれども、介護保険制度下におきまして適切な運営をしていただくというために、ニーズの掘り起こし、重度者に対応したケア、経営診断などを内容といたしまして実施をいたします。品川、江戸川、それから武蔵野市の三区市におきまして、事業費補助方式による事業委託のほか、介護保険制度を見据えたデイサービス事業のあり方の検討などに取り組んできたところでございます。  この事業の成果を区市町村や社会福祉法人に周知していく必要があるため、昨年の八月と十二月にそれぞれ報告会を開催いたしました。引き続き、介護保険制度下での適切な運営が図れるよう、区市町村や法人に対して適切な支援をしてまいりたいと思います。 ◯田中委員 では、その検討してきた内容が、具体的に経営にどういうふうに役立ってきたんですか。 ◯金内保健福祉部長 デイサービス、リニューアル事業の結果でございますけれども、サービスの提供者といいますか、利用者をふやすとか、あるいは時間延長を行うとか、個別にサービスの質を上げましてきちんと対応するとか、そういうようなことが挙げられております。 ◯田中委員 先ほども紹介しましたけれども、各施設では、それを受けてだと思いますけれども、三十人にするとか、定員枠をふやすとか、そういうことをそれぞれに努力しているわけです。しかし、今介護度の重い人をとらなければ、やっぱりやっていけないんだ、また、風邪でその日その日で通ってくる人数にばらつきがある、すぐ介護報酬に響いてしまう、そういう声があるわけですね。そういうところでの財政支援、どんな支援かと伺ったら、リニューアル事業だというお答えで、いわゆる具体的な支援策というのは何もないということではないんでしょうか。  北区の特養が併設のデイサービスセンターでは、定員を三十人にふやし、それでも報酬が足りない分を、北区の中では一施設に二千万円の補助を行うという十二年度予算での方針であります。現行のサービス水準を維持しようとすれば、一施設に数千万円の財源が必要になるということは明らかであります。幾つかの区で補助に踏み出しております。  そこで伺うわけですけれども、現行のサービス水準を維持するためには、都の役割が重要であると考えます。都のデイサービス施設経営支援の助成を検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 先ほどもお答えをいたしましたが、経営努力を促す補助方式と並行して、デイサービス・リニューアル事業を平成十一年度に実施をいたしました。これらは、介護保険に円滑に移行するための対応ということでやってきたものでございます。それ以上の特別な援助は考えてございません。 ◯田中委員 特別の補助は考えていないという冷たい答弁なんですけれども、民間法人では、特養施設の都加算廃止によるマイナス分と同じ法人で経営しているデイサービスのマイナス分とで、人件費を一割近く下げなければやっていけないということで、軒並み賃下げが提案されております。  ある法人では、三十年勤続すれば四十万円を超える今の賃金体系から、三十年勤続でも三十五万、それ以上は頭打ちというような賃金体系に切りかえないと経営がやっていけないという提案が、施設側から職員に提示をされております。これでは、希望を持って福祉の職場で働き続ける意欲も薄れてしまうのではないでしょうか。  福祉職場の労働組合員三百七十三人のアンケート調査がありますけれども、このアンケート調査でも、介護保険の実施で労働条件や入所している高齢者へのサービスが下がるという不安を抱えている人が八六・一%に及び、不安がないという人が一%にすぎないという調査結果が出ております。施設に入所している高齢者や福祉の職員に犠牲を強いるのは、断じて許されないことではないでしょうか。都は、現行サービスを後退させないという都民への約束を強く守るように求めておきたいと思います。  次に、特養の都加算についてですけれども、東京都は、これまで民間特養ホームに対して行ってきました公私格差是正事業と都の加算事業について、各施設の運営費の平均三割を占める総額二百三十五億円を今回廃止をすると提案しております。関係者から、これではやっていけないとの声が上がりました。都は、昨年末になって百億円の経営支援事業を行うとしたわけですけれども、具体的にはこれ、どういう内容なんでしょうか。 ◯若林参事 特別養護老人ホームにつきましては、介護保険制度に移行することによりまして、これまで措置制度を前提とした都の加算、公私格差是正事業につきましては廃止をすることとしたものでございます。  本委員会からご提言をいただきまして、特別養護老人ホームの経営に関する検討協議会を昨年九月に設置しまして、これまで十二回の協議と二回の実態調査を行ったところでございます。これを踏まえまして、このたび特別養護老人ホーム等の経営支援事業を予算要求したところでございます。内容につきましては、利用者のサービスの維持向上のための支援と、介護保険制度に円滑に移行するための支援を内容としているところでございます。 ◯田中委員 この内容についてなんですが、今、項目だけの紹介だったわけなんですけれども、基本的には三年後に廃止をするか見直しをするというふうにいわれているものであります。初めから廃止を前提にするのでなくて、継続してこそ意味がある事業、例えば、経営者、職員の資質の向上、これは利用者サービスの維持向上のための経営基盤の整備ということに入っていますが、あとは障害を持つあんまマッサージ師の雇用の経費の助成とか、施設振興費だとか小規模、島しょ地域の運営費だとか、サービスの維持向上のための基盤整備とか、いろいろと中身によって差があるというふうに思うんですけれども、三年後以降も続けてほしいという声が多いわけですけれども、都はこの声にどういうふうにこたえるんでしょうか。 ◯若林参事 先ほど答弁申し上げましたけれども、経営に関する検討協議会の中で、特別養護老人ホームみずからの経営努力と、都の経営支援について検討を続けてきたところでございます。この中で、都の支援策のうち、サービスの維持向上への支援につきましては、介護保険制度のもとでの特養ホームの運営実績を把握した上で、踏まえて三年後に見直すこととしたものでございます。  もう一つ、先生お尋ねの三年後に廃止をするという件でございますが、介護保険制度に移行するための支援という事業の目的から見て、原則として三年後に廃止をするということとしたものでございます。このことにつきましては、検討協議会の中で十分に議論をしまして、代表者のご理解もいただきながら、ことしの一月十四日の中間のまとめに集約して、現在最後のまとめをしようとしているところでございます。 ◯田中委員 都加算事業の廃止で、利用者サービスへの影響とともに、都の加算分でありましたあんまマッサージ師の雇用が続けられるかどうかというのは、視力障害者の方々を初めとして大変危惧されていたところであります。この中に、先ほども話しましたけれども、あんまマッサージ師を引き続き雇用する経費の一部を助成ということが入っているわけですけれども、今回付託されました請願陳情の中にも、特養マッサージ師の身分と仕事の確保に関する陳情ということで陳情が出されているわけです。  このあんまマッサージ師の雇用について、確実に継続が保障されるよう手だてをとるべきだというふうに思うんですけれども、これはいかがでしょうか。 ◯若林参事 厚生省は二月十日に介護報酬を告示いたしましたが、その中で、都の要望を受けまして、機能訓練指導員の中にあんまマッサージ指圧師を含めることとし、介護報酬の加算も示されたところでございます。これを踏まえまして、視覚障害を持つあんまマッサージ指圧師の雇用継続に関し、先ほど申し上げました検討協議会の中で協議を続けて、近く最終のまとめを行う予定となっております。  特養ホームにおいては、介護報酬と都の経営支援事業によって、障害を持つあんまマッサージの方々の雇用継続について対応できるというふうに考えているところでございます。
    ◯田中委員 ぜひ継続して雇用ができるように、引き続き要望しておきたいと思います。  都が民間特養に対しまして、少なくともこれまでのサービス水準や職員配置などをきちんと保障するという立場に立った上で、介護保険制度のスタートの影響を見きわめながら検討するということであれば、こういう問題は起きなかったはずだと思うんです。改めて都加算制度が果たしてきた役割を堅持していただくように求めるものであります。  次に、保険によるサービスの対象となっても、現行サービスからレベルダウンしてしまうという人への対処の問題について伺います。  足立区では、区が調査をした結果、約二割の人が、今受けているサービスから介護報酬に──介護に認定されたとしてもサービスダウンが起きるということが判明をいたしました。それによりますと、介護度でいえば、比率が一番高いのが要支援で三五・一%、要介護度の高い人も二七・五%と高くなっております。金額的には、要支援の方の支給限度額を超える金額は五万円弱というのに対して、要介護度五では二十三万円以上と高くなっているわけですね。今受けているサービスと介護保険サービスを比べた場合に、高い方だと二十三万円も高くなっているということです。  問題は、限度額を超える理由が何かということですけれども、それは状況によって違うということなんです。例えば要支援の人の場合は、介護保険でいうヘルパーの派遣回数が多い。デイケア、デイサービスなど受ける回数も多い。要介護度が高い人たちは、ヘルパーの巡回型だけではなくて、家事援助を含めた滞在型を利用することによって限度額を超えているという分析の内容なんですね。  この調査に参加をしました増子医師によりますと、この状況を分析してみると、限度額を超える人たちと超えない人たちの間には家族構成で極めて大きな違いがあるということをいっているんです。一番大きな違いは、限度額を超える人では、独居だとか、日中独居だとか老夫婦のみなどの老老介護の比率が高くなっていて、超えない人たちよりも倍近く高くなっているのですね。この問題を解決する上では、家族構成などを考慮した今までの福祉サービスを何らかの形で存続させるということが考えられるのではないかというふうに分析しているわけなんです。  こういう状況を受けまして、初めは予算がないと渋っていた足立区も、国の介護予防・生活支援事業の中の軽度生活援助事業を活用する考えを表明いたしました。これが実現すれば、同様の事態に対して自治体として対処することができるものと思います。  十一月二十九日の厚生省の介護保険担当課長会議の資料でも、利用対象者のイメージの中で、自立者、要支援者、要介護者、すべてがこの介護予防・生活支援事業の中の軽度生活援助事業を受けられるというふうになっていますけれども、これは可能でしょうか、また、都は、これについてどういうふうに評価をしているのでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 軽度生活援助事業は、国の包括補助事業でございます介護予防・生活支援事業のメニューの一つでございます。その内容は、外出時の支援と家周りの手入れなど、軽易な日常生活上の援助でございます。  足立区の事業内容につきまして、まだ私ども詳細を知りませんので、今後補助申請を待ちまして、本事業の対象となるかどうか判断をしてまいりたいと思います。 ◯田中委員 次に、低所得者対策について伺います。  保険料、利用料負担が問題になる中で、自治体の中には、国に責任ある対策を要請しつつも、当面放置できない最小限の対策として、保険料、利用料の減免制度に踏み切るところも出てまいりました。いただいた資料の中の一一ページに、減免措置を検討している区市町村が載っているわけですけれども、保険料では狛江市、利用料では四区六市が減免を考えているということであります。例えば狛江市では、所得階層第一段階で生活保護を受けていない人につき、保険料と利用料を免除し、さらに、国が行う現行のホームヘルプサービスの継続に対する利用料の減額を新規の受給者にも適用するというものであります。  これらの各区市町村の検討についてどう評価しているでしょうか。 ◯岡本介護保険対策室長 介護保険の保険料や利用料の減免についてでございますが、国の特別対策と別に、区市町村の責任と負担によって独自の施策があり得るとは思いますけれども、その場合にも、介護保険制度の趣旨を踏まえまして、その是非や方法について十分検討していただく必要がある、このように思っております。 ◯田中委員 介護保険の総事業費についても資料をいただいております。八ページに資料が載っているわけですけれども、第一号保険料が、これでいきますと五百七十八億ですね。利用者負担が四百四十六億という状況です。これを合計しますと千二十四億なわけですね。これが六十五歳以上の高齢者が支払わなければいけない金額だと思うんです。これは大変大きな負担になる額だと思うんです。  先ほど、要介護三で大体月一万円ぐらいの利用料の負担ということが、吉田理事の質問から話がありましたけれども、この利用者負担の四百四十六億を単純に要介護高齢者数二十二万八千人で割りますと、十九万五千円というお金になります。月に一万六千円以上になるわけです。加えて、これに対して保険料があるわけですから、月二万円程度になってしまうわけです。私は、本当に重い負担だというふうに思います。  政府は、半年間の徴収猶予、その後一年間は半額という措置を講ずるとされましたけれども、十三年度以降からは正規の保険料の徴収が始まるわけです。利用料についても、現行のホームヘルプサービスを受けている人の利用料については減額するとしたわけですけれども、新規の申請者は当てはまらないということでいえば、保険料にしても、利用料にしても、極めて一時的なものといわざるを得ないというふうに思います。  各区市のこうした取り組みについて、都でも積極的に支援すべきと考えるわけです。例えばさきの狛江市の例でいいますと、市の負担は、保険料でいえば、来年度、第一段階でごく限られた人数ですので、二十七万円だけなんです。平年度でも百万円程度で済みます、保険料の市の負担が。利用料でも、来年度では六百五十万円余り、平年度でも七百万円とちょっとなんです。人数が六十人、いわゆる第一段階で老齢福祉年金受給者が狛江の場合は六十人しかいらっしゃらないという状況もあって、こういうわずかの金額でできるわけなんですね。  そこで伺うわけなんですが、都内の第一号被保険者のうち、所得が第一段階で、かつ生活保護を受けていない人の保険料と利用料を狛江方式で免除した場合、対象が何人で、都の補助を二分の一とした場合、どの程度の財源が必要と推計されるでしょうか。 ◯岡本介護保険対策室長 第一号被保険者のうち、所得が第一段階でかつ生活保護を受けていない人の人数というのは、約七千人ぐらいというふうに推定しております。  また、対象者の保険料、利用料を免除した場合の所要額ということでございますけれども、保険料というのは各区市町村ごとに異なりますし、また利用料は、現段階で、個人個人の選択によるサービス量の把握が困難であるということもございます。したがいまして、所要額の推定というのは困難でございます。 ◯田中委員 それでは、利用料が入ると推定が困難ということですので、保険料に限って伺うわけですけれども、例えば保険料を三千円とした場合、どのぐらいの負担になるんでしょうか。 ◯岡本介護保険対策室長 ただいま申しましたように、所得が第一段階で生活保護を受けていない人の人数というのは約七千人ということで、仮に都内のすべての第一号被保険者の月額保険料というのが一人当たり三千円だというふうに仮定をした場合でございますけれども、この場合、特別対策の保険料軽減がない場合には、一億二千六百万円というふうになろうかと思います。 ◯田中委員 一億二千六百万円ですね。それは単純計算した数字だと思います。ですから、都の補助を二分の一とした場合はと伺ったわけですから、その半分とすると六千三百万円ということになるわけですね。六千万円程度でできるということなわけですね。来年度に限っていえば半年間徴収猶予がありますし、その後一年間は半分でありますから、一千六百万円程度でできるという計算になるわけなんですね。  利用料についてはなかなか推計が難しいとおっしゃいましたので、私ちょっと推計してみたんですけれども、本当にごく単純な計算なんですけれども、先ほどいいました一人当たりの年間利用料十九万五千円、これの七千人分として計算しますと、十三億六千五百万円なわけです。その半分で七億程度ということですね。ごくごく単純な計算なんですけれども、七億程度で利用料の減免もできるということになるわけなんですね。  そこで提案をするわけなんですけれども、都の包括補助で区市町村の新たな事業に半額補助をするというようなものですけれども、この問題については、介護保険のスタートに当たって各自治体が抱える共通の課題であるわけですので、保険料、利用料の減免を行う区市町村への補助を包括補助のメニューの一つに位置づけてはどうかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 先ほども申し上げましたが、都の包括補助事業の趣旨から、専ら金銭の支給を行う事業あるいは他の補助事業の対象となっていて、そこから同様の補助を受ける事業は対象としないというふうに申し上げましたが、そういう観点からいたしますと、今委員ご指摘のありました保険料、利用料の減免というのは、都の包括補助の対象にならないというふうに考えます。 ◯田中委員 いずれにいたしましても、第一義的には、やはり国がきちっと行うべきであるというふうに思いますけれども、先ほどお話ししましたように、国が継続的な対策という点では実に不十分な対策である以上、率先して制度改革に踏み切って、国に実現を迫っていくべきというふうに考えます。  都としても、包括補助も含めまして、今お話がありまして、そぐわないという話でしたけれども、それらもぜひいろんなことを検討していただいて、多くのといいますか、都民、市民の声を含めて検討している区市が実際に出てきているわけなので、ぜひ何らかの方策の検討を改めて要望しておきたいというふうに思います。  最後に、住宅改造助成についてお伺いいたします。  いうまでもなく、高齢者の在宅生活を支えるバリアフリー化促進のための住宅改造助成については、大変重要な事業であります。そこで伺いますが、昨年十一月に出されました高齢者施策推進室の予算の要求では、どのような内容になっていたんでしょうか。また、来年度予算案では、これはどういうふうになったでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 住宅の改修給付事業でございますけれども、要求額は十一億六千四百万円でございます。これに対しまして、これは先ほど申し上げましたけれども、都の場合には包括補助事業に取り込まれたということでございます。また、アドバイザーについては、国の包括補助事業に取り込まれたということです。 ◯田中委員 現行の都の補助は、先ほども近藤委員の方からありましたけれども、玄関とか浴室、トイレ、居室などの改造に、上限で百四十五万円まで補助されております。ところが、介護保険は、手すりの取りつけなど軽微な工事二十万円までというふうになっております。  これに対して、十一月の高齢者施策推進室要求では、最初お答えがあったとおりに、第一に、介護保険の対象となる人に現行水準の補助を継続する、介護保険の対象となる人にも補助を継続する、第二に、介護保険の対象外の人にも、介護予防の位置づけから、現行水準の補助を行うという位置づけのもとに要求をしたというふうに聞いております。  ところが、それが、いまだに補助要綱も決まらないままになっているわけなんです。実際、四月がもう目の前なんですけれども、四月からどういうふうに対応なさるんでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 都の包括補助事業及び国の包括補助事業につきましては、区市町村の意見をいろいろ伺っておりまして、予算が決まりました後、速やかに区市町村の方に示していけるよう努力したいと思います。 ◯田中委員 具体的な先ほどの包括補助制度の内容ですね。まだ細かい内容まで決められているわけでもない。そして、住宅改修についていえば、要綱も決まっていないわけですから、先ほどもありましたけれども、来年度の予算の中でも、やはり区市町村は大変な思いをしているわけですね。独自に上乗せをしている区市町村、大変区が多いんですね。市は少しなんですけれども、独自に上乗せをしているところもあるわけです。そういう意味でも、都の内容がはっきりしないと、来年度に予算でどうしていくのかというところがはっきり示せないわけですので、先ほどご答弁で速やかにというお話がありましたけれども、ぜひ一日も早く示すべきというふうに思います。改めて伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 先ほどもご答弁をいたしましたけれども、都の包括補助事業、これは区市町村の期待が非常に大きゅうございます。意見を十分に聞きまして、できるだけ速やかに要綱を作成して、区市町村の方に示していきたいというふうに思います。 ◯田中委員 介護保険の中に入る部分と住宅改造の事業をトータルとして見て、現行補助の水準を維持することができるような内容にぜひしていただきたいということを要望して、終わりたいと思います。 ◯原委員 私の方から何点か質問させていただきたいと思います。  まず初めに、東京都介護保険財政安定化基金設置条例についてお伺いしたいと思います。  この条例提案は、この基金は、保険者である区市町村が、通常の努力を行ってもなお生じてしまう保険料の収納率の低下、または介護給付の増加等によって財政不足が生じた場合、一般会計からの補てんを避けるために、国、そして都、区市町村、おのおのが三分の一ずつ拠出をして都に設置をしていく、このようにこの条例提案の中で示されております。  まずこの問題でございますけれども、この基金は、介護保険法第百四十七条に基づいて都道府県に設置される、このようになっておりますが、なぜ保険者である区市町村ではなくて都道府県に設置するというふうにしたのか、まずこの点からお伺いしたいと思います。 ◯岡本介護保険対策室長 介護保険制度につきましては、都道府県は、区市町村の介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な指導及び適切な援助をする役割を担っているところでございます。  財政安定化基金でございますが、これは、区市町村保険財政の安定化を図り、その一般会計からの繰り入れを行わせないということを目的といたしまして、資金の交付、貸し付けを行うものでございまして、その内容の精査、あるいは調整するといったことも必要になるわけでございます。そのため、その運営は、区市町村の介護保険財政の運営に関して、広域的自治体として保険者を支援する立場にある都道府県が行うことが適切である、適当であるという考えによるものというふうに聞いております。 ◯原委員 当然、介護保険制度の財政の基盤は不安定な部分がございます。それを、財政安定化基金を都に設置することによって、介護保険制度の運営を指導的立場にある都道府県が指導し、またそこに設置するということは一応理解を示すものでありますけれども、それでは、この基金への拠出額はどのような方法で算出をしていくのか、お伺いしたいと思います。 ◯岡本介護保険対策室長 基金の拠出額でございますが、都内の全区市町村における介護給付と予防給付に係る費用、いわゆる標準給付費拠出率を乗じて算出するものでございます。この拠出率でございますが、都は、この拠出率については、制度初期でもありまして、保険料収納率あるいは給付費増の見込みの予測を独自に推計することが困難であるということから、国の定めた標準値に従いまして、平成十二年度から十四年度までの第一期の事業運営期間は千分の五とするということで、条例案に提案をしているところでございます。 ◯原委員 ちょっとよくわからない部分があったので、もう一回確認で聞きますけれども、都内の区市町村における介護給付と予防給付に係る費用、すなわち、標準給付費に拠出率を乗じて算出するというふうに今答弁がありましたけれども、例えば介護給付と予防給付に係る費用というのは、私の区の豊島区でいえば、おおむねどういうふうな形で計算をされる費用なんですか。 ◯岡本介護保険対策室長 大変恐縮でございます。本日の厚生委員会要求資料の八ページでございますが、ここに介護保険に関します総事業費が記載されております。各区市町村の内訳についてはここにございませんが、東京都トータルといたしましては、このように記載の規模になるということになろうかと思います。 ◯原委員 どの数字でいっているのですか。 ◯岡本介護保険対策室長 大変失礼いたしました。豊島区につきまして十二年度で申しますと、四千三百十七万六千九百十円ということでございます。 ◯原委員 今、八ページをお開きくださいということで開いたんですけれども、標準給付費、これはわかるんですけれども、この算出がきちっとしていないと──保険料にどのようにこれが影響してくるのかということをお尋ねしているわけで、もうちょっと詳しくわかるように説明してください。 ◯岡本介護保険対策室長 大変失礼いたしました。平成十二年度で申しますと、総事業費が三千七百七十八億円でございますが、そのうちの利用者負担を除いた分、それに千分の五を掛けたものが安定化基金の額と、このようになるわけでございます。 ◯原委員 財政不足の予測というのはどういう形で生じてくるか、これは非常に難しい部分があるというふうに思います。都は、国が定めてきたこの標準拠出率千分の五を使うということ、これは、その結果どの程度の規模の基金になってくるのか。今拠出率をいわれました、三千三百二十一億円に対しての千分の五という、こういう計算になるんですか。それが国、都、そして区市町村はどういう基金の金額になっていくのか、これをお伺いしたいと思います。 ◯岡本介護保険対策室長 基金の規模でございますが、区市町村と国がそれぞれ、十二年度で申しますと十九億六千万円を負担いたしまして、各年度の積み立て総額はこの三倍でございますので、五十八億八千万円となります。それを三年間の事業運営期間において毎年積み立てるということでございますので、総額といたしましては百七十六億四千万円となるということでございます。 ◯原委員 この積み立てられた全体として百七十六億四千万円の基金の活用方法、これはどういう形になるわけですか。 ◯岡本介護保険対策室長 基金の活用方法は、交付と貸し付けの二種類ございます。  まず交付でございますが、保険者である区市町村が通常の努力によってもなお生じる事業運営期間中の保険料の収納率低下による財政不足を対象といたしまして、三年目に交付をするという仕組みになっております。  また貸し付けでございますが、これにつきましては、毎年度の見込みを上回る給付費の増大とか、あるいは保険料収納率低下による財政不足、こういったものを対象といたしまして、それを無利子で貸し付けるというものでございます。  このような財政安定化基金の役割を十分果たすことによりまして、区市町村の財政が安定的に運営されるようになるということでございます。 ◯原委員 そうしますと、この基金を使う、今いわれたように、交付と貸し付けと二つの方法があるということでございますけれども、まず初めに交付についてお伺いしたいと思いますけれども、通常の努力によってもなお生じる保険料の収納率の低下、一生懸命やりましたと、こういうことでございますけれども、一生懸命やったかやらないかというのは、どういう基準で判断をされるんでしょうか。  そして、三年目にトータルして交付をするということでございますけれども、その後の都の判断、これは都の判断でやるわけですね、都に設置しているということは。まずそれから確認したいと思います。 ◯岡本介護保険対策室長 まず交付でございますけれども、これにつきましては、まだ決まっておりませんが、国の方でいわゆる責任収納率というのを決めることになっておりまして、それを基準として、それに不足した場合というような考え方でございます。 ◯原委員 ということは、国の基準に基づいて都がやるということですか。 ◯岡本介護保険対策室長 はい、そういうことでございます。 ◯原委員 それを三年間見るということですね、その収納率の推移を。それで、国の決めた基準より下がった場合、これを交付するんですか。ここら辺ちょっとよくわからない。 ◯岡本介護保険対策室長 交付につきましては、その下がった額の二分の一を交付するということでございます。そのほかのものと、それから給付費の増に係るものにつきましては、貸し付け事業で対応する、貸し付けの方で対応するということでございます。 ◯原委員 そうすると、極端に収納率が悪い場合、その収納率の悪い部分の二分の一を交付するということですか。間違いないですか、これは。 ◯岡本介護保険対策室長 責任収納率の範囲内ということでございます。 ◯原委員 そういうことであれば、収納率が悪ければおのずと限界があるということで、各区市町村、きちっとした形の収納率アップのための手だてにはなると考えると思いますので、ぜひその辺の見きわめをしていただきたい。  貸し付けの方でございますけれども、毎年度見込みを上回る給付費の増大、この部分、そして、財政不足、財源不足分に対しては無利子で貸し付けが行われるということでございますけれども、これは返還はどういう義務が生じるんでしょう。いつまでに返さなきゃいけないとか。 ◯岡本介護保険対策室長 貸し付けにつきましては、次のいわゆる事業年度の三年間で均等にお返しをいただく、こういうふうな形になるわけでございます。 ◯原委員 そうしますと、一応三年サイクルがこれの一つの基本になるというふうに考えます。まだ実施をしてみないと何ともいえないというのはよくわかりますけれども、各区市町村、先ほどおっしゃいました国と都と区市町村がそれぞれ十九億六千万、そして一年度の積み立てが五十八億八千万、それを三年間やって百七十六億四千万というふうに先ほどいわれましたけれども、見込みとして、例えば三年間これを経過してプラスというふうに考えるのか、それともこの基金が底をつくというふうに考えて次の三年目のスタートを切るというふうに考えられるのか、この辺のこの制度の予測、見込み、考え方というのはどんなふうに予測しているのか、お聞きしたいと思います。 ◯岡本介護保険対策室長 私ども、この基金の拠出率につきまして、算出根拠に基づきまして試算したところ、必要かつ十分であるというふうに考えております。また、平成十二年度四月から国の特別対策が行われて、第一号保険料を半年全額国が負担する、その後一年間につきましては二分の一国が負担するといったような特別対策もございます。そういったことから、収納率の低下が緩和されるということにもなろうかと思いますので、平成十二年度から十四年度に関していいますと、財政不足が生じる、この基金が不足を生ずるということはないというふうに考えております。 ◯原委員 そうしますと、例えばこの基金が百億もし残ったとすると、次の三年目の徴収というのは減額をされ、そして保険料等にもこれがはね返ってくる問題になってくるんでしょうか。 ◯岡本介護保険対策室長 平成十二年度から三年間に区市町村に対して貸し付けた金額と申しますのは、先ほど申しましたように、十五年度以降三年間にわたって均等に分割償還されてくるということになるわけでございます。  しかし、その一方で、基金の財源でございますが、区市町村の収納率低下による保険料減額分の二分の一の交付金というような形で減少するという面もございます。したがいまして、平成十五年度からの拠出率につきましては、そういった基金規模の減少状況と償還額、こういったものを勘案しまして、区市町村の財政不足に対応できるように見直しを図っていくということになろうかと思います。 ◯原委員 今何点か確認させていただきましたけれども、こういった一つの基金の内容というものは、当然、区市町村からも拠出するわけでありますから、区市町村との調整、これは大変重要になってくるかというふうに思います。この条例案の内容について、区市町村の方においては、きちっと了解と中身の内容については理解を得ているものなんでしょうか。 ◯岡本介護保険対策室長 財政安定化基金条例の案につきましては、区長会、市長会、町村会におきまして、拠出率を千分の五とすること、あるいは平成十二年度以降各区市町村において拠出金の予算措置が必要になることなどにつきましてご説明をいたしまして、了解を得ているところでございます。また、条例案の条文の概要あるいは事業スケジュール等につきましても、事務的に十分説明して周知を図っているところでございます。 ◯原委員 この基金は、介護保険制度を円滑に実施していく上において大変重要な役割を果たすのではないかというふうに考えます。また、国と都道府県、さらには区市町村が一体的に運営するという、こういう仕組みというのは余り多く例が見られない、こういう仕組みではないかと思います。  そういった意味からも、これから、国そして都道府県、さらには市区町村それぞれが責任の明確化、そして協力体制の確立、こういったものをきちっとしていく、確立させていくことが大事ではないかと思いますので、ぜひこれから、予想どおりいくのか、また予想外に拠出額がふえていくとか、交付がふえていくとか、予測がつかない部分があるかと思いますけれども、ぜひとも三者の連携をとりながら、円滑に進められるように運営をしていっていただきたいと思います。  次に、介護療養型医療施設の整備についてお伺いしたいと思います。  介護保険の実施までいよいよ残すところもう十一日ぐらいに迫ってまいりました。当然、介護基盤の整備の問題については広域的にも調整が必要である、このように私たちは質問をし、また提案もしてまいりました。また、介護保険制度の円滑な実施のためには、さまざまな介護基盤の整備が大変重要であるということも認識をしているところであります。  その中で、施設サービスについていえば、特別養護老人ホーム、また老人保健施設、そしてこの介護療養型医療施設、この三つがそれぞれの設置目的に即してバランスよく役割を果たすことが大変重要なことになってくるというふうに思います。とりわけ介護療養型医療施設は、介護保険の導入に際して、いわゆる社会的入院を解消するためにも、実は大変重要な施設ではないかというふうに思います。  都が去る二月二十一日に発表した介護療養型医療施設の指定申請の対象となる医療機関、すなわち療養型病床群、さらには介護協力病院、例えば老人病院等々、都内約一万九千床のうち、実際問題指定病床数で申請があったのは三千四十六床という、こういう実態の報告でございました。また、予算特別委員会の資料によっても、二次申請受付でも七百七十八床、さらに追加認定したとしても三千八百十二床、十二年度の整備目標数というのは一万六十五床、これが平成十二年度の介護療養型医療施設の整備目標の病床数であります。実際この一万六十五床の半分にも満たないのが現状であります。  そこで、整備について何点かお聞きしたいと思いますが、まず初めに、都は、施設サービス基盤の重要な柱の一つである介護療養型医療施設の指定について、どんな取り組みをしてきたのか、まずお聞きしたいと思います。 ◯岡本介護保険対策室長 昨年十一月に、対象の医療機関に対しまして、介護療養型医療施設の指定基準あるいは指定申請手続に対する説明会を開催しまして、介護保険への参入をお願いしたところでございます。  その後、十一月から十二月までの第一次受付と、ことしの一月から二月にかけまして第二次受付、この二回に分けて指定申請を受け付けたわけでございますが、この間、第一次受付の指定申請数が大幅に目標数を下回ったということで、一月二十一日に、関係局と連名で、対象医療機関に対しまして、文書で介護保険への参入の働きかけを行ったところでございます。  さらに、三月三日に診療報酬改定の中央社会保険医療協議会の答申が出たという状況も踏まえまして、三月九日及び十日の二日間にわたりまして緊急に指定受付を行いまして、私どもとしては多くの申請を期待したわけでございますが、結果といたしましては、新たに一件四床の申請にとどまったという状況でございます。 ◯原委員 せっかく三月一日でしたか、厚生省の診療報酬、医療報酬の値段が出ました。診療報酬の答申が出て、それを踏まえて第三次の募集を緊急に行ったということでありますけれども、そのやった三次の結果においても、申請数が何と一件四床という非常に予想に反した少ない申請率であります。  介護療養型医療施設のこの指定申請がこれほどまでに低調であった、これの主な理由というのはどういうところが考えられるのでしょうか。 ◯岡本介護保険対策室長 詳細な調査というのをしているわけではございませんけれども、申請相談の中で聞いております話では、従来介護療養型医療施設の申請が少なかったのは、いわゆる診療報酬の改定内容が決まっていないために判断を保留していた医療機関が少なからずあったためというふうにも推測しております。  このたび診療報酬の改定内容が決定して、診療報酬と介護報酬の水準の関係が明らかになった結果といたしまして、医療機関の指定申請も進むものというふうに考えられたわけでございますが、今年度につきましては、診療報酬の改定内容の提示が三月に入ってからという非常に遅かったこともございまして、介護保険制度という新しい制度への参入意向は示しながらも、指定申請を行うという判断が対象の医療機関にとって困難であったのではないかということも考えております。 ◯原委員 これは新聞報道でも書かれておりましたけれども、明らかになった診療報酬からこれを見てみますと、要介護度四、五の利用者が例えば入院一カ月を経過すると、診療報酬よりも高くなる。そしてまた、要介護度三の人が利用しても、入院六カ月を経過した場合には、介護報酬の方が診療報酬よりも高くなる、こういう内容でなかったかと思います。そうすると、介護報酬と診療報酬をいつもはかりにかけている、どっちがもうかるかなと、そんな中で医療機関の方ではどっちにするか考えておったのかと、こういうふうな一面も見ることができるんではないかと思います。  また、医療機関が、介護療養型医療施設、この指定を促す要因となることを全く拒否するという、こういうものではないけれども、実際には、四月一日から指定される介護療養型医療施設の病床数、先ほども指摘しましたけれども、半分にも満たない三千八百十二床、非常に少ない数でございます。このまま介護療養型医療施設の病床数が、計画よりも約三分の一近い数でございますけれども、こういった大幅に不足した場合、実態的にどのような影響というのがこの介護保険制度出発の中で考えられるのか、この点についてお伺いしたいと思います。 ◯岡本介護保険対策室長 現在の施設でございますが、これはすべてが医療型の病院でございます。したがいまして、何らかの医療ケアが必要な方が入院している、こういうことになるわけでございます。  介護保険制度が施行されまして、こうした方のうち、要介護者につきましては、希望により介護療養型医療施設に入所するということになるわけでございますが、介護療養型医療施設に入所しない方につきましても、ただいま申し上げましたように、何らかの医療ケアが必要であるということから、引き続き医療保険からサービスを受けること、すなわち医療型の病院に入院するといったようなことになろうかと思います。したがいまして、介護保険制度が施行される四月一日を境に利用実態が激減するというものではないというふうに考えております。 ◯原委員 介護療養型病床の施設が不足する、こういうことが起これば、今まで多くの問題となっておった、社会的入院をしていた、介護保険の中では介護を受けられない、サービスが受けられないで、結局は病院という形を利用し、そして、介護保険ではなくて医療保険を通しながら処置をしなきゃいけない、こういった実態が、介護保険制度が実施されたにもかかわらずまだ続いていくというふうに指摘することができるんではないかというふうに思います。  本来、介護保険制度そのものも、そういった社会的入院を軽減する、また医療保険では結局自己負担が多くなってしまったり、そういった部分があるからこそ、介護療養型医療施設をつくっていこう、こういう形で施設の整備指針が進められたのではないかと思います。ぜひそういった意味において、ただ単に数だけではなくて、中身の上においても、きちっと目標の整備ができるように推進を図っていただきたい。  それと、もう一点この問題で聞きますけれども、なぜ少なかったかという要因の一つに、介護療養型病床施設の位置づけのあいまいさというのも、設置が促進しなかった一つの大きな要因になるのではないかと思います。
     すなわち、医療型のベッド、また介護保険施設におけるベッド、これどっちでもいいですよという、同じベッドでありながら両方使える、こういうあいまいさがここにあるからこそ、医療施設にしたら、うちは何も介護に登録する必要はない、もうかる方の医療に置いておくんだ、こういうふうに悪意に見れば見ることができるし、また、療養型病床群でもいわれていますけれども、医療行為ができるベッドというのは、結局は、慢性疾患であればできるけれども、急性疾患の場合は、医療行為というのはそのベッドの中ではできなくて、また移して新たなベッドで医療行為を行い、そして診療報酬をもらうという非常に複雑な仕組みになっているのも要因の一つではないかと思うんです。  これをこのまま、介護保険制度が続いても、じゃ、うちは介護のベッドとして申請はしたけれども、そこのベッドの中で医療行為も、例えばこれは急性疾患だというふうにいえば、いや応なしに医療報酬はそこからいただける、こういうことも可能になる仕組みではないかと思うんですけれども、この点どうでしょうか。 ◯岡本介護保険対策室長 さまざまな要因から介護療養型医療施設への参入が進んでいないということは、ご指摘のとおりだと思います。私どもといたしましては、平成十四年度までに、例えば介護力強化病院が介護型か医療型のどちらかを選択しなければならない、こういう状況もにらみながら、その関係局、関係団体とも連携しまして、引き続き十二年度におきましても指定の申請の受付を行って、対象医療機関が介護療養型医療施設へ参入することによって、入所を希望する利用者のニーズにこたえられるようにしていきたいというふうに考えております。 ◯原委員 今お答えいただきましたけども、このあいまいさというものをきちっと整理しておくこと、それと同時に、今いわれたように、これは介護です、これは医療ですという、この縦割りの壁を破っていかないと、本当に安定的な制度の運用というものは図れない、このように強く思いますので、ぜひこの点は、同じ介護保険制度の中で、やれ介護だ、やれ医療だという、こういう壁を破って、利用者が安心して利用できる、こういう制度の運営にぜひご尽力をいただきたいというふうに思います。  いずれにしても、介護保険制度スタートを目前にしての制度のよしあし、また問題点等というのは、限りなく指摘することも、また課題として挙げられることはあると思います。しかし、はっきりいえば、やってみなきゃわからないというのが皆様方のお気持ちでもあるし、また、本当に予測以上に順調にいくのか、また逆に、安心し切って、準備万端だと思ったにもかかわらず、多くの課題がより噴出してくる、これも四月一日以降の実施してからの課題ではないかと思います。  そのためにも、例えば矛盾点が明らかになったとか、またこれはどうしても制度を変えていかなければならないという、こういう局面に至った場合には、潔く、また速やかに、制度の変更または不断の見直しというものを心して、国とも、また自治体である区市町村ともさらに綿密な連携を深めながら、運営をしていっていただきたいことを強く望むものであります。  では、その辺のことを踏まえまして、まず、介護療養型病床群の設置についての決意または見通しについてお伺いしたいと思います。 ◯神藤高齢者施策推進室長 施設サービスにつきましては、特別養護老人ホームと老人保健施設、そして今の療養型の施設、三つが相まって施設サービスを提供するわけでございますので、私どもといたしましては、特養は順調に来ております、老健はややまだ不足でございますが、やや順調、療養型が今おっしゃったように大変おくれているということでございますので、今後とも引き続き目標を達成するように頑張ってまいります。 ◯原委員 もうスタート間もないわけでございますので、気合を入れて、ぜひ制度の順調なスタートを切っていただきたいと思います。  次に、シルバーパスの見直しについて、若干ですけど、お伺いしたいと思います。今まで、このシルバーパスの見直しについては多くの議員の方から指摘がありましたので、重複する点は避けながら確認をしたいと思います。  当然、シルバーパス制度、これは先ほどもいわれたとおり、昭和四十八年度に制度化されまして、本当にこれまでの高齢者の方々が安心して社会参加をできるという非常に大切な制度であったし、この制度があったればこそ、多くの高齢者が逆に健康を増進し、元気高齢者をたくさん東京都でつくってきたのも、こういった制度のおかげではないかと思います。見た目では、直接的に支出されるお金は年々増大していますけれども、健康な高齢者がよりふえる、多くなるということは、逆にほかの制度に対して支出を軽減していくという、こういったいい面もあらわれてくるのではないかと思います。  そういった意味もさまざま考慮して、この制度がより東京都の中において存続していくための制度の見直し等も含めて考えていき、そして、高齢者全体の施策の再構築をする中にあって、二十一世紀の時代にもたえられる制度にしていくことが肝心ではないかというふうに思います。こんなことを思って、主に利用者の視点に立って、この制度の見直しについてお伺いしたいと思います。  初めに、今までこのパスはずっと無料でありましたので、利用しない人も、申請だけはしておこうということで交付されていたのではないかと思いますけれども、こんな利用しない人も交付をされていた実態というのは、平成十年度、去年にはどれぐらいあったのか、お聞きしたいと思います。 ◯金内保健福祉部長 何枚ということはちょっと難しいかと思いますけれども、いずれにしても、往復はがき方式というのを採用した区市町村が三十六ございまして、民生委員方式が十九区市町村ございます。この交付率といいますか、これがその前の年と比べますと下がってございます。したがいまして、逆にいいますと、改善をする前には、それだけ意思のない人が利用していたということがいえようかと思います。 ◯原委員 それでは、今回の見直しで、意思の確認、または寝たきりなどの確認、これは、特別養護老人ホーム等は申請しないということになっておりましたけれども、今回所得制限等も強化されたわけでございますけれども、意思の確認や所得の把握についてはどのように行っていこうという考えなのか、お伺いしたいと思います。 ◯金内保健福祉部長 意思の確認、それから寝たきりの確認につきましては、利用者本人が交付場所にパスをもらいに来るといいますか、そういうことによって実際確認できるのではないかというふうに考えております。また、所得の関係につきましては、今度は非課税ラインということでございますので、非課税を何らかの形で確認することを原則としております。 ◯原委員 その非課税の確認ですけれども、これはどういうふうにしてやるんですか。例えば非課税証明書とかそういうものをもらいに行くんですか。どこで発行して、どういう形になるんですか。 ◯金内保健福祉部長 課税、非課税で負担額が大きく変わってまいりますので、きちんと発行したいというふうに思いますけれども、やはり原則は証明書の添付かなというふうには考えておりますけれども、何か簡単な方法がないのかなというふうに今みんなで検討しているところでございます。 ◯原委員 利用者に利用しやすい方法をぜひつくっていただきたい。せっかくシルバーパス制度が、高齢者の方々にとって非常に身近で、そして利用しやすい制度だということで喜ばれているわけでありますから、こういうことで、面倒くさいから結局自分は申請するのをやめようと、こうなっては、逆にこの制度に対して意義が低下してしまうことになってしまうと思いますので、ぜひその点はきちっとしていただきたい、こう思います。  それと、先ほど来吉田理事の方から、このシルバーパス制度、全面有料化ということでご指摘がございました。確かに十円でも百円でも取れば、これは有料化だ、こういう論理であれば、有料化といえないことはないと思います。しかし、現在のシルバーパスの予算、平成十年度ベースで百四十五億、そして十年後には二百三十六億になるというふうに先ほどの答弁の中でもございましたけれども、年々、このシルバーパス制度の中で負担額がふえていく。また、これから高齢化率がどんどんふえれば、この利用率もふえ、さらには支出率がふえてくる。これは下がることはないというふうに予測されます。  こういった事態の中にあって、福祉予算の圧迫があるのではないかというふうに思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 シルバーパス制度は高齢者の方に大変好評でございまして、それがかえって私どもの財政的な負担を強いているということになろうかと思いますが、今回大幅に見直しをいたしまして、とりあえず安定的な制度に変えていくことが、当面の私どもの目標だというふうに思っておりますので、それが安定的な制度になってから、きちんと趨勢を見まして、また問題が出てくれば対処したいというふうに考えております。 ◯原委員 私は、今回の全面有料化の問題に対して、認識の違いというか、考え方の違いによって全然中身も違ってくるなということを実感するために今聞いておるわけでございますけれども、例えば年間の通学パスは、小学生の場合、先ほどもお話がありました、年間の有料パスは四万一千四十円というふうに聞いております。高校生はどうかといえば、これは八万数千円、正確な数字はちょっと今忘れてしまいましたけれども、これだけかかる。その中にあって、今回、高齢者が利用する年間パスの値段は千円、月額に直せば八十三円。その手数料の使い道というのは、先ほどの答弁の中にもございましたけれども、手数料の部分、これはさらに高齢者の雇用の促進とか、さらには高齢者対策の有効な施策の一助として使われていく、このような答弁がございました。  このことを見ても、今回のこの高齢者が負担する千円というのは、全面有料化という表現の中で適切なのか。私は、全面有料化というその表現が、逆に高齢者の方々にとって安心を与えるものでなく、不安を助長するものではないかなというふうに率直に思うわけですけれども、この点に対して室の方はどのように考えているかを伺いたいと思います。 ◯金内保健福祉部長 今私どもご負担をいただきたいと考えておりますのは、事務費相当額の千円でございまして、高齢者にとってご負担いただける範囲だろうというふうに考えておりますし、今まで不平のございました若年層の方からも、一歩ではございますが、ご理解をいただける範囲というふうに考えております。 ◯原委員 私はもっと率直な意見でございまして、多くの高齢者、私も老人会とかそういうところに参加をさせていただいて、今回のシルバーパスの改定問題についてお話をさせていただきました。大半の人が、千円の負担は喜んでさせていただきたい、こういう意見であります。ということは、逆にいえば、先ほどいいました吉田理事、共産党さんが主張しているような、高齢者に対する不安を与えていくこういう表現というのは、逆に高齢者の方々に不安を与える以外の何物でもない、このように思うわけですけれども、この点に対してはどうでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 都民の方々からいろいろご意見をいただきました。シルバーパスの見直しに賛成という意見が過半数であるという結果が示しておりますけれども、私といたしましては、負担すべきは負担して、堂々とバスを利用していただきたい、担当者の気持ちはこういうことです。 ◯原委員 確かに千円、これはわずかな額でございますけれども、負担していただくことによって、逆に、先ほどいった新しい施策の展開を充実させていくんだ、所得制限は強化になったけれども、それよりも、多くの雇用の創出とか、またはバスが走っていないところにミニバスを走らせて、そのバスを利用する高齢者がふえる、こういうことも新たな施策の展開として充実させた分ですと、こういうこともきちっといっていかないと、今回のこのシルバーパスの制度の内容の充実ということで、多くの高齢者に理解を得られないのではないかというふうに思います。  そういった意味で、シルバーパスを利用する多くの高齢者の人、そしてまた、さらには幅広く支援してくれる人たちにも、ぜひこのことを強く訴えていただきたいというふうに思うものであります。その中で、私たちも、限られた財源の中でより有効的に運用することによって、もっともっと高齢社会の中で高齢者の人たちが安心して過ごしていける制度を何としてもつくっていくことが大事である、このことを強く訴えていくものでございます。  シルバーパスについては最後でございますけれども、今回の本会議、そしてまた予算特別委員会でも、何十回となくこのシルバーパスについての質疑がなされてまいりました。この質疑を通して、さらにシルバーパス制度の存続へ向けて、室長のご決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。 ◯神藤高齢者施策推進室長 シルバーパス制度が現在ご提案しております内容でご承認いただきましたならば、私どもは、区市町村初め関係団体と十分協議して、真に高齢者にとって利用しやすいものになるよう、さらに質も量もあわせて充実発展させていきたいというふうに考えております。 ◯原委員 パスの問題に対しては、多くの高齢者の方にご理解をいただき、そしてまた信頼される制度の構築を目指してぜひ頑張っていただきたいと思います。  最後の質問でございます。先ほどこれも一部質問が出ましたけれども、特別養護老人ホームで働く障害を持つあんまマッサージの方々の雇用の継続について、何点かお伺いさせていただきたいと思います。  我が党は、視覚障害者というハンディキャップを克服し、特別養護老人ホームで利用者のために一生懸命働いているあんまマッサージの方々が、介護保険制度のもとでも引き続いて勤務できるよう、都に対し、国へ強く要望すること、あわせて都の支援を検討するよう提案をしてきたところであります。  都は、国へ強く要望するとともに、特別養護老人ホームの代表と協議を続け、その中間のまとめでは、特別養護老人ホーム経営支援事業について、障害を持つあんまマッサージの方々に配慮するということを明記しております。都のこうした対応を評価するものでありますけれども、その意味から何点か確認をしておきたいと思います。  まず、都は、国に対して、介護報酬額の設定に当たっては、大都市の実情や現行施策水準に十分配慮されるよう強く要望してきましたが、このたび発表された国の人員配置基準や介護報酬の中では、あんまマッサージの方々の業務がどのように位置づけられているのか、お伺いしたいと思います。 ◯若林参事 二月十日に発表されました、厚生省告示、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準でございますが、その中では、都の要望を生かして、あんまマッサージ指圧師を機能訓練指導員として位置づけるとともに、介護報酬については、常勤で雇用した場合には、介護報酬に加えて十二単位の加算をつけるということで発表されたところでございます。 ◯原委員 報酬の中できちっと反映されたということは大変結構なことだと思います。国の基準が示されたことによって、あんまマッサージの方々への都の支援策、これは具体的にどういうふうになりますか。 ◯若林参事 都はこれまで、常勤のあんまマッサージの方々の雇用に要する経費としまして、一施設に平均しまして約六百五十万円の補助を行ってきたところでございます。今回国が示しました先ほど申し上げました基準によりますと、介護報酬の加算額は、級地が異なったりしますので、各施設の所在地とか定員によって異なることになりますけれども、先生がおっしゃるように、具体例で申し上げますと、二十三区にある定員百人の特別養護老人ホームを例にして加算額を算出してみますと、十二掛ける十・四八掛ける百、三百六十五日、こういう計算式になりまして、四百五十六万円という金額が加算額として出されるものと推計しているところでございます。  加算ということでございますので、介護報酬本体の中にも、これまでの措置費と同様に金額が含まれておりますので、それらを整理しまして、六百五十万円とただいまの金額とを差し引きをしまして、各個別施設ごとの支援額につきまして取りまとめることとしているところでございます。 ◯原委員 今の中にもありましたけれども、都の支援も一つは明確になりつつあります。しかし、残るのは、施設の中での対応が大事ではないかと思いますけれども、この施設の中における対応はどうなってくるのか。そして、国の報酬及び新たな都の支援事業によって、常勤の視覚障害を持つあんまマッサージの方々が特別養護老人ホームで引き続き働くことができるように、都はどのように応援をしていくのか、きちっとした説明をいただきたいと思います。 ◯若林参事 常勤の視覚障害を持つあんまマッサージの方々の雇用に要する経費の助成につきましては、特別養護老人ホームからも都に対して強い要望書が提出されていたところでございます。先ほどもご答弁申し上げましたけれども、介護報酬と、先ほど申し上げた経営支援事業による補助によって収入が確保されることになりますので、都は、特別養護老人ホームに対して、雇用の継続についてさらに理解を求めていきたいというふうに考えております。  これまでの施設とのヒアリング、あるいは検討協議会の協議の中でこのようなことはないと思っておりますけれども、万が一引き続いて雇用しないというような場合が出た際には、当然のことでございますが、本事業の助成は行わないことになります。 ◯原委員 今の点は非常に大切な点だと思います。もちろん、あんまマッサージの方々が技術的にもうどうしても使えない、こういうことであれば、交代はやむを得ないわけでございますけれども、今までずっと引き続きやってきた方、そしてまた力量的にもきちっとした技術を持っている方には、引き続き雇用ができるように推進を図っていただきたい、このように強く思います。  私たちも、特別養護老人ホームが介護保険制度に円滑に移行する上で、特別養護老人ホームの意見を十分に聞いた上で実施をしていただきたい、こう強く申し上げてきたところでございます。  最後にお聞きしますけれども、今回の予算案では、特別養護老人ホーム等経営支援事業として百億円が計上されています。特別養護老人ホームからはどのような要望があり、また、これを本事業の中でどう生かしていくのかお尋ねして、質問を終わりたいと思います。 ◯若林参事 特別養護老人ホームの要望を集約してみますと、ただいま答弁申し上げましたように、視覚障害を持つあんまマッサージの方々の雇用継続への支援のほかに、経営者、管理者の資質の向上、情報公開への取り組み、地域交流の促進、小規模施設や島しょ施設の運営基盤の確立、さらに激変緩和のための補助、こういった要望が提出されているところでございます。  都と特別養護老人ホームの代表と検討協議を続けてまいりましたけれども、すべての特別養護老人ホームは、みずから職員体制、給与体系の見直しをします、あるいは諸経費の節減などに努めます、そういうことを通じて施設経営全般の改革を行うとともに、利用者サービスの維持向上を図り、経営の充実に努めるということのお話がございました。  東京都といたしましては、こうした特養ホームの努力を踏まえまして、利用者サービスの維持向上と介護保険制度への円滑な移行のための支援を行うということで、最終のまとめを今しようとしているところでございます。 ◯曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。    午後九時三十二分休憩      ━━━━━━━━━━    午後九時四十四分開議 ◯曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  発言を願います。 ◯土屋委員 質問をいたします。  介護保険もいよいよスタートいたします。いろいろ紆余曲折がありましたけれども、事務局の方はその準備で大変だったと、それはもう率直に敬意を表します。平成十二年度は福祉にとっても新しい時代で、いろいろな新規だとか拡充事業がありまして、共産党の皆さんのところには、とんでもないことだと、これでは生きていけないというようなファクスが随分来ているんですけれども、私のところには、逆に激励のファクスが山ほど来ていますので、神藤室長以下、自信を出して頑張ってください。  その一つに、在宅サービスなどの介護保険事業者等の指導検査体制を強化するための事業として二千四百万ですか、予算計上されていると思うんです。また、この事業のために十三名の職員も増員されるようだったと思います。事業者のレベルアップを図るためには必要な事業と私は評価するものでありますけれども、現在も、特別養護老人ホームなど施設事業者等の指導検査を行っていますが、今回の拡充分を加えた指導検査体制の経費と職員数について、どの程度になるかお伺いしたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 十二年度の指導検査体制全体の経費と職員数についてのお尋ねでございますが、まず職員数でございます。十一年度の十四名体制から七名増員いたしまして、二十一名体制に拡充を図りたいと考えております。  次に、指導検査に係る経費でございますが、十二年度予算では、職員人件費として一億六千二百万円、一人当たり大体八百万円相当になろうかと思います。指導検査に係る事務経費として二千四百万円、合わせて一億八千六百万円を計上しているところでございます。 ◯土屋委員 そうすると、いわゆる定員を七名増員をするわけで、二十一名体制になるわけですね。予算も、事務経費で二千四百万、人件費で一億六千二百万ですから、一億八千六百万というお話でしたけれども、これはかなりの事業規模だと私は思うんです。どのような指導検査をその中で行うのでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 平成十二年度に都で行う指導検査につきましては、社会福祉事業法、老人福祉法及び介護保険法に基づき、一つには、介護保険施設及び居宅サービス事業者が法令等で定める基準に従って施設運営を行っているかどうか、二つには、契約に従って適正なサービスが提供されているかどうか、三つ目には、介護報酬等が適正に請求されているかどうかを点検し、不適切な事項については改善を求めるものでございます。  このことによりまして施設等の適正な運営を確保するとともに、サービスの質の確保と利用者の権利を擁護してまいりたいと考えております。 ◯土屋委員 概略は三つということでわかったんですが、では、簡単で結構ですけれども、具体的にはそれをどのように行うのでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 指導検査の具体的な方法でございますが、原則三人体制で、都が定める指導検査基準に従って、施設等の運営状況、利用者に対する処遇状況、会計経理の処理状況及び介護報酬等の請求状況を点検いたします。  特に十二年度につきましては、介護保険への移行、新会計基準への移行など大きな制度改革とともに、多種多様な事業者の参入がございますので、安定的な事業運営のための経営改善への取り組みを含めまして、指導を中心に実施することになろうかと思います。  また、指導検査を実施するに当たりましては、利用者等の苦情相談に対応する区市町村との連携をとるとともに、在宅事業者のサービス提供が家庭内で行われますので、必要に応じて利用者等からの聞き取り調査も行っていきたいというふうに考えております。  また、こうした指導検査の結果につきましては、開示請求の対象となっております。今後は、利用者への情報提供として公開していく仕組みを検討していく予定でございます。 ◯土屋委員 昨年の十一月に行われた事務事業にかかわる厚生委員会において、特別養護老人ホームの経営指導について質問をしたと思うんですけれども、サービスの向上と収支のバランスの確保を両立するための経営指導が今求められていると私は思うんです。今詳しく三点説明していただきましたけれども、特に一番目なんかの、いわゆる法的な条件を満たしているかどうかの観点からだけの検査をするのであれば、事業者のレベルアップは促進はしないと思うんです。単に要件を満たしているかどうかをチェックするだけですから。ですから、このためには、都庁の職員が、別に皆さんが能力がないとは思わないけれども、それよりは、民間のプロにお願いをする方が、僕は実効性が絶対に高いと思うんです。  したがって、先般、都立の病院や文化施設の外部監査を受けたように、民間の監査法人に委託するか、あるいはノウハウをお持ちの方で現役を引退した、さっきも元気な高齢者といろいろな話がありましたけれども、そういう高齢者の方々を非常勤職員として公募して、都庁の職員の方々はこうした人を取りまとめる、ある程度方向性を示すとか、そういう役割の方に回った方がいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょう。これは提言としてお聞きいただきたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 介護保険制度の導入に伴いまして、措置から契約に基づく利用へと仕組みが大きく変わる中で、介護サービス提供事業者が、サービスの質の確保向上、こういったものにもちろん意を用いるとともに、収支のバランスを確保していくことが、事業の健全かつ円滑な運営にとっても大変重要であります。こうした点につきまして、土屋委員から、以前からも大変貴重なご意見、ご指摘をいただいているわけです。私どももそうした土屋委員のご提言を踏まえまして、安定した経営がなされるように、経営指導的な指導検査の視点がこれからますます重要であるというふうに認識しております。  また、行政の責務として、利用者保護の視点に立ちまして、苦情、相談対応、それからサービス評価及び情報提供等さまざまな仕組みと連携した機動的でかつ専門性の高い指導検査も求められる、こういうふうに考えております。  このため、現在、会計検査の専門員といたしまして金融機関OBを配置し、複雑な金融取引、借入金償還の確実性の分析、さらには職員研修の講師など、その能力の活用により成果を上げているところでありますが、今後は、介護などのほかの分野におきましても、専門的な知識、経験を有する方々の活用について検討する必要がある、こういうふうに考えております。  また施設等におきましても、既に経営コンサルタントを自主的に導入いたしまして、経営改善に向けた取り組みを行っている施設もございますが、他の施設においても、施設みずからが意識の改革と経営改善に取り組むように、特に理事長、施設長等の資質の向上に向けた研修等への支援を行っていきたいというふうに考えております。  貴重なご提言でございますので、今後十分に参考にさせていただきます。 ◯土屋委員 特に収支のバランスといいますか、経営をどうこれから運営していくかということですとか、サービスということは非常に重要な観点だと思いますので、引き続き、それを具体化していただきたいと思います。  次に、私の地元である板橋区には、高齢者施策推進室所管の老人医療センターと、昨年夏にリニューアルオープンした衛生局所管の豊島病院の二つの都立病院があります。それぞれ歴史もありますが、異なった特色のある病院が共存共栄して、都民の健康回復に貢献していると思うんですけれども、豊島病院のオープン前と後で老人医療センターの患者数の動向にどのような変化があったのか、いただいた資料の中で、これは私非常に興味があるんです。  そこで、今年度は、民間を含めた多くの病院で入院患者は減少しているという話を聞いているんですけれども、外来患者数について見た場合、昨年の四月から七月までの四カ月間と、真夏の八月はどこの病院も患者数が減るので、これを除く九月から十二月までの四カ月間とで減ったのかふえたのかをお伺いしたいと思います。 ◯我妻施設事業部長 板橋の老人医療センターの一日当たりの平均外来患者数で見ますと、昨年の四月から七月までは一日平均九百二十五名でした。九月から十二月までは九百九十三名でございました。したがいまして、豊島病院のオープン前に比べまして一日当たり平均六十八人増加しておりまして、増加率は七・三%でございます。 ◯土屋委員 それほど距離は離れていないんですね。ですから、両方ともふえているわけですよ。豊島病院のオープン後も外来患者数がふえたということは、二つの病院は競合していないということが私はいえると思うんです。  それでは、老人医療センターはどのような役割や特色を持っていますか。ちょっと確認の質問です。 ◯我妻施設事業部長 いろいろな役割、特色を持ってございますけれども、お時間の関係でポイントを一つだけ申し上げます。板橋及び多摩の老人医療センターは六十五歳以上の都民を対象にしておりますけれども、実際には、入院患者の六割は七十五歳以上でございます。また平均年齢は七十七歳でございますので、後期高齢者を中心とした高度専門医療を行っているというのが特色でございます。 ◯土屋委員 我妻部長は審議促進で非常に短く答えていただいたんですけれども、いろいろ特色があって、さっき田中先生が話したチーム医療というのは、これからすごく大切ですよね。それから、老年性の、老年者の症候群というのですか、骨粗鬆症だとか白内障の疾患だとか病態が多いとか、そういうものが非常に特有のものがあって、それに対する対応は非常にいいと思います。それから、筋肉の低下だとか失禁など、日常生活の機能障害を起こしやすいというのがいわゆる高齢者医療の特質だということで、それに非常によく対応した病院だと、地域で非常に評判のいい病院だと思うんです。(「なかなか入れないんだよ、あそこは」と発言する者あり)ええ、入れなくてもいいところなんですね。  豊島病院を初めとする衛生局の都立総合病院等とはどのような役割分担をしているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。 ◯我妻施設事業部長 衛生局の都立総合病院等はあらゆる年代層を対象にしている。私どもの方は後期高齢者を中心とした高齢者の高度専門医療と、したがって、バッティングはしないということでございます。  そういう関係でございますので、豊島病院とは大変仲よくさせていただいておりまして、例えば毎日定時に、夜間、休日の空床ベッドがどのくらいあるかお互いに情報交換して、お客さんをやりとりしているというような連携もしております。  また、豊島病院、大塚病院と我々都立の三病院が一緒で、豊島区、北区、板橋区、練馬区、文京区、中野区という広大な六区を中心した医師会、歯科医師会、薬剤師会等との協議会を設けて、地域連携もご一緒に拡充しているところでございます。 ◯土屋委員 二つの違いがあるというところを教えていただいたわけなんですけれども、次に、高度専門医療の具体的な指標というのがあると思うんですけれども、それを教えていただきたいと思います。 ◯我妻施設事業部長 高度専門医療の具体的なわかりやすい指標というのは大変難しゅうございますけれども、とりあえずまず三つ、非常にわかりやすい指標を申し上げます。  まず第一は、平均在院日数が短いということが高度専門医療の重要な点であろうかと思います。といいますのは、早く診断して、早く治して、早くお帰りいただくというのが高度専門医療の特色で、腕がよくなければ決して在院日数を短くすることができないわけでございます。こういった意味で、第一の指標は平均在院日数が短いということでございます。  また第二に、診療報酬の単価が高いといったこともこれは特色でございます。といいますのは、適切な診断を早くやるためには、MRですとかCTですとか高額医療機器も必要になりますし、またそれに準じたいろいろ手のかかる治療も必要でございますので、内容がよければ当然診療単価も高くなるということでございます。  第三は、剖検率といいまして、病院内で亡くなられた方を解剖する率がどのくらいあるか、これは、この世界では、剖検率、わかりやすくいいますと解剖検査率でございますが、診療の向上には解剖等によります症例分析が非常に重要でございます。板橋では、隣接する老人総合研究所の協力も得まして、年間約二百件、剖検率は、病院内で亡くなった方の約三五%という非常に高い率で解剖を行って、それを次の臨床に生かしているわけでございます。この数値は、全国でも一、二を争う数字といわれております。  以上の三つは数字ではっきりわかる点でございますけれども、最も重要なことは、優秀な人材がいるかどうかでございます。これはなかなか指標として数字にあらわれにくいものでございますけれども、あえていえば、例えばお医者さんの場合ですと、臨床の向上に必要な研究もできる、また、若手の後継者も育成できるというようなお医者さんがどのくらいそろっているかといった点が一つのポイントではなかろうかと思います。  こういったものが、例えば学会の方の資格といたしましては、認定医ですとか専門医ですとか指導医ですとか、そういう資格がございますけれども、こういったお医者さんがどのくらいいるかというのも一つの指標ではなかろうかと思っております。  また、重症患者を受け入れるためには、看護体制が手厚いといったことも重要でございますので、患者二人に対して看護婦一人という現在の看護体制の中では最も充実した体制が整備されているかどうかというのも、高度専門医療の重要な指標と考えております。  一番最後に、こういった方々が幾らいらっしゃっても、ばらばらに診療をやっていたのでは全く意味がないわけでございますので、最後の決め手はチーム医療でございます。これは、クリティカルパスであるとか、あるいはその他のいろいろなチーム医療の仕組みがどの程度導入されているかどうか、これも重要な指標と考えております。    〔「広尾病院とどう違うのか聞いて」と呼ぶ者あり〕 ◯土屋委員 非常にわかりやすい説明でした。  今回つくっていただいた資料、大変だったと思うんですけれども、これを見ますと、平成七年から十一年度までの資料を都立総合病院と比べてみると、老人医療センターにおいては、薬剤師、検査技師、放射線技師、栄養士、医学療法士などのいわゆる医療技術職の高齢化が際立っていると思うんです。これはお手元の資料を見ていただければわかると思うんです。
     例えば、二十九歳以下の職員は、都立総合病院は二割前後を維持しているのに対して、老人医療センターでは一割未満となっています。また四十歳以上の職員は、都立総合病院では半分以下なのに対して、老人医療センターでは過半数を占めています。しかも、五三%から五五%へと増加傾向にあるんです。その表を見ていただければわかるんですが、とりわけ五十歳以上の職員は、都立総合病院では二割弱であるのに対し、老人医療センターで二割強となっています。しかも、近年、急速にその割合が高まっていると思うんです。  この結果どういうことになるかというと、平均年齢は、都立総合病院では三十九歳前後で安定しているのに対して、老人医療センターでは四十歳から四十二歳へと高まっています。  また、長期主任の医療技術職員に占める割合は、都立総合病院では一六%であるのに対して、老人医療センターでは二二%で高く、増加傾向にあります。幾ら高度専門医療といっても、医療技術職のこのような状況は、中堅や若手の実力を発揮する芽をある意味で摘み取ってしまうことになるかと思うんです。  長期在職者を減らすなど、組織の活性化を図ることが必要と思いますけれども、具体的な改善策があればお示しいただきたいと思います。 ◯我妻施設事業部長 病院の分析は、よく経営面の数字の方からアプローチするわけでございますけれども、今回のようにこういう人員構成の面からご指摘いただきましたのは、大変目からうろこでございました。  老人医療センターは、昭和四十七年に開設してから二十八年を経過しておりまして、ちょうど二十から二十二歳で入都した人が、少数職種の場合には大体残っておりますので、現在ちょうど五十歳前後になるという現象でございますので、ご指摘のとおり高齢化が際立っております。定年退職までにはまだ十年前後要するわけでございます。また、東京都全体で同一職種の過員がありますと、新規採用も困難でございますので、高齢化はこれから当分の間ますます進展するものと見込んでおります。  したがいまして、今後は、衛生局など関係部門とより一層の連携を保ち、局間交流を拡充するなど、一層の組織の活性化に努めてまいりたいと考えております。 ◯土屋委員 確かにそうだと思うんです。都立は、総合病院とか精神病院、それから神経病院、小児病院、保健医療公社の地域病院が二カ所、老人医療センターとあと何か幾つかあるらしいんですけれども、それがばらばらなんですよね。ですから、これを一くくりにして──今度局を再編成するんでしょう。局を一つつくるなり、何か一くくりにして、人的交流はしっかりしておいた方がいいと思うんです。  確かに老人医療センターは非常に評判がよくて、資格を持った先生方が多いというあれは聞くんですけれども、これはぜひ病院間の相互交流といいますか、それをしないと活性化していかないと思います。ぜひその点を検討していただきたいと思います。  室長がさっきから何か答えたいような感じで、そこは一応最高責任者としてご意見をお伺いしたいと思います。 ◯神藤高齢者施策推進室長 病院の一元化でございますけれども、人事交流の点から申し上げれば、先生ご指摘のように一元化が望ましいというふうに考えております。しかしながら、先ほどから申し上げておりますとおり、老人医療センターの持っている特色をさらに生かしながら都民の期待にこたえていく、こういう点も必要でございますので、全体的な視点に立って、私どもは衛生局ともども検討させていただきたいというふうに思っております。 ◯土屋委員 老人医療センターの持つ特色は、それはいいんですよ。ただ、よそでいろいろ病院がたくさんあるわけですから、老人医療センターは老人医療センターとしての特色は残しながら、さっき松本先生から、広尾病院と比較してどうなんだという話が出て、きっと松本先生のご発言の中に、広尾病院は余りよくないというあれがあるのかもしれないんですけれども、やっぱり相互間交流をしないと、組織がだんだん疲弊していくわけですね。ですから、老人医療センターのいいところは残していく。だから、レベルを高いレベルに合わせていけばいいんです。何もいわゆる病院間交流をして、全部広尾病院みたいにしろということをいっているわけでは──レベルを高くしていくということで私ちょっと質問したので、もう一度。 ◯神藤高齢者施策推進室長 異動というのはなかなか先生難しいんでございまして、低いレベルを出して高いレベルを採るというのはまず不可能でございます。したがいまして、異動で本当の効果が出るというのはなかなか難しいところがございます。ただ、活性化を図るという点では意味があるんですが、それで、私どものレベルだけをどうしても下げられちゃう、そういうおそれもなきにしもあらずでございますので、交流自体は反対ではございませんけれども、その辺は十分やっていかないと、だんだん質が下がっていっちゃって……(「都立病院がレベルが低いように聞こえちゃう」と呼ぶ者あり) ◯土屋委員 そうそう。松本先生いわく、都立病院にはレベルの低いのも随分いるんでしょうけれども、レベルが低いような人が多いように思うような発言があったんですけれども、人的交流だけでレベルがアップするとは思わないですが、石原さんは、いろいろな施策の中で病院の統合は必ずいってきますよ。だからもう今から準備しておかないと、急にいわれて慌てるということになりますから、それは病院間交流のあれをぜひやってください。それは要望として最後にお話ししておきます。  終わりです。 ◯藤川委員 私の質問は、高齢者施策推進室というのは一体どういう仕事をするところなのかなという単純な疑問から始まるわけです。その第一は、この時間に至るまで各委員の先生方がいろいろと質問されたその大量な仕事量に取り組むという一つの大きな仕事があるわけですけれども、私が質問しますことは、アンド、「それと」というアンドの後の部分の質問なわけです。特に、日本それから東京がすばらしい二十一世紀を迎えるか否かというのは、各委員の先生からもそういう発言がありましたけれども、いかにスマートに少子高齢という社会をくぐり抜けていくかということにあるわけです。  そして、最近特に、元気高齢者対策という言葉が脚光を浴びておりますが、これはどのような背景でそのようなことが話題になっているのかお聞かせいただきたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 少子高齢化の急速な進展や低成長経済への移行等によって、人々が老後の生活に大きな不安を抱いている、こういうことも一つの事実かと思います。しかし、もとより高齢者は長い人生で培ってまいりました豊富な経験を有している方々でございますし、高齢者観そのものも時代とともに変貌していく、こういうふうに認識すべきじゃないかと考えております。  間もなく高齢者の仲間入りをいたします昭和十年代に生まれた方々は、戦前戦後の苦難の時代をたくましく生き抜いてきておりまして、困難に立ち向かうノウハウが十分身についている。また、ご自身の生涯設計や老後の蓄えも計画的になされている。それに続く団塊の世代も、高度成長経済のもとで競争を生き抜いてきた世代でありまして、知識や創造力、行動力に満ちあふれている。こんな元気なヤングオールドといわれる前期高齢者が、オールドオールドといわれる後期高齢者を支える力となることが期待されておりまして、二十一世紀の社会の活力を呼ぶ原動力となる可能性を秘めているということで、こういった状況から、二十一世紀の本格的な高齢社会を過度に悲観的にとらえるべきではなくて、もっと前向きに展望すべきである、こういった考え方は社会的に広がりつつあります。  このような中で、二十一世紀の東京の高齢社会においては、元気で活動意欲が旺盛な高齢者の持つ豊富な知識とか経験を社会的に生かしていく、その仕組みづくりが今一番大事だと思っております。社会全体は暗い雰囲気もありますけれども、明るい希望に満ちた二十一世紀を高齢者が生き生きと暮らせるような、二十一世紀は高齢者の世代といわれますが、こういう二十一世紀の明るい展望を、ぜひ政治家の先生方に語っていただきたいと思っております。 ◯藤川委員 私がこの場をおかりして語ろうかと思ったことをみんな語られて(笑声)いうことがなくなってしまったんですが、私は、優秀なすばらしい高齢者がたくさんこれから出てくるということはすばらしいことだと思うわけです。特に少子化という状況ですと、数少ない子どもさんたちをしっかりと育てるという意味では、今、有手部長がおっしゃいましたように、しっかりとそういう人たちを教育し、育てるということは、高齢者に課せられた大きな課題かなというふうに思うわけでございます。  そういう面では、これから日本が、東京がどういうふうにすばらしい国に、また地域になるかということに関しては、いかに高齢者の持つ知識と経験というものを活用していくかということです。これは、いろいろと皆さん、うば捨て山の話や何かで、若者に背負われた老婆がいろいろな知恵を授けるくだりのストーリーがありますけれども、それを見てもわかると思うんです。  そういう中で、東京都は二十一世紀の高齢社会ビジョンというものを発表しましたが、その中で、これからの高齢社会像というものをどのように描いているのか、またそれをどのような道筋で実現していくのか、お聞かせいただきたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 二十一世紀高齢社会ビジョンでは、介護が必要な高齢者も、またひとり暮らし等の高齢者のみで暮らしている方も、そして元気な高齢者も、だれもが本当に安心できて、満ち足りた気持ちで住みなれた地域でいつまでも生き生きと暮らせる、安心、生き生き、支え合いの高齢社会、これを東京の目指すべき社会と掲げました。  これをより具体的にこれから説明してまいりますけれども、簡単に申し上げますと、一つは、真に安心して満ち足りた気持ちで暮らせる社会、介護が必要な状況になっても、高齢者が人間としての尊厳を全うできるような、そしてまた家族が安心できるような、そして、介護保険の対象に至らない場合でも安心して自立した生活が営めるような、そういう施策をどんどん盛り込んで、こういう社会を実現したらいかがかと考えています。  二番目は、いつまでも個性的で生き生きと暮らせる社会ということで、昨年九月に高齢者の生活像を考える懇談会が答申しました報告書でも、高齢期こそ最も自分らしく生きられるときだという前向きの見方をすべきだ、こういうことがありました。そういうことで、こういった個性的で生き生きと暮らせる社会を築いていったらどうか、そういう施策を前向きに展開したい。  三つ目は、世代を超えて助け合い、支え合う協働社会ということで、これからの社会は、ますます若い人も、それからお年寄りもみんなで助け合わなくちゃいけないということで、社会連帯による協働意識をもっともっと育てまして、社会全体にそういった協働社会を築いていく、こういう施策をこれから一つ一つ苗として植えまして、しっかり大きな木に育て、その実を皆さんで食べてみたいと考えております。 ◯藤川委員 家庭が、また地域がいろいろな力を失ってしまって、そして共助という部分が成り立たない状況が今起きているわけですが、そういう中で、そういう元気な高齢者を社会で培うということは物すごく大切なことだと思うわけです。そのために、サラリーマンOB等を巻き込んだ共助を一層進めていくべきだと思いますが、都はその点についてはどのように取り組んでいくお考えでございますか。 ◯有手高齢政策部長 アメリカでの生活が非常に長い藤川先生ならではのご質問かと思いますけれども、確かに福祉の基本理念は個人の自立自助が基本でございますけれども、社会を構成するすべての人が互いに助け合う共助、社会連帯の考え方が非常に重要でございまして、こういった考え方に福祉は支えられていると思います。  これまでの福祉は、ややもすると公助を中心に展開されてきた嫌いがありますけれども、これから高齢期には、身近な生活圏、地域での支え合う生活が極めて重要になってくるといったことで、地域の相互扶助機能を再生させるために、共助の促進が非常に重要になってくるのではないか。特に都会である東京におきましては、地域での連帯が薄れたり、核家族化によって昔築かれていたようなよい意味での隣近所のおつき合いがなくなったりしていますので、元気な高齢者の方にこういった共助推進の中心的な役割をぜひお願いしたいということで、今回の予算におきましても、ビジョンにおきましても、東京に都市型の福祉社会をつくろうということで、元気なサラリーマンOBを活用できるようないろいろな仕組みを盛り込んでおります。  NPOやボランティア等への参加意欲も高まっております。こうしたよい芽を伸ばして、この絶好の機会をとらえまして、あらゆる世代による、都民による社会貢献的な活動がより活発化するような取り組みを進めて、そして東京に明るい希望の灯をともさなくちゃいけないということで、私どもも頑張っていきます。 ◯藤川委員 これが私の質問の四つ目のポイントなんですが、いろいろと高齢者施策推進室の皆さんと話をしていて気がついたことなんですが、結局これからの高齢者施策推進室が何をすべきかということに関しては、要するに、すべて二十一世紀に向かって元気な老人をどのような形で活用していくかということに関して、皆さんは知恵を絞っていかなくちゃいけないわけです。  そうすると、そのことは全庁的な事柄、マターであろうと私は思うわけです。そのときに、ありとあらゆる局、室を取りまとめて、横断的な形で各局、室からの協力を得て、そして元気な老人をつくり上げていくということが二十一世紀の日本を決定づける、私はそのように思っているわけです。  それならば、総合的な対策というものを都はどのようにつくり上げていくか、その点について質問させていただきたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 元気高齢者対策を初めとしまして、これからの高齢者施策につきましては、今お話ありましたように、単に保健、医療、福祉という分野だけじゃなくて、多様な福祉ニーズを幅広く満たすものでなければならないということで、人に優しい心をはぐくむ教育や、バリアフリーはもとよりユニバーサルデザインの考え方が取り入れられました住宅政策の推進だとか、短時間就労等の高齢者も働きやすい、多様な働き方の普及促進とか、後期高齢者が増加することも踏まえた高齢者の移動の自由の確保とか、教育、住宅、就労、交通などの各種のソフト、ハードの関連施策を連携させて総合的に展開していかなくちゃいけないというご指摘の点につきましては、全くそのように私どもも考えております。  そのために都庁内をどうまとめるか、これは大変難しい問題でございますけれども、今策定中の東京都老人保健福祉計画、これを今やっているわけですけれども、区市町村の目標数を積み上げた東京都介護保険事業支援計画を内含するものでございまして、これからは区市町村ともこういう計画的な面で連携を強めていくということも踏まえまして、都庁内も含めて総合化を図っていく、それから、ネットワーク化を図る、こういったことで、ぜひ今お話のような行政の連携と総合化、こういったものにこれからは力を入れていかなくてはいけないんじゃないかというふうに考えております。 ◯藤川委員 私の母方の母親、おばあさんは、九十四歳で歌を歌いながら枯れ木が折れるように他界していったわけです。私の前の農家のおじいさんは、お昼に帰ってこなくて、どうしたんだといったら、畑の中の納屋みたいなところで日なたぼっこをしながら亡くなっていった。そのおじいさんや亡くなったおばあさんの考え方というものが、今日の私のいろいろな物の考え方の基準、ベースになっているわけです。  ですから、いかに我々が、もう私の年齢じゃなくて、若い人たちが、元気な高齢者と相交わることによっていろいろとその高齢者の知識や経験というものを吸収してきたというのは大切なことだと思うんですが、最後に、室長さんに、元気な高齢者をどのようにこれから育てるというか、涵養していくか、そういう方々をつくり上げていくかということについてご所見を伺いたいと思います。 ◯神藤高齢者施策推進室長 今、高齢者施策の進め方につきましては、有手部長の方からるるご説明いたしましたとおりでございまして、そういう方向で進めるわけでございますが、仕事の進め方といたしまして、このような状況の変化というものを、区市町村、それから民間団体を初め、多くの方、高齢者自身もそうですし、都民の方もそうですし、やっぱり意識していただかないと、なかなか仕事が進まないというふうに私ども思っております。  したがいまして、こういうご提案や、私どもが考えた話をできるだけ多くの都民の方に知らせたり、区市町村と議論をすることによりまして、本当に高齢者が働きやすい、活躍しやすい、そういう場をつくっていく、そのために今後とも全力を挙げていきたいというふうに考えております。 ◯藤田委員 私も何点か質問をさせていただきます。  まず議案ですが、第百一号議案、東京都軽費老人ホーム条例の一部を改正する条例の提案です。軽費老人ホームの利用料を改定する理由について、まずお答えいただきたいと思います。 ◯我妻施設事業部長 軽費老人ホームの利用料の国基準は毎年改定しておりますけれども、東京都の現行の利用料は平成六年四月に改定され、これ以降六年間改定されてございません。条例に規定しておりますのは利用料の上限でございますけれども、現行では国が十万八千二百十円でございますが、東京都は十万五百八十円と、七千六百三十円の乖離が生じております。今回は、この国基準に合わせる形で改定をお願いしているものでございます。  また、契約施設である軽費老人ホームと措置施設である養護老人ホームを比べますと、軽費老人ホームの利用料が最も低いケースである年収が七十二万円の場合、軽費老人ホームが二万四千四百円であるのに対し、養護老人ホームは三万四千百円であるため、契約施設の方が措置施設よりも九千七百円も低くなっております。  さらに、他県の最低利用料と比べてみますと、神奈川県が五万八千百円、千葉県が五万九千百九十円、埼玉県が六万三千三百二十円と隣接三県はおおむね六万円前後であり、東京都の二万四千四百円の約二・五倍でございます。したがいまして、国基準との整合、養護老人ホーム利用者等との負担の公平性を勘案いたしまして、費用負担の適正化を図るため改定をお願いしているところでございます。 ◯藤田委員 特別養護老人ホーム、それから養護老人ホーム、そして軽費老人ホームと、ぱっと聞いただけではなかなかその区別がつかないんですけれども、今回、特別養護老人ホームはもちろん介護保険の施設の対象となりますし、それから、今お話があった軽費老人ホームは契約ということでありますけれども、この軽費老人ホームと養護老人ホームの違い、それから利用方法、入所対象者、それから今回この中では介護保険料を支払うとか支払わないとか、その辺のことについてちょっとお尋ねしたいと思います。 ◯金内保健福祉部長 軽費老人ホームと養護老人ホームの違いということですが、軽費老人ホーム、実は三つタイプがございますので、ちょっと簡単に説明できるかどうかわかりませんが、ご説明いたします。  軽費老人ホームには、A型、B型、ケアハウスという三種類ございます。いずれも契約により入所する施設でございまして、一定の利用者負担がございます。このA型、B型、ケアハウスの違いでございますが、まず所得制限がありまして、A型は月収おおむね三十五万円以下の人が対象でございます。B型、ケアハウスについては所得制限はございません。それから、A型につきましては、食事やふろなどの日常生活上必要なサービスを提供いたします。B型は健康で自炊ができる人を対象としておりまして、どっちかというと住宅に近い施設、ケアハウスは、自炊ができない程度の身体機能の低下が認められる方が対象でございます。  それから、利用料でございますが、A型は、利用料には公費の国と都の助成がございます。B型につきましては都の助成がございます。ケアハウスにつきましては、利用料の一部に国と都の助成がございますが、これはA型、B型より高くなってございます。  それと、介護保険のサービスの関係でございますが、A型、B型いずれも、要介護度に応じて外部からの介護保険の居宅サービスが利用できます。ケアハウスの方は、外部からホームヘルプ等の居宅サービスを利用することができますが、施設が介護保険の特定施設入所者生活介護という指定を受ければ、そのサービスを施設内で受けることができます。  それから、養護老人ホームでございますけれども、養護老人ホームの方は、経済的状況、つまり低所得だとかあるいは環境上の理由、例えば心身の障害だとか住まいが劣悪だというようなことを要件として区市町村の措置により入所する施設でございます。軽費老人ホームは契約でございますので、この点が決定的に違います。本人や扶養義務者から負担能力に応じた費用徴収がございます。  それから、介護保険の関係でございますが、軽費老人ホーム、養護老人ホームのいずれの入所者についても、減免措置はございますけれども、介護保険料を支払うことになります。 ◯藤田委員 軽費老人ホームがいわゆる私的契約、それから養護老人ホームが措置というふうに違いがあるわけですけれども、実際には、地域の中でケアハウスというのが非常に要望が高いということなわけです。今特に利用料をさらにふやして──住宅の部分は大変重きを置いたケアハウスがたくさんつくられ始めているんですけれども、資料の中にもありましたが、平成十二年の二月末で十一カ所で入所定員が四百八十八というわけです。今、シルバーピアなどいろいろな住宅に関しての施策がありますけれども、このケアハウスの整備促進を図っていく必要があると思いますが、都の方針を伺いたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 現在策定中の介護保険事業支援計画及び東京都老人保健福祉計画におきまして、地域における高齢者の住まいの確保を重点的な取り組みの一つとして位置づけ、その中でケアハウス等の整備についても目標値等を示すことを検討しております。  都は、今後、地域福祉推進の主体である区市町村と連携し、その計画的な整備を支援してまいります。 ◯藤田委員 次に、老人福祉手当について伺いたいのですが、経過措置が十二年度から三年間ということですけれども、三年間を決めた根拠をお知らせください。 ◯金内保健福祉部長 先ほどからご説明しておりますが、老人福祉手当につきましては、介護保険制度と政策目的が重複するということでございますので、本来であれば廃止が筋でございます。しかしながら、現行受給者につきましては、見直しに伴う影響を少なくするよう激変緩和を図ることといたしまして、経過措置として三年間手当を支給することとしたものでございます。 ◯藤田委員 なぜ三年間なのですかというふうにお聞きしたんですけれども、ちょっとその答えにはなっていなかったようでありますが、特に三年間にしたことについて、もう一度ちょっと伺います。 ◯金内保健福祉部長 本来目的から勘案すれば、介護保険制度が始まります四月一日をもちまして廃止ということでもよかったわけでございますけれども、先ほどいいましたように、激変緩和をするということから、三年ぐらいが適当であろうということで、私ども三年間の経過措置を設けたものでございます。 ◯藤田委員 老人福祉手当を受けている方が、先ほどの説明、初めの事業の目的の中に、いわゆる日常生活に著しい支障がある在宅の高齢者に手当を支給するというふうになっていたわけですが、いわゆる老人福祉手当を受けている方の約四〇%が社会的入院といわれるような方々だというふうにいわれています。入院していますと、これまでの、例えば在宅といいましても、それなりのヘルパーの制度などが非常に貧困な中で来たわけでありますので、入院している場合には、差額ベッド代、紙おむつ代など費用がかかるわけです。  三年後にそれがすべて退院をして、あるいはどこかの施設に行けばというようなことが可能だったらいいわけですけれども、そうじゃないときには、手当がないと非常に厳しい状況だと思いますけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 介護保険制度のもとでは、介護療養型医療施設の指定を受けました医療機関におけるいわゆる保険外負担につきまして、厚生省令によりまして、一つは特別な病室、また特別な食事の提供、理容代、そのほか日常生活において通常必要となるものの費用の徴収が認められております。しかしながら、その具体的な範囲についてはいまだ厚生省から示されておりません。  この場合、入院患者または家族に対しまして当該サービスの内容及び費用につきまして説明を行い、入院患者の同意を受けなければならないというふうにされております。また、このうちのおむつ代につきましては、介護報酬に含まれることとなりました。  なお、老人福祉手当は、先ほど委員からご指摘もございましたけれども、本来在宅の寝たきり等の方が、特養等の施設入所者と受けるサービスの格差があることから支給しているものでございます。 ◯藤田委員 寝たきりになったときには、本人や家族の希望によって、もちろん寝たきりにしないことが大事なわけですけれども、在宅か施設かの選択ができるのが理想であります。しかし、現実にいえば、重度の痴呆の方を在宅で介護しようと思っても、先ほどお話ししたように、在宅サービスが不十分でなかなかできないわけです。特別養護老人ホームにもなかなか入れないということで、特別養護老人ホームなどの施設整備をさらに図るべきだと思いますけれども、現在の特別養護老人ホームの整備状況、待機者数について伺いたいと思います。 ◯金内保健福祉部長 特養の整備状況でございますが、十一年度末の見込みで二万七千三百二十五人分でございます。都内の特養待機者につきましては、平成十一年に入ってから減少傾向にございまして、十一年十一月末時点で一万一千七百五十七人というふうになってございます。  介護保険制度のもとでは、特別養護老人ホームの利用についても、区市町村による措置ではなく、老人保健あるいは療養型病床群などと同様に、利用者と施設との契約による利用へと仕組みが変わります。したがいまして、これまでの待機者の概念というものは変わることになります。 ◯藤田委員 もちろん概念が変わることはわかっているわけです。しかし、老人福祉手当を受けている方は、およそ要介護度、一番あれの方でも三、普通だったら四、五であるというふうに思うわけですけれども、この方々は、本来は、希望すれば特養であるとか療養型病床群であるとか、在宅でもそれなりのホームヘルプサービスを選べることになっているわけですけれども、現状では、待機者はいなくても、実質行くところがなくなってしまうのではないかというふうに思うわけです。  それで、先ほどいただいた要求資料と、それから十一年九月の介護保険制度についての中の資料で見ますと、きょうの資料ですけれども、十二年度の目標数が五万四千六百十人というふうになっています。しかし、この介護保険の資料について九ページにありますけれども、ここでも既に保険給付の対象と見込まれる要介護者施設サービスの中では五万五千三百八十八人というふうになっていて、ここでもう既に千人ぐらいの違いになってきているわけです。こういうことを見ても、介護保険の方はすべて積み上げのところで来ているわけですから、実質数と思いますけれども、このように、実際には選べるという状況にはないというふうに私は思うわけです。  十七日の福祉局の質疑のときに、室長は、見直しは三回ほどチャンスがあったと。これについては、本来私などはお金があったときに、いわゆる在宅サービスと手当の選択ができるような状況の中で手当を打ち切ることが妥当だったんではないかというふうに思いますけれども、こういうことを考えてみても、実際は特別養護老人ホームの、さっき、いわゆる待機者の概念はないといわれましたけれども、待機者が一定程度解消されるまでは老人福祉手当の役割は終わらないというふうに思うわけですけれども、先般の福祉局のお答えを勘案しながら、室長のお考えをちょっと聞かせていただきたいと思います。 ◯神藤高齢者施策推進室長 老人福祉手当につきましては政策目的が重複すると申し上げておりますが、在宅にいらして在宅サービスを受けているということになると、やっぱり二つの制度を受けるということになりますので、制度を存続させるということはできないということはぜひご理解いただきたいと思います。  したがいまして、経過措置を含めてやっているわけでございますが、仮に手当を何かで対応するということになれば、これは国か区市町村、こういうところでどうするかと考えるべき課題だと私は思っておりますので、東京都の老人福祉手当がその分を途中まで肩がわりしたりということは、私はこの制度の趣旨に反して困難だというふうに考えております。 ◯藤田委員 実際には私も、この制度と介護保険が重複することはよくわかっているんですが、ただ先ほどお話ししたように、三年という根拠というのがはっきりしていない中で、ある意味では一定程度、このいわゆる待機者という考え方がないといいながらも待機者が出てくるわけですから、ここのところをどういうふうに考えるかということをぜひ検討してみてほしいという意味でございます。  それでは、シルバーパスについてとコミュニティバスについて伺いたいと思います。  先ほど多くの質疑がありましたけれども、シルバーパスの現行運賃補償方式というのが、これまで一応交付枚数やら利用回数やら、それから運賃補償単価ということで計算をされてきたわけですけれども、これについて今後は変更があるのでしょうか。 ◯金内保健福祉部長 今まで、現行制度のもとでは、バス事業者に対しまして、運賃補償方式で財政支援といいますか運賃補償を行ってまいりました。今後は、バス事業者といいますか、バス協会、指定する団体が事業者になりますので、運賃補償をもとにした補助方式といいますか、財政支援の方式になろうかというふうに思います。  ただ、今までのやり方は変わりますけれども、基本的な仕組みについては、形式は変わりますけれども、実質的にはあまり変わりがないというふうに思っております。 ◯藤田委員 そうしますと、予算措置の中にある百四十一億五千万というものの算出根拠はどういうふうになるんですか。 ◯金内保健福祉部長 細かい計算はしないで考え方だけお話しいたします。交付するパスの補助単価、今まで運賃補償単価といっておりますけれども、それと利用者負担がございますので、利用者負担は直接バス事業者の方に入りますので、それを差し引いたものがバス事業者の方に東京都の方から補助としていくことになります。 ◯藤田委員 ちょっと計算式はわからないんですけれども、ただ余りそこの部分は変わらないというふうに考えてよろしいんでしょうか。(「計算式この間もらったよ」と発言する者あり)新しいのが出ているんですか。 ◯金内保健福祉部長 現行の方式については、たしか資料要求がございまして、この中にあろうかと思います。 ◯藤田委員 結構でございます。  それでは、パスの見直しとセットになっている新たな施策について伺いたいと思います。  包括補助事業の中にコミュニティバスの導入がありますけれども、私の杉並でも今回一本通ることになっています。実際は赤字を覚悟でやるわけですけれども、予特の質問の中でも、問い合わせが三十四区市町村あるというふうにお答えになっていましたけれども、新たな導入について、このコミュニティバスのイメージとそれから補助要件などをお知らせください。 ◯金内保健福祉部長 コミュニティバスのイメージといいますか、それについて私どものイメージでよろしければお話をしたいと思いますが、コミュニティバスは、地域住民の利用しやすさに配慮して、バス停の間隔を短くし、地域内をきめ細かく走行するバスというふうに考えております。  また、補助要件につきましては、基本的に区市町村が主体的に取り組むコミュニティバスであって、地域住民にとって真に使いやすいものが補助対象となるように現在検討しているところでございます。 ◯藤田委員 それでは、この包括補助事業の対象としたコミュニティバスにシルバーパスは使えますか。 ◯金内保健福祉部長 都の包括補助事業の対象として整備をしたコミュニティバスにつきましては、シルバーパスの利用対象というふうには考えておりません。コミュニティバスは、利用者の方にも一定のご負担をいただいて、自治体、区市町村と地域住民の両方で支えて運営を長続きさせていくことが重要であるというふうに考えております。 ◯藤田委員 実は、十三年の春に乗合バスの規制緩和の動きがあって、実際には今は都バスは大体山手線からあと下町の方というような、あるいは東急バスはどの辺、京王バスはどの辺というふうに全部区域が決まっているわけですけれども、今回のこの状況を考えると、どこを乗り入れてもいいというようなこと、本当に競争になってくるというふうに今いわれていますけれども、このために、既存の不採算路線からの撤退がいろいろ考えられるわけですけれども、今回のシルバーパスやコミュニティバスについての影響をちょっと伺いたいと思います。 ◯金内保健福祉部長 現在、十三年春からの規制緩和を先取りいたしまして、既に分社化等の動きが始まっております。十三年春になりますと、恐らく規制緩和、かなりの動きがあるだろうというふうに見込まれます。特に既存の不採算路線から撤退することが恐らくあるだろうと思うんですけれども、そうしますと、シルバーパスの利用範囲が狭まるということになります。一方で、そういうことで足がなくなりますので、コミュニティバスのニーズが増大するというふうに考えられます。 ◯藤田委員 最後の方でいおうかと思ったんですが、結局、実質的にこのコミュニティバスの援助というのは、包括補助の都の事業の中に入ってくるわけでして、高齢社会福祉ビジョン推進補助事業の中に入ってくるわけですけれども、そうすると、予特の中で、財務局長が期限を切るというようにいわれていたわけですけれども、なかなかここのところで非常に足がなくなるというようなことが今後も十分考えられるわけでして、不採算路線を採算路線に変えていくのはなかなか難しいような状況もあると思いますが、この辺についてぜひ十分な検討をしていただきたいというふうに思います。  それで、介護保険について伺いたいと思います。  市区町村も同様なんですけれども、老人福祉計画のことはすっかり忘れ去られてしまいまして、介護保険の事業計画ばかりになってしまいましたが、今回、都の老人保健福祉計画がつくられるというふうに聞いておりますけれども、介護保険の支援計画と老人福祉計画、どのような位置づけで、どのような分野をカバーしているのかを伺いたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 ご質問いただきました介護保険事業支援計画は、介護保険法第百十八条に基づくものでございます。また、都の老人保健福祉計画は、老人福祉法第二十条の九及び老人保健法第四十六条の十九に基づくものでございます。  それで、その関係でございますけれども、介護保険事業支援計画は、区市町村の介護保険事業が円滑に実施されますように広域的な観点から支援する計画でございまして、区市町村で定めるサービス見込み量を取りまとめたものと整合を図っております。  一方、高齢者保健福祉計画でございますけれども、この介護保険事業支援計画を内含するもので、その計画が達成できるように支援する。それから、区市町村が策定いたします区市町村老人保健福祉計画を広域的に支援するということでございます。  そして、その範囲でございますけれども、介護保険事業計画は、介護保険に基づくサービス、そういう対象を中心につくられておりますけれども、老人保健福祉計画は、もう少しそのスパン広くとっておりまして、すべての高齢者を視野に入れまして、二十一世紀高齢社会ビジョンで示した目指すべき高齢社会像やその施策の重点化方針等を整理、具体化しておりまして、保健福祉分野以外の住宅、労働、教育、都市づくりなど、高齢者にかかわる施策全体を対象とした総合的な高齢者保健福祉の達成を図る、こういう目的で策定するものでございます。 ◯藤田委員 これまでは、区市町村の老人保健福祉計画を積み上げていったものが都の老人福祉計画になったと思いますけれども、今回はそれではなくて、もっと東京都がみずからつくり出していく、各局をまたいだものであるというふうに考えていいわけですか。 ◯有手高齢政策部長 これまでの都の計画は、東京都が独自に判断しまして、計画目標値だとかそういったものを策定の段階で決めまして、それを計画化しておりましたけれども、このたびの計画は、介護保険事業計画が、区市町村でつくった事業計画をもとにして東京都で調整して、区市町村と東京都の計画が連動するような形になっております。そういう内容を新しい老人保健福祉計画、私どもは高齢者保健福祉計画といっていますけれども、取り組んでいます。  それで、区市町村の方の老人保健福祉計画との関係につきましては、区市町村と事務担当者の会議を何回もやっておりますし、それから、私どものこの老人保健福祉計画に基づく内容につきましては、区市町村の方に意見照会もやっている。それから、いろいろな形で、インターネットその他で都民の方の意見も聴取しているということで、従来よりか民意が反映するというか、市民の方の意見が反映するようにいろいろ努めているんですけれども、今先生ご指摘のように、まだちょっと不十分で、東京都の計画を区市町村にぴしっとインプットして、区市町村と一緒になった計画というところまでは至っておりませんけれども、これからの計画の進め方としては第一歩を築いたかな、そういう印象でございます。
    ◯藤田委員 介護保険下における都の役割は、介護基盤整備の支援、それから、介護保険の認定によって今までのサービスが受けられなくなった人へのサービスを提供する区市町村への支援、それから、苦情処理を含めた利用者保護の仕組みづくりが私は主にあると考えていますけれども、都の役割、広域行政としての役割というところでどんなふうに考えておられるでしょうか。 ◯岡本介護保険対策室長 介護保険制度におけます都の役割でございますけれども、一つには財政負担がございます。保険給付に要する費用の八分の一、一二・五%でございまして、十二年度予算には四百九億円を計上させていただいております。また財政面での二つ目は、先ほど原先生からございました保険財政の赤字を補てんするための財政安定化基金の設置をする、そしてそれを運営するという役割がございます。  次に、二つ目といたしまして、介護サービス基盤関係の役割でございますが、ただいまございました介護保険事業支援計画に基づきまして、区市町村の介護サービス基盤の整備の支援を行うとともに、都といたしまして、サービス提供事業者の指定と、そのサービスの質の向上を図るための指導監督をいたすことにしております。  また、要介護認定等の不服審査を審理する介護保険審査会の設置運営も東京都の役割でございます。さらに、介護支援専門員など制度を支える人材の確保と資質の向上、これも都道府県の役割となっております。さらには、要介護認定など適正な介護保険事業の運営を確保するための保険者でございます区市町村への必要な指導、援助、支援、こういったもの、また、都民が安心してサービスを利用できる利用者保護等の仕組みづくり、こういったような広域的な立場から制度を支える役割を果たすことになるということでございます。  制度実施後におきましても、介護保険制度の円滑な運営を図るために、区市町村への一層の支援に努めてまいりたいと考えているところでございます。  また、自立と判定された方への生活支援などへのサービスについてでございますが、区市町村がその必要度に応じてサービスを提供することになるわけでございますが、そこにおきまして都の役割は、国及び都の包括補助事業を十分に活用しまして、区市町村に対して財政支援を行うということにあろうかと思います。  さらに、利用者保護でございますが、これにつきましては、都の指導による全区市町村の相談苦情窓口の設置、相談苦情対応マニュアルの作成、指定事業者業務のガイドライン、モデル契約書等の作成などを行っているところでございます。  また、第三者によるサービス評価の仕組みについても現在検討を進めているところでございます。これにつきましても、今後さらに事業者に対する指導検査体制の充実を図りまして、利用者が安心してサービスを利用できるように努めてまいりたい、このように考えております。 ◯藤田委員 福祉局の方でもお話しさせていただいたんですが、「すてっぷ」の中で、成年後見制度といいますか、利用者保護のことが行われるわけですけれども、今回、成年後見制度について、四月一日からすぐに始まろうとしていますけれども、どういう手続があるのか、あるいは都はどういう支援を行っていくのかを伺いたいと思います。 ◯有手高齢政策部長 成年後見制度は、痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者を対象としまして、その財産の保全管理や介護が必要になった場合の支援を行う身上監護を行う制度として民法の改正等により創設されまして、今お話しのとおり本年四月から施行されることになっております。  制度の特徴としましては、法定後見制度、後見保佐、補助に加えまして、任意後見制度が新たに創設されました。また、法定後見人の申立人に、本人、配偶者、親族に加えまして、新しく区市町村長も含まれることになりました。こういった点が今回の特徴的なことでございます。  手続でございますけれども、申立人が家庭裁判所に申し立てを行いまして、家庭裁判所が後見人等を選任し、後見業務が開始される。必要によっては後見監督人等も選任される仕組みになっております。例えば区市町村長が、身寄り等がなくて、あるいは親族から放置されている痴呆性高齢者等を発見した場合に、必要に応じ後見人等の選任を家庭裁判所に申し立てることができるようになりました。  また、新たに創設されました任意後見制度は、本人の判断能力があるうちに任意後見人を公正証書にして定めておきまして、判断能力がなくなったと思われた時点で、本人及び任意後見受任者等が家庭裁判所に申し立てて、家庭裁判所は任意後見監督人をあわせて選任したときから効力が発生するということで後見が開始される、こういった仕組みも盛り込まれております。  都といたしましては、この制度の円滑な実施に向けまして、福祉局等関係局とも連携いたしまして、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。 ◯藤田委員 このことについては、本当に周知徹底がなかなかできていないということを聞いておりまして、実際に厚生省から、とりあえず二親等以内の近親者の代理契約をとってという通達が出たぐらい、わずか十日ぐらいで始まるにしては非常に厳しい状況になっていると思いますので、ぜひしっかりとやっていただきたいと思います。  さて、先ほどから包括事業の話が出ておりますけれども、区市町村がこの制度をどういうふうに使ってくれるかということが重要になってこようかと思います。区市町村の実質の負担もあるわけですから、以前にあった地域福祉推進事業についても、はしごを外されてしまってはということで、区市町村が怖くて使えないという状況が多々あったと思います。積極的に使わなければ──例えば今までの現金給付型をサービスの仕組みに変えていくということが今回大きなテーマになっているわけですから、ここについてはぜひ区市町村が参入する手だてをどのように考えているかを伺いたいと思います。 ◯金内保健福祉部長 この都の包括補助事業につきましては、区市町村が地域の実情に応じて主体的に事業を展開する、それを東京都が財政支援するというものでございます。したがいまして、区市町村の自主性をできる限り尊重した柔軟な支援の仕組みとしたいというふうに考えております。  例えば、補助要件や基準を必要最小限にとどめるものとする、あるいは地域特性等を踏まえました独自の施策についても支援の対象とする、このようなことを考えてございまして、区市町村が自主的に参入できるような仕組みづくりをしていきたいというふうに思っております。 ◯藤田委員 先ほども申し上げましたけれども、それぞれの制度について、何年間の措置なのかというようなことも、ここで及び腰になってしまっては制度改革に大きな禍根を残すわけでありますので、ぜひこの点についても最大限努力をしていくというお話をさっき室長にしていただきましたので、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。  最後に、老人医療費のことについてお尋ねしたいと思います。  一月二十日に、日経新聞に「患者負担ズシリ 質向上やや前進」というようなことで、医療改革の最終案というのが出まして、そしてこの中には、医療保険福祉審議会、医療審議会に提示した案によると、医師に支払う診療報酬の引き上げ財源を確保するために、患者の自己負担が大幅に膨らむ、あるいは保険料の負担もふえるというようなことが書かれているわけであります。  今回行われる抜本改正、高齢者医療制度の動向と、それから老人保健法の改正による影響について、これは七月から老人一割負担定率が行われるというふうにいわれておりますけれども、ここのところについてご説明をいただきたいと思います。 ◯金内保健福祉部長 まず高齢者の医療制度の動向でございますけれども、厚生大臣の諮問機関でございます医療保険福祉審議会制度企画部会が提出いたしました意見書、これは十一年八月に出ておりますけれども、この意見書では、老人保健制度にかわるものとして検討した新しい高齢者医療制度の枠組みについて関係者の調整がつかず、四案が併記されております。これを受けまして、平成十二年度の抜本改革は見送られたというふうになっております。  その後、厚生省の方では、一月三十一日に医療保険福祉審議会運営部会に医療制度抜本改革の進め方についてを提出いたしまして、その中で、高齢者医療制度の見直しについては、厚生省内に高齢者医療制度等改革推進本部を設け、老人医療費を公平に負担する新たな高齢者医療制度の仕組みづくりについて、平成十四年度を目途に精力的に検討を進めるとしております。  また、今回改正を受けました老人保健法の主な改正内容でございますけれども、一つは外来の一部負担金がございまして、現行の五百三十円、月四回までが、診療所については、定率一割、または定額一日八百円、これは月四回まででございますが、それをどちらか選択する。それから、病院については定率一割ということでございまして、上限額は、ベッド数二百床未満では月三千円、二百床以上では月五千円ということでちょっと複雑な制度になってございます。また、入院一部負担金につきましては、現行の一日千二百円から、定率一割、上限は月三万七千二百円となります。  もう一つ、薬剤の一部負担金でございますが、現行は臨時特例措置により免除されておりますけれども、七月からは廃止になるということでございます。 ◯藤田委員 以上で終わりますけれども、いずれにしても、非常に大きな負担がかかるということが今のご答弁でわかったと思いますが、これからまだ一日二日時間がありますので、その中で検討していくということにいたしますけれども、今回の見直しは大変大きな制度改革でありますので、いろいろな面で周知徹底が図られるということが重要であります。  それから、本来でありましたならば、先ほどお話ししたように、やはりサービスがあって選択ができるという状況が見えれば、そこで現金給付ということもやめていくことができるわけですけれども、どうしてもお金のない中では片方の施策しかできないということがあって、なかなかそこが難しくなってくると思いますので、十分に私どもも検討した中で結論を出させていただきたいというふうに思っています。  以上です。 ◯松本委員 最初に伺いたい点ですが、有手高齢政策部長、この方は大変立派な方でありまして、都区制度改革、三年前に大変にご尽力をいただいた方であります。二十三区の都区制度改革を語る際、十年後か二十年後か、歴史家がどう扱うかはわかりませんけれども、その中で有手勉という名前は決して忘れられることのないそういう仕事をした、私は大変尊敬をしている部長であります。  そして、手塩にかけた都区制度改革成って、いよいよこの四月から二十三区が自治権を持ってしっかりとした地方自治をやっていこう。その具体的な事例として清掃事業がよく語られるわけでありますが、本当はこの介護保険をどうやって成功させていくか、これが都区制度改革を成功に導くか失敗に終わらせるか大変重要なところ、正念場だ、こう思うわけであります。  この正念場に対しまして、包括補助制度を設けよう、こういうことで私たち都議会自由民主党は全力を傾けて、国はもちろんでありますけれども、高齢者施策推進室にも物申しましたし、財務局にも物申して、何とかその実現を、石原知事に、十二月十五日、我が党の緊急要望ということで提出をさせていただきました。  その結果として、それを一〇〇%のみ込んでいただいて、この新しい制度がスタートになる、こういうことでございますから、この包括補助制度、これはやっぱりできるだけ区市町村がやっていこうという自分の考えで、自分の手で地方自治、自分たちの福祉は自分たちでやるんだ、こういう情熱に燃えている、そういうところに東京都としてできるだけの力をかしていこう、こういう精神に満ち満ちたすばらしい制度だ、こう思うのであります。  ところが、やっぱりこういう制度というのは、都民に理解をされ、また二十三区、市町村に理解をされる、親しまれるそういう制度でなくちゃいけない。そのために、ネーミング、名前をどうするか、これは大変重要な位置を占める、こう思うわけであります。  私たちが昨年石原慎太郎知事に緊急要望したときには、「がんばれ!東京生活」、こういうことでこの予算の名前をつけてほしい、こう提案をしたわけであります。ところが、最近使われておりますのが、高齢社会福祉ビジョン推進補助事業、一般都民の皆さんが一言でいおうといったって、なかなかいえませんよ。岡本対策室長、すらっといえますか。どうぞ何も見ないですらっといってみてください。 ◯岡本介護保険対策室長 ちょっとすらっといえそうもございません。(笑声) ◯松本委員 こういうような名前のつけ方は、神藤室長、これはよくない。だから、これは我が党の中で時間をかけて議論をしたんですよ。我が党の中では、一番最初、がんばれ東京、がんばれ福祉、こういうネーミングだった。ところが、近藤やよい先生を初めとして若手の人たちが、福祉というのは施すというイメージにつながる危険があるから、福祉という名前は避けた方がいいですよ。じゃ、何がいいんだ、こういったら、「がんばれ!東京生活」、サブタイトルとして「TOKYOヒューマンライフ・バックアップ制度」、こういう実にハイカラなネーミングをしてくれた。こういう提案をしているんだから、この提案を素直に受け入れる気持ちが室長ありますかどうですか、答えてください。 ◯神藤高齢者施策推進室長 名称につきましては、昨年の自民党の先生方のご要望に基づきまして承知しております。現在、その中身につきまして最終的な詰めを行っておりますので、私ども内容を確定した段階で、改めてそういうすばらしい名称にできるかどうか検討させていただきたいと思っております。 ◯松本委員 これは大変重要なことなので、余り福祉の包括補助事業、包括補助事業、一般都民が普通使いなれない言葉、いわゆるお役所言葉はぜひ避けていただいて、新しい地方分権のスタートにふさわしく、都民のだれもが親しめる、そういう名前にぜひしていただきますように強く強く要望をしておきます。  次に、今までいろいろ問題になっておりますが、医療制度、変わるところが非常に強調されておりますが、都民に安心感を持っていただくために、変わらない部分は、変わりませんよ、こういうふうにいった方がいい。変わらない人たちの方が多いんじゃないかと思うんですが、特に七十歳以上の方につきましては、国の制度として国の老人保健制度というものがあるわけでございまして、本人負担はといいますと、外来の場合は、どんなにかかっても月に二千百二十円以上はかかりませんよ。外来の場合は負担は二千百二十円以上はかからない。(「変わるんじゃないの」と呼ぶ者あり)これ、変わるのかな。外来の場合、一日につき五百三十円で、同じ月内であれば五日目からは無料となる。入院の場合は一日につき千二百円で、食事負担が一日につき七百六十円となる。この数字は変わるんですか変わらないんですか。 ◯金内保健福祉部長 老人保健法の改正によりまして、例えば外来の一部負担金につきましては、今先生ご指摘のとおり、現行は五百三十円、月四回まで、二千百二十円でございますが、これが診療所については、例えば定額一日八百円で月四回で三千二百円、あるいは一割というような形での選択性に変わります。また、病院については一割ということになりまして、上限額がベッド数で変わってきますので、ちょっと複雑になりますけれども、二百床未満の場合、月三千円とか、あるいは二百床以上、月五千円というような形で、これは老人保健の方が変わってまいります。 ◯松本委員 国の制度が変わるということ、それは七月からですか、四月一日からですか。東京都の制度とはちょっと違う部分でやられていくんだろうと思うんですが、一カ月に最高にかかって七十歳以上の人は幾らですよ、そして、入院の場合は幾らかかるんですよ、食事負担も含めて一カ月に幾らですよというのをちょっとはっきりしてください。 ◯金内保健福祉部長 高額医療費の制度がございますので、六万三千六百円。低所得者の場合にはこれが軽減されておりますけれども、最高かかってそれでございます。 ◯松本委員 そうすると、外来の場合も入院の場合も全く同じ六万三千六百円、こういうふうな数字を覚えておけばいいわけですか、違うでしょう。 ◯金内保健福祉部長 失礼しました。先ほど上限額を申し上げましたけれども、外来の場合、現行で申し上げます。七月からの改正は面倒くさいですから、現行で申し上げますと、一日五百三十円で月四回、先ほど先生がおっしゃった二千百二十円、これが上限でございます。 ◯松本委員 だから、二千百二十円で、そして入院をした場合も、現在のところでは三十日の計算でいくと五万八千八百十円でしょう。七十歳以上の場合、違うの。千二百円掛ける三十、それに七百六十円掛ける三十、足し算をすると、五万八千八百十円というのが今のところの最高じゃないの。 ◯金内保健福祉部長 先生おっしゃるとおりでございます。 ◯松本委員 だから、それは七月からはどう変わりますよというふうにいう場合も、今の場合は、三十日入院すると、五万八千八百十円かかりますよ、それ以上はかかりません。東京都の今度の福祉の見直しについて、七十歳以上の方々については全くご心配要りませんよ、今の段階では心配要りませんよ、負担はふえませんよ、このことをはっきりいわなくちゃいけない。ぜひそのことを、答弁でもたつくようじゃ話にならない。すらっと出て、都民に対して変わるところと変わらないところをきちっといわなくちゃだめ。そこのところをぜひお願いしたい。  それから、六十五歳から六十九歳の人の中で、マル福の対象者とマル福の対象になっていない人というのがある。マル福の対象になっていない人の負担は、今度の福祉の見直しで変わるのか変わらないのか、答えてください。 ◯金内保健福祉部長 現在六十五歳から六十九歳の方で、所得基準額以下の方がマル福の対象となります。所得基準を超えるなどマル福の対象となっていない方、この場合には、それぞれ加入している医療保険の定める割合に応じまして、おおむね医療費の二割から三割を負担しております。この方たちは負担は変わりません。 ◯松本委員 部長、そういう長ったらしく説明しちゃだめなのよ。お年寄りに、七十歳以上の人は、東京都の福祉の見直しによって負担がふえることはありませんということをはっきりいわなくちゃならない。そして、六十五歳から六十九歳の人も、マル福の対象になっていない方は全く影響ありません、今までどおりです、ここのところをはっきりいってもらわないと、みんな不安に落とし込められちゃう。福祉の切り捨てなんて、こんなこと平気でいわれると、もっとふえるんじゃないか、こう思われる。ここのところをしっかり押さえてくれなくちゃだめだよ。金内部長、よろしく頼みますよ。  そこで、今度、マル福の対象者であっても、今現在マル福の対象としてマル福としてのサービスを受けている人の負担はふえるのかふえないのか、答えてください。 ◯金内保健福祉部長 現在のマル福の対象者の負担は変わりません。 ◯松本委員 部長、もう一回、マル福って何という人がいるから、ちょっと説明して。 ◯金内保健福祉部長 マル福は通称でございまして、都の老人医療費助成制度のことでございます。  それから、老人保健の話ですけれども、老人保健が変わるから変わるだけであって、基本的にマル福が変わったわけじゃございません。 ◯松本委員 要するに、七十歳以上の人たちの負担はふえるわけじゃない、今までどおりなんだ、これで七十歳以上の方にまず安心をしてもらわなくちゃいけない。それから、六十五歳から六十九歳の人たちについても、今、マル福のサービスを受けている人たちは負担がふえるわけではない、こういうことできちっと安心感を持ってもらって、福祉の切り捨てなんかあなたたちには全くありませんよということをきちっといってもらわなくちゃだめなんだ。  そこで、今度の福祉の見直しで影響の出る人というのは、今何歳の人からが将来影響が出るということになっているのか、そこをちょっと説明してください。 ◯金内保健福祉部長 現在六十四歳以下の方が影響が出てまいります。 ◯松本委員 現在六十四歳と六十三歳の方は、今マル福のサービスを受けている人よりもちょっと薄いサービスになるんだけれども、その人のことを考えていますよというところはきちっといわなきゃだめだ。 ◯金内保健福祉部長 現在六十四歳以下の方には影響が出ますけれども、現在の六十四歳の方、それから六十三歳の方は、それぞれ開始年度は違いますけれども、期待権に配慮いたしまして、具体的に申し上げますと、六十四歳の方は平成十四年七月、六十三歳の方は平成十六年七月から対象とする配慮をいたしました。 ◯松本委員 そういう経過措置をとっているんだと。余り経過措置のことばかりいうとちょっと不安になっちゃうから、さっきからいっているように、まずあなたには影響はないんですよというところが、人口割合からすると一番多いところなんです。一番多数のところにきちっと不安を取り除くという、そのことがまず第一だ、そのことを頭に入れて東京都としての説明責任を果たしていただかないと、医療、福祉の切り捨てだ切り捨てだなんていうデマゴーグにごまかされることになるから、そこはぜひ注意をいただきたい、こう思うんですよ。  次に、幾つか聞かなくゃいけない点があるんだけれども、ここに、これは実際に入院をした人、もう七十歳をはるかに超えている人だね。そして、この人は、入院料一部負担金三万七千二百円、食事の一部負担金二万三千五百六十円、さっき説明を受けたとおりの請求を受けている。ところが、保険外金額というのが十四万八千二百五十四円請求が来ている。その内容はというと、文書料はゼロだ、部屋差額四万六千五百円、おむつ代が三万六千七百十五円、レクリエーション外四千六百五十円、散髪代が二千二百円、日用品代が五千二百七十円、何だかわからないけれども自費が六百円、リース代が四万五千二百六十円、消費税が七千五十九円、保険外金額が十四万八千二百五十四円、足し算をすると、二十万九千十四円、こういう話になる。  さっき部長がいったように、とにかく入院したら、最高でも三万七千二百円で医療を受けられますよ。二万三千五百六十円で食事は三十一日間入院したらきちっとできますよ。普通の人は、七十過ぎたらこれだけできちっとした医療が受けられる、こう思っている。ところが、いざ入院してみると、二十万九千十四円。その前の月は安いんだな。十九万四千二百六十五円。入院した月は日数が足らないからもっと安いんだけれども、これぐらい現実にかかっているんだ。これが今度の介護保険の中で、介護保険で見てくれるというのはおむつ代だけなの。ほかに見てくれるという部分はないの。そこら辺について。 ◯金内保健福祉部長 現在明らかになっておりますのはおむつ代だけでございます。 ◯松本委員 これは、有手部長、これを介護保険で見た方がいいのか、医療保険制度の中で見た方がいいのか、かかって国の施策に負うべき部分が大変にある。したがって、国に対してここら辺のことは──これ二十万もかかっているのは東京都民だけなんだよ。北海道で同じような病院にかかるとこんなにかからない。これは埼玉県の飯能市だ。東京都民が入院しているんだよ。これは国に対してびしっと東京都としてもっと発言をしていかないと、都民の立場に立っている高齢施策とはいえない。ちゃんとやります、こういってください。 ◯有手高齢政策部長 介護保険制度の実施を目前にしましていろいろな課題が出てまいっております。先ほど来療養型病床群の話もありましたけれども、医療と福祉、介護、いろいろな施策がこの介護保険制度の実施をめぐって出てきているということで、今松本先生からお話のあった件につきましても、厚生省にきっちり伝えてまいりたいと思います。 ◯松本委員 資料要求一ページの中で、介護保険施設の整備状況があります。特養の待機者数、平成十一年度見込みで一万二千百四十八人。ところが、在宅が四千九百七十四人、こう数字が出ていますね。この待機者数と在宅の差額というのはどこにのみ込まれているんですか。 ◯金内保健福祉部長 老健と病院だろうと思われます。 ◯松本委員 違うよ、それは。老人保健施設に七千九百二十人入って、療養型病床群に一万二千八百七十九人入って、合計でこれだけだろう。待機者数がこれだけだとなっているんだ。今の答弁で間違いないの。 ◯曽根委員長 もう一度答弁してください。 ◯金内保健福祉部長 特養に措置を希望している方でございまして、その方がそのほかの老人保健施設なり療養型病床群あるいは一般病院に入っていることもありますので、恐らくこの差はそういうところ、老人保健施設なり病院に入っている方というふうに思われます。 ◯松本委員 改めて聞きますが、ここに、特別養護老人ホームに二万七千三百二十五人入っていらっしゃる、老人保健施設に七千九百二十人入っていらっしゃる、療養型病床群に一万二千八百七十九人、合計で四万八千百二十四人が入っていらっしゃる、こういう数値ですよね。  そうすると、特別養護老人ホームに希望している方がということなんですが、老人保健施設だとか療養型病床群から特別養護老人ホームに移りたい、こういう希望を含めて一万二千百四十八人がいらっしゃる。そして、在宅が四千九百七十四人だから、療養型病床群だとか老人保健施設に入っている人たちは、心ならずもそこに入っていらっしゃる、こういうふうに理解していいんですか。 ◯金内保健福祉部長 心ならずかあるいは二またかけたのかわかりませんけれども、いずれにしろ、病院だとか老人保健施設に入っていて特養に入ることを希望している方ということでございます。 ◯松本委員 今度の介護保険の導入に当たって、措置から選択、契約、サービスを受ける人が選べるんだよ、これが売り物なんですよ。ところが、現実的にさっき僕が紹介をした方も、選びようがないんですよ。病院へ入院をする。三カ月で退院を迫られる。そして、次の病院に何とかしてくださいと。そこが療養型病床群と看板が書いてあるわけじゃない。しようがないから入る。そこも数カ月して退院を迫られる。迫られたときに、病院に、家に連れて帰れないんだけどどうしたらいいですかと相談をするんだ。  相談をしたら、この患者さんのような方の入院を許可してくれる病院はこことこことここですと、五、六個、名前と連絡先を紹介してくれるんだ。そして、家族がカルテを持っていってその病院を訪ねて、預かってくれますか、お願いできますかと頭を下げるんです。そして、その病院でだめよといわれるのが多いんだ。そして、五軒か六軒か七軒、汗かいて訪ねて、泣きの涙で頼んでやっとその病院に入れているというのが実態ですよ。神藤室長、実態はそうなの。  その病院が大体どこら辺にあるか。東京都内というか、東京都という住所のあるところへ入れればめっけもん、埼玉県、千葉県、神奈川県、栃木県、電車で片道二時間以内のところだったらありがたい、こういう状況にある。このことを、室長、よく実態を承知していますか、答えてください。 ◯神藤高齢者施策推進室長 先ほどもちょっと申し上げましたが、施設サービスにつきましては、特養と老健と療養型という三本の柱で利用者の方の希望に沿いたいという状況でございますが、療養型病床群につきましては必ずしも順調でないということで、そういう実態にあるということは承知しております。 ◯松本委員 都民にとって介護というのは大変厳しい状況の中にあるということを、都民にもうちょっとわかりやすく説明をお願いしたい。  最近、都民が介護保険と聞くと、月に三千円前後の保険料を払っていれば、介護が必要になったら全部介護を受けられる、こう錯覚をしている都民が七割以上いますよ。介護保険というのは、介護をしている家族をできるだけ助けたい、あくまでも助ける制度であって、介護そのものをぐんとのみ込むような制度じゃない、このことをきちっと説明をぜひしていただきたい、これが第一の希望。  それから、最近、在宅介護、在宅介護と、こういわれるんだ。ところが、在宅介護、例えばかつて高齢者にアンケートをとったことがあると思うんだけれども、全国でとると、地域によって、高齢者は、自分の家でみとっていただきたい、こういうパーセンテージが高くて、東京都内においては施設に入りたい、こういう答えが多かった。有手部長、承知していますか。 ◯有手高齢政策部長 今いろいろご意見をいただきまして、介護保険をめぐる現実の厳しさを改めて再認識しております。 ◯松本委員 したがって、神藤室長、厚生省が、在宅福祉、在宅福祉、在宅介護を助けるんだというんだけれども、東京の福祉は、ある程度施設福祉、施設介護というのが絶対必要なんだ。この視点を忘れて、在宅サービス、在宅サービスだけじゃやっていけないんですよ。隣の人が助けてくれるわけじゃないんだから、東京では。  そういう意味で、しっかりと、「がんばれ!東京生活」、こういう予算の中で施設整備に全力を挙げていただきたい、このことをお願いして、神藤室長の気合いの入った前向きの答弁を求めて、僕の質問を終わります。 ◯神藤高齢者施策推進室長 介護保険事業計画におきまして、区市町村における必要な施設サービスについて目標を設定しております。東京都もそれに基づきます支援計画を定めているところでございまして、それを着実に実施することによってご期待に沿ってまいりたいと思います。 ◯曽根委員長 速記をとめてください。    〔速記中止〕 ◯曽根委員長 速記を再開してください。  ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  予算案、付託議案及び請願陳情に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯曽根委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び請願陳情に対する質疑は終了いたしました。  以上で高齢者施策推進室関係を終わります。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後十一時四十分散会...